NVIDIAは、自動運転車(AV)開発の分野で急速な進展を見せており、その中心となるのが「NVIDIA DRIVE Hyperion™」プラットフォームです。このプラットフォームは、BYD、Geely、いすゞ自動車、日産自動車といった世界的な自動車メーカーや主要モビリティプロバイダーによって、レベル4対応車両の開発基盤として採用されています。

自動運転の「レベル4」とは?
自動運転には、その自律性の度合いに応じて0から5までのレベルがあります。このうち「レベル4」とは、特定の条件下においてシステムが運転操作のすべてを担い、ドライバーの介入なしに走行できる状態を指します。緊急時にもシステムが安全に対処する能力を持つため、非常に高度な技術と信頼性が求められます。
NVIDIA DRIVE Hyperionが選ばれる理由
NVIDIA DRIVE Hyperionは、コンピューティング、センサー、ネットワーキング、そして安全システムを統合した包括的なプラットフォームです。標準化されたリファレンスアーキテクチャを活用することで、自動車メーカーやモビリティ業界のリーダーは、検証サイクルを加速し、グローバルな展開戦略を効率的に進めることができます。これにより、より迅速なフリート学習と効率的なグローバル展開が実現されると期待されています。
NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン フアン氏は、「自動運転車の革命が到来しました ― 初の数兆ドル規模のロボティクス産業です。動くすべてのものが、最終的には自律的になるでしょう。NVIDIA HyperionプラットフォームとAlpamayoのオープンなリーズニングモデルは、車両が周囲を認識し、複雑な状況をリーズニングし、安全に行動する能力を提供することで、スケーラブルなレベル4の自動運転を実現します」と述べています。
主要自動車メーカーによるDRIVE Hyperionの採用
BYD、Geely、そして日産自動車(Wayveソフトウェアを搭載)は、NVIDIA DRIVE Hyperionの量産対応コンピューティングとセンサーアーキテクチャを基盤に、次世代のレベル4AVプログラムを開発しています。また、いすゞ自動車とティアフォーは、DRIVE Hyperionの一部であるNVIDIA DRIVE AGX Thor™ SoC(システムオンチップ)を活用し、レベル4自動運転バスの開発で協力しています。
さらに、NVIDIAはAmazonと協力し、NVIDIA DRIVE AGX™アクセラレーテッドコンピューティング上のマルチモーダルエッジAI機能を搭載したAlexaカスタムアシスタントを進化させています。これにより、自動車メーカーはプライバシーに配慮した車内環境インテリジェンスとパフォーマンスの向上を実現できるようになります。
ロボタクシーのグローバル展開とUberとの提携拡大
Uberは、NVIDIA DRIVE Hyperionを搭載した世界最大級の自動運転配車ネットワークを構築しています。NVIDIAとUberは、このたび提携を拡大し、2028年までに4大陸28都市でフルスタックのNVIDIA DRIVE AVソフトウェアを搭載した自動運転車を追加することを発表しました。この展開は、2027年前半にロサンゼルスとサンフランシスコのベイエリアで開始される予定です。
このDRIVE Hyperion搭載フリートは、NVIDIA AlpamayoオープンモデルとNVIDIA Halosオペレーティングシステムを活用し、世界中で安全かつスケーラブルなロボタクシーサービスの開発と展開を加速させることが期待されています。
Bolt、Grab、Lyftなどのモビリティリーダーも、NVIDIA DRIVE Hyperionを活用して自動運転モビリティの取り組みを加速させており、ソフトウェアデファインドのロボタクシーフリートに向けた業界の機運が高まっていることが示されています。
NVIDIA Halos OS:L4自動運転のための統合安全アーキテクチャ
自動運転システムの安全性は、その普及において最も重要な要素の一つです。NVIDIAは、ソフトウェアの安全性に対するフルスタックアプローチを拡張した「NVIDIA Halos OS」を提供しています。これは、DRIVE Hyperion上で量産対応のスケーラブルな自動運転を実現するための汎用的な安全基盤です。
Halos OSは、ASIL D認定のDriveOS基盤上に構築された統合型の3層構成の安全アーキテクチャを採用しており、安全ミドルウェアと展開可能な安全アプリケーションを統合しています。NCAPファイブスターのアクティブセーフティスタックが、リーズニングベースのAIシステムのガードレールとして機能し、検証可能な自動車グレードの整合性を持って大規模に動作することを可能にしています。
厳格なAV安全エコシステムを継続的に検証し、サポートするために、以下の企業がNVIDIA Halos AI Inspection Labに参加しています。
NVIDIA Alpamayo 1.5:リーズニングエンジンと指示可能な運転モデル
NVIDIAは、AIモデル、シミュレーションフレームワーク、フィジカルAIデータセットのオープンポートフォリオである「NVIDIA Alpamayo」を大規模にアップグレードし、「Alpamayo 1.5」を発表しました。これは、インタラクティブで指示可能なリーズニングモデルとして拡張されています。
Alpamayo 1モデルを基盤とするAlpamayo 1.5は、運転動画、エゴモーション履歴、ナビゲーションガイダンス、自然言語プロンプトを入力として受け入れ、リーズニングトレース付きで運転軌跡を出力します。これにより、開発者はナビゲーションやテキストプロンプトを通じて直接動作を制御し、制約を指定できるようになります。
Alpamayo 1.5は、以下の点で自動運転システムの学習能力と柔軟性を向上させます。
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稀な事象からの学習能力の向上: 稀にしか発生しない道路上の危険や複雑な人間の行動など、予測不可能な事象からより効果的に学習できるようになります。
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柔軟なカメラサポート: 複数のカメラのサポートと設定可能なカメラパラメータが追加され、既存のAlpamayo統合との互換性を維持しつつ、車両ラインとセンサー構成全体で同じAI運転スタックの再利用が簡素化されます。
Alpamayoはリリース開始以来、世界中で10万人以上の自動車開発者によってダウンロードされており、その活用が期待されています。
NVIDIA Omniverse NuRecでリーズニング型AV開発を加速
リーズニングベースのAVをテストし検証するためには、実世界の運転の多様性をカバーした高精度なシミュレーションが不可欠です。「NVIDIA Omniverse NuRec」は、実世界のデータを取り込み、インタラクティブなシミュレーションを再構築してレンダリングする3D Gaussian Splattingの技術群です。
NVIDIA NGCカタログで一般提供が開始されたNuRecは、手動でワールドを構築するための時間とコストをかけずに、AV開発者がリーズニング動作をストレステストし、エッジケースをシミュレーションできるようにします。
以下の大手AVツールチェーンプロバイダーが、シミュレーションソリューションにNuRecを統合しています。
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dSPACE
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Foretellix
また、Voxel51はPorsche Researchなどの顧客向けフィジカルAIワークベンチでNuRecを活用しており、Parallel DomainはNuRec Fixerモデルを活用して再構築パイプラインを強化しています。ミシガン大学が運営するAV研究施設であるMcityは、NuRecを活用し、実際のテストトラックのGaussianベースのデジタルツインを構築し、AV業界と研究コミュニティに貢献しています。
まとめ
NVIDIAのDRIVE Hyperionプラットフォームは、BYD、Geely、いすゞ自動車、日産自動車といった主要メーカーに採用され、レベル4の自動運転車およびロボタクシーの実現に向けた大きな一歩を踏み出しました。NVIDIA Halos OSによる安全性の向上、Alpamayo 1.5による高度なリーズニング能力、そしてOmniverse NuRecによる高精度なシミュレーション環境は、自動運転技術の進化を強力に後押ししています。これらの技術が連携することで、安全で信頼性の高い自動運転が、私たちの日常に浸透する未来が着実に近づいていると言えるでしょう。
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