組み込みBIツール「Reveal」がAIネイティブ分析基盤「Reveal AI」へ進化
現代のビジネスにおいて、データは「21世紀の石油」とも呼ばれるほど重要な資源です。しかし、その膨大なデータをどう活用し、ビジネスの意思決定に役立てるかという課題に直面している企業は少なくありません。そこで注目されているのが、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。BIツールは、企業が持つ様々なデータを集約・分析し、グラフやダッシュボードとして分かりやすく可視化することで、迅速な意思決定を支援します。
近年、AI(人工知能)技術の進化、特に生成AIの普及は、BIツールのあり方にも大きな変化をもたらしています。従来のBIツールは、事前に定義されたダッシュボードやレポートを通じてデータを提供するのが一般的でした。しかし、AIとの対話に慣れたユーザーは、データに対しても「自然言語で質問し、その場で答えを得る」といった、より直感的で動的な分析体験を求めるようになっています。
このような市場のニーズに応えるべく、インフラジスティックス・ジャパン株式会社は、主力製品である組み込みBIツール「Reveal」の最新版として、AIネイティブの分析機能「Reveal AI」をリリースしました。この「Reveal AI」は、自然言語による対話型分析と、企業が重視するエンタープライズレベルのガバナンス(統制)を両立させる画期的なソリューションです。本記事では、AI初心者の方にも分かりやすいように、「Reveal AI」がどのような機能を提供し、企業のデータ活用をどのように変革するのかを詳しくご紹介します。
BIに求められる「対話型分析」への進化と現状の課題
生成AI、例えばChatGPTのようなツールが私たちの生活に浸透するにつれて、「チャットで質問すれば瞬時に答えが返ってくる」という体験は当たり前になりつつあります。この新しい体験は、ビジネスの現場、特にデータ分析の領域においても、エンドユーザーの期待値を大きく変えました。もはや、静的なダッシュボードを眺めるだけでなく、まるで人との会話のように「このKPIがなぜ変化したのか?」「次にどんな行動を取るべきか?」といった具体的な問いかけを、自然な言葉でデータに投げかけたいというニーズが高まっています。
従来のBIツールは、主にKPI(重要業績評価指標)の監視や、事前に設定されたドリルダウン(詳細分析)といった機能に強みを持っていました。これらはビジネスの現状把握には不可欠な機能ですが、文脈に応じた深い洞察(インサイト)をリアルタイムに引き出すには限界がありました。AI分析が加わることで、BIツールは単なるデータ表示ツールから、アプリケーションの付加価値を飛躍的に高める「戦略的な機能」へと進化する可能性を秘めています。
しかし、このような高度なAI分析機能を自社のアプリケーションに組み込むことは、開発者にとって容易ではありません。インフラジスティックス・ジャパン株式会社が実施した国内企業調査では、高品質なダッシュボードのUI(ユーザーインターフェース)を自作することが、多くの開発現場で上位の課題として挙げられています。さらに、その上にAI分析機能を自社で構築しようとすると、大規模言語モデル(LLM)のインフラ構築、プロンプトチューニング(AIへの指示の最適化)、そして最も重要なガバナンス制御の設計など、9か月から12か月以上もの追加開発期間が見込まれることが一般的です。これは、多くの開発チームにとって現実的な選択肢とは言えませんでした。
「Reveal AI」とは?AIネイティブ分析基盤としての革新
組み込みBIツール「Reveal」は、SDK(ソフトウェア開発キット)組み込み型のアーキテクチャを採用しています。SDKとは、特定のソフトウェアを開発するために必要なプログラムやツール、ドキュメントなどをひとまとめにしたもので、これを利用することで、開発者は高品質なダッシュボード機能を自社のアプリケーション内に迅速に統合できます。これにより、開発期間を大幅に短縮し、自社ブランドの一部としてシームレスな分析体験をエンドユーザーに提供することが可能です。
そして、今回の最新リリース「Reveal AI」は、従来の組み込みBIの枠を大きく超え、AIネイティブの分析レイヤーとして、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)やエンタープライズアプリケーション(企業向け基幹アプリケーション)内に直接統合されるプラットフォームとして登場しました。これにより、開発者はダッシュボードの基盤構築から、前述した「対話型分析体験」までを「Reveal」一つでカバーできるようになります。
「Reveal AI」は、単にAI機能を追加するだけでなく、自然言語によるAI分析、企業が求めるエンタープライズレベルのガバナンス、そして予測可能なコスト管理を一体で提供します。これにより、企業は安全性と効率性を両立させながら、AIを活用したデータ分析を推進できます。

「Reveal AI」の主な特長:データ活用の未来を拓く機能
「Reveal AI」は、ビジネスの現場でデータ活用を加速させるための、様々な革新的な機能を提供します。その主な特長を詳しく見ていきましょう。
1. AI分析機能(Embedded AI Analytics)で可能なこと
「Reveal AI」の核となるのは、高度なAI分析機能です。これまでのBIツールでは難しかった、より直感的で深い洞察を可能にします。
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アプリケーション内での自然言語による質問: ユーザーは、ダッシュボード上のデータに対して、まるで人に話しかけるように自然な言葉で質問できます。「今年の売上はいくらですか?」「先月と比較して、特定の製品の売上はどう変化しましたか?」といった問いかけに、AIがデータに基づいて回答します。これにより、専門的な知識がなくても、誰でも簡単にデータから情報を引き出せるようになります。
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KPIの概要や文脈に応じた説明を自動生成: ダッシュボードに表示されているKPI(重要業績評価指標)について、その意味や現在の状況、過去からの推移などをAIが自動的に説明します。例えば、売上高が前月比で減少している場合、その背景にある可能性のある要因(例:特定のキャンペーン終了、競合の動向など)を文脈に応じて提示することで、ユーザーはより深い理解を得られます。
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KPIの変化や異常の自動検出: データの中に隠れた予期せぬ変化や異常値をAIが自動的に検出し、ユーザーに通知します。これにより、問題の早期発見や機会の特定が可能となり、迅速な対応を促します。例えば、特定地域の売上が急激に落ち込んだり、顧客からの問い合わせが不自然に増加したりした場合にアラートを発する、といった使い方が考えられます。
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次に取るべき行動の推奨: AIがデータの分析結果に基づき、次に取るべき具体的な行動を推奨します。例えば、「顧客離反率が高まっているため、特定の顧客層に対して再活性化キャンペーンを実施することを検討してください」といった具体的な提案が行われることで、データ分析を単なる現状把握で終わらせず、実際のビジネスアクションへと繋げることができます。
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チャット経由でのダッシュボード反映: 自然言語での質問を通じて、新しいダッシュボードを生成したり、既存のダッシュボードに新しいデータを追加したりすることが可能です。これにより、ユーザーはより柔軟に、自分の知りたい情報に特化したダッシュボードを、プログラミングの知識なしで作成・カスタマイズできます。

2. ガバナンス・セキュリティ面で可能なこと
AI分析の導入において、多くの企業が最も懸念するのがデータのセキュリティとガバナンスです。「Reveal AI」は、これらの懸念を払拭し、企業が安心してAIを活用できる環境を提供します。
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既存のロールベースアクセス制御(RBAC)のAI機能適用: 企業がすでに導入しているRBAC(役割に基づくアクセス制御)の仕組みを、AI分析機能にも適用できます。これにより、「この部署の従業員は売上データのみを分析できる」「特定の役職者のみが人事データにアクセスできる」といった既存のセキュリティポリシーをAI分析にも適用し、データの不正な利用や閲覧を防ぎます。
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すべてのAI生成クエリの監査: AIが生成したすべてのデータクエリ(データベースへの問い合わせ)は記録され、監査可能です。これにより、AIがどのようなデータにアクセスし、どのような分析を行ったかを後から確認できるため、透明性が確保され、問題発生時の原因究明にも役立ちます。
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トークン使用量の監視・制限: AIの利用に伴うコストは、主に「トークン」という単位で計算されます。「Reveal AI」は、このトークン使用量を監視し、必要に応じて制限を設定できるため、予期せぬコスト増加を防ぎ、予算内でAIを運用できます。
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クラウド、プライベートクラウド、ハイブリッド、完全セルフホスト環境に対応: 企業が利用しているインフラ環境(パブリッククラウド、自社データセンター内のプライベートクラウド、両者を組み合わせたハイブリッド環境、または完全に自社で管理するセルフホスト環境)に合わせて「Reveal AI」を柔軟に導入・運用できます。これにより、既存のITインフラを最大限に活用し、新たな投資を最小限に抑えることが可能です。
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データは顧客の環境内に留まり、外部への流出リスクを排除: 最も重要なセキュリティ機能の一つです。「Reveal AI」は、分析対象となる顧客のデータを外部のAIプラットフォームに送信することはありません。データは常に顧客自身の管理する環境内に留まるため、情報漏洩や意図しないデータ共有のリスクを根本的に排除できます。この点については、次のセクションでさらに詳しく解説します。
データ漏洩リスクを排除するセキュリティ設計
AI分析ツールを導入する際、多くの企業が抱える最大の懸念は、やはりデータのセキュリティです。特に、機密性の高い企業データが外部のAIプラットフォームに送信され、情報漏洩や意図しない共有が発生するリスクは看過できません。一般的なAIサービスでは、ユーザーのデータがAIモデルの学習に利用されたり、外部のサーバーに一時的に保存されたりするケースがあり、これが企業にとって大きな障壁となっていました。
「Reveal AI」は、このような「ブラックボックスAI」となるリスクを排除するための設計思想に基づいています。具体的には、AIがデータにアクセスする際のエンドポイント(接続先)は、開発者自身が提供します。つまり、企業は自社のセキュリティポリシーに準拠した形で、AIが利用する大規模言語モデル(LLM)を選択し、その運用環境をコントロールできるのです。
「Reveal」が顧客のデータを保存したり、裏で隠れたベクトルデータベースを運用したりすることはありません。分析対象となるデータは、常に顧客自身の環境内に留まります。AIは、あくまで開発者が構築したアーキテクチャ内、そして開発者が定めたポリシーのもとで動作します。これにより、自社のアプリケーションにAI分析機能を安全に導入し、データのプライバシーとセキュリティを最大限に保護しながら、AIの恩恵を享受することが可能になります。
数週間での導入を実現し、ビジネス成長を加速
前述の通り、AI分析機能を自社でゼロから構築しようとすると、9か月から12か月以上もの長期的な開発期間と、多大なリソースが必要となるのが一般的です。これは、日進月歩で変化するビジネス環境において、企業が競争力を維持する上で大きな足かせとなります。
「Reveal AI」を活用することで、開発チームはAI分析機能をわずか数週間で自社製品に統合できます。この圧倒的な導入スピードは、既存のプロダクトロードマップへの影響を最小限に抑えながら、最新のAI分析機能を迅速に市場に投入することを可能にします。これにより、企業は競合他社に先駆けて、顧客に新しい価値を提供し、ビジネスの成長を加速させることができます。
「Reveal」とは
「Reveal」は、インフラジスティックス・ジャパン株式会社が提供するSDK組み込み型のBI(ビジネスインテリジェンス)プラットフォームです。このプラットフォームは、SaaSやエンタープライズアプリケーションの中に、ダッシュボード、データ可視化、そして分析機能をネイティブに統合することを目的としています。iFrame(ウェブページ内に別のウェブページを埋め込む技術)に依存しないアーキテクチャを採用しているため、自社ブランドの一部として完全に溶け込み、ユーザーにシームレスで統一感のある分析体験を提供できるのが特長です。
そして今回の「Reveal AI」リリースにより、高度なAI分析機能が加わったことで、「Reveal」は単なるBIプラットフォームから、AIネイティブの組み込み分析基盤へと進化を遂げました。これにより、データ活用の可能性はさらに広がり、企業はより深い洞察と迅速な意思決定を実現できるようになります。
インフラジスティックス・ジャパン株式会社について
インフラジスティックス・ジャパン株式会社は、UI/UX開発ツールキットなどを開発・販売する米国インフラジスティックス社の日本法人として、2006年に設立されました。同社は、Web、デスクトップ、モバイル業務アプリケーション開発において、開発工数の削減と生産性向上を支援する、開発チームのためのオールインワンUI/UX開発ツールキットを提供しています。日本国内で6,000社以上の企業に利用されており、多くの開発現場でその技術力が評価されています。
まとめ:AIとガバナンスを両立する「Reveal AI」がデータ活用の新時代を拓く
インフラジスティックス・ジャパン株式会社がリリースした「Reveal AI」は、生成AI時代のデータ分析において、企業が直面する課題に対する強力なソリューションです。自然言語による直感的な対話型分析と、企業が最も重視するセキュリティおよびガバナンスの両立を実現することで、これまで一部の専門家しか扱えなかった高度なデータ分析を、より多くのビジネスユーザーが活用できる道を開きます。
AI分析機能の迅速な導入、データ漏洩リスクを排除する堅牢なセキュリティ設計、そして既存のBIツールとのシームレスな統合は、企業がデータドリブンな意思決定を加速させ、競争優位性を確立するための強力な武器となるでしょう。「Reveal AI」は、企業のデータ活用における新たな可能性を切り開き、ビジネスの成長を強力に後押しする存在となることが期待されます。
詳細情報
「Reveal AI」の詳細情報については、下記をご覧ください。
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リリース詳細(ドキュメント): https://help.revealbi.io/ja/ai/overview/
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BI機能の実装に関する課題に関するインフラジスティックス・ジャパンの独自調査については、こちらからご覧いただけます: https://blogs.jp.infragistics.com/entry/dev-local-eventreport-tpw25

