SnowflakeがエンタープライズAI開発を加速する新ツールを発表
データクラウドのリーディングカンパニーであるSnowflakeは、企業が最先端のAIアプリケーションをより迅速かつ安全に開発、検証、展開できるよう支援する一連の新たな開発者向けツールを発表しました。この発表は、AIの進化がビジネスに与える影響が拡大する中で、特に「エージェント型AI」という新しいAIの形が注目される中で行われました。
Snowflakeのプロダクト担当上席副社長であるChristian Kleinerman氏は、「エンタープライズAIの成功は、最も信頼できるデータと、最も生産的な開発者によって決まります」と述べており、単一でインテリジェントかつガバナンスの効いた環境を提供することで、開発者が価値を生み出すエンタープライズ対応AIアプリを、より短期間でシンプルな道筋で構築できるよう支援する姿勢を示しています。
AI時代における開発者の課題とSnowflakeの役割
AI技術の急速な発展は、企業に大きな変革をもたらす一方で、開発者には新たな課題を突きつけています。特に、AIエージェントのような高度なAIモデルをビジネスに導入する際には、膨大で多様なデータの管理、開発プロセスの複雑化、そしてセキュリティとプライバシーの確保が重要になります。
Snowflakeは、これらの課題に対応するため、開発者がAIアプリケーションを構築する上で直面する障壁を取り除き、より効率的で安全な環境を提供することを目指しています。今回の新ツールは、開発者の生産性を高め、運用負担を軽減し、統合されたガバナンス環境の下で、ビジネス価値を迅速に創出することを可能にします。
エージェント型AIとは?基礎から理解する
「エージェント型AI」という言葉は、まだ聞き慣れない方も多いかもしれません。エージェント型AIとは、自律的に目標を設定し、その目標達成のために複数のステップを計画・実行できるAIのことを指します。従来のAIが特定のタスクをこなすのに対し、エージェント型AIはより広範な問題解決能力を持ち、状況に応じて行動を決定し、学習を続けることができます。
例えば、顧客からの問い合わせに対して、単に定型文で答えるだけでなく、過去の購入履歴や他部署の情報を参照し、最適な解決策を提案したり、必要な手続きを自動で開始したりするといったことが可能になります。これは、人間のオペレーターが行うような複雑な判断や行動をAIが代行するイメージです。調査によると、すでに20%の組織がAIエージェントを導入しており、54%が今後12か月以内に導入を予定していることが示されており、その急速な普及が期待されています。
開発者の生産性を飛躍的に向上させる新たなAIネイティブツール
Snowflakeは、AIネイティブな開発者ツールを通じて、より迅速かつ安心して本番運用へ移行できる環境を提供します。これらのツールは、AI開発の各段階で開発者を強力にサポートします。
自然言語でコードを生成「Cortex Code」
AI開発において、コードの記述は時間と専門知識を要する作業です。新機能「Cortex Code」(現在プライベートプレビュー中)は、Snowflake UI内で自然言語(普段私たちが使う言葉)を使って操作できるAIアシスタントです。これにより、開発者は複雑なSQLクエリの最適化や、コスト削減につながる調整を、まるでAIに話しかけるかのように簡単に行うことができます。開発者は自身のSnowflake環境全体を容易に把握し、効率的なAIアプリ開発を進めることが可能になります。

スケーラブルなAI推論パイプラインを構築「Snowflake Cortex AISQL」と「Dynamic Tables」
AIモデルをビジネスで活用するためには、大量のデータに対してAIの推論(予測や分析)を効率的に行う「推論パイプライン」の構築が不可欠です。「Snowflake Cortex AISQL」と「Snowflake Dynamic Tables」(一般提供開始)を活用することで、開発者は単一のSQLクエリで、拡張性のあるAI推論パイプラインを構築できるようになります。これにより、データ量が増加しても安定してAIを運用でき、スケーラブルなAIアプリ開発が加速します。
セキュリティとプライバシーを確保「AI Redact」
AI開発では、個人情報や企業秘密などの機密データを扱うことが多く、セキュリティとプライバシーの確保は最重要課題です。「AI Redact」(現在パブリックプレビュー中)は、非構造化データ(例えば、テキスト文書や画像内の文字など)から機密データを自動的に検出し、マスキング(隠す処理)を行う機能です。これにより、マルチモーダルデータセット(画像、音声、テキストなど複数の種類のデータ)をAI向けに整備する際に、セキュリティとプライバシーを確保しながら安全にデータを利用できます。
オープンで柔軟な開発環境がコラボレーションを促進
Snowflakeは、世界水準の開発ツールと幅広いサードパーティー製品との相互運用性を組み合わせることで、開発者が使い慣れたツールで自由に構築できる柔軟性を提供します。このような選択肢と柔軟性は、開発者の生産性向上に不可欠であり、AIアプリ開発におけるコラボレーションを促進し、開発スピードを飛躍的に高めます。
統合開発環境「Workspaces」とGit/VS Code連携
開発チームが効率的に作業を進めるためには、共同作業をスムーズにする環境が欠かせません。「Snowflake Workspaces」(一般提供開始)は、サイロ化されたデータ作業を解消し、チーム間のコラボレーションを推進する統合エディタです。さまざまなファイルタイプに対応し、コードの作成、整理、管理を一元的に行えます。
さらに、バージョン管理システムであるGitとの直接連携機能「Git Integration」(一般提供開始)により、コードの変更履歴管理がスムーズになります。また、統合開発環境(IDE)として広く使われているVS Codeとの連携「VS Code インテグレーション」(一般提供開始)も提供され、開発者は使い慣れた環境でチーム全体とコードを共有しながら作業できます。
既存ツールの活用をサポート「dbt Projects on Snowflake」
多くの企業がデータ変換ツールとしてdbtを活用しています。「dbt Projects on Snowflake」(一般提供開始)により、Enlyte、InterWorks、NTTドコモ、STARSといった企業は、Snowflake環境内で直接dbtプロジェクトを構築、検証、デプロイ、モニタリングできるようになりました。これにより、エンジニアは多様なツールやインフラ管理に費やす時間を削減し、より価値のあるインサイトの創出に注力できるようになります。既存のツールを最大限に活用できることで、運用負担の削減につながります。
Apache SparkコードをSnowflakeで実行「Snowpark Connect」
企業は既存のデータ処理基盤を有効活用したいと考えるものです。「Snowpark Connect for Apache Spark」(一般提供開始)を通じて、企業は既存のApache Spark™コードをSnowflakeの安全なエンジン上で実行できるようになります。例えば、VideoAmpなどの企業はこの機能を使うことで、開発者の生産性をさらに向上させています。Snowpark実行エンジンを活用した企業の担当部門では、最大5.6倍の高速化と、41%のコスト削減を実現した事例もあります。
信頼性の高いAIアプリのためのデータ品質とコードセキュリティ
エージェント型AIアプリを大規模に展開する際、データチームの取り組みに活用するデータの品質とセキュリティの両方を最高水準に維持することが不可欠です。Snowflakeは、データの信頼性の監視・報告に関わる複雑な業務を簡素化するため、以下の機能を強化しました。
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Data Quality User Experience(UI)(パブリックプレビュー中):開発者はデータの正確性や信頼性を評価し、自動生成されたサマリーからより深いインサイトを得ることができます。これにより、データ品質の問題を早期に発見し、対処することが可能になります。
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Code Security(一般提供開始):開発チームは新たなセキュリティ構造を活用して、開発者コードへの不正アクセスのリスクを排除します。これにより、データポイズニング(誤ったデータが混入すること)の防止や、モデル改ざんの阻止といった高度な防御が実現され、AIアプリの信頼性が向上します。
導入事例から見るSnowflakeの価値
EVgoやSTARSといった先進的な組織は、すでにSnowflakeの統合されたインテリジェントな開発環境を活用し、具体的な成果を上げています。例えば、EnlyteのプリンシパルデータアーキテクトであるAndre Byfield氏は、「Snowflakeの新たな開発者向け機能は変革的であり、必要な柔軟性と相互運用性を確保しながら、当社のワークフローに最も適したツールを使ってデータパイプラインを構築することができるようになりました」と語っています。dbt Projects on Snowflakeを活用することで、少人数体制のデータエンジニアリングチームでも大幅なコストや時間の削減を実現し、ステークホルダーに対する実質的な価値の提供につながっているとのことです。
また、命を救う活動を行う非営利団体であるSTARSのデータ責任者、Chris Androsoff氏は、「データおよびアナリティクスのプラットフォームを再構築する際には、機能性・シンプルさ・コストのバランスが取れた最適なツールが必要でした。dbtがSnowflakeのエコシステムの一部となった瞬間に、進むべき方向が明確になりました」と述べています。現在では、Snowflake上でdbtワークフロー全体をネイティブに実行しており、業務のシンプル化、コスト透明性の向上、エンジニアの価値創出への集中につながっているそうです。
これらの事例は、Snowflakeの新しい開発者ツールが、様々な業界の企業や組織において、AI開発を加速し、運用効率を高める上で大きな効果を発揮していることを示しています。
Snowflakeが描くエンタープライズAIの未来
Snowflakeは、今回の発表を通じて、企業がAI時代において競争力を維持し、新たな価値を創造するための基盤を提供しようとしています。開発者が最も信頼できるデータと、最も生産的なツールを手に入れることで、エンタープライズ対応のAIアプリを短期間で構築できる未来を目指しています。これは、「無限の相互運用性」というSnowflakeの約束を実現するものであり、エンタープライズイノベーションの新たな設計図となることでしょう。
AI技術の進化は止まることがなく、企業がその恩恵を最大限に享受するためには、柔軟で強力な開発環境が不可欠です。Snowflakeの取り組みは、AI開発の未来を形作る上で重要な一歩と言えます。
まとめ:AI開発の新たなスタンダードを築くSnowflake
Snowflakeが発表した新たな開発者ツールは、エンタープライズ向けのエージェント型AI開発を加速させ、企業のデジタル変革を強力に推進するものです。Cortex Codeによる自然言語でのコード生成、Snowflake Cortex AISQLとDynamic TablesによるスケーラブルなAIパイプライン構築、AI Redactによるセキュリティ強化は、開発者の生産性を飛躍的に向上させます。
さらに、Workspaces、Git/VS Code連携、dbt Projects on Snowflake、Snowpark Connect for Apache Sparkといったオープンな開発環境は、チーム間のコラボレーションを促進し、既存資産の活用を可能にします。データ品質とコードセキュリティの強化は、信頼性の高いAIアプリケーションの運用を支えます。
これらの機能により、企業は運用コストを削減し、相互運用性を高め、開発者の生産性を向上させながら、総所有コスト(TCO)を低減できることが期待されます。Snowflakeは、AIデータクラウド企業として、企業がより迅速にイノベーションを実現し、データからより多くの価値を引き出すことを支援し続けるでしょう。
詳細については、以下のリンクもご参照ください。

