富士フイルムビジネスイノベーションが日本画像学会の二大賞を同時受賞!印刷技術の新たな地平を拓く
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、2025年度の一般社団法人 日本画像学会から、印刷技術の分野で非常に権威ある「技術賞」と「論文賞」を同時に受賞しました。これは、同社が長年にわたり培ってきた画像形成技術の革新性と実用性が高く評価された証です。
今回の受賞は、日々の印刷業務を劇的に効率化する「圧着トナー」の実用化と、まるで蝶の羽のように見る角度で色が変わる「構造色」をデジタル上で高精度に再現する「構造色インクジェット技術」に関する研究成果が認められたものです。
これらの技術は、私たちの身近な印刷物から、未来の展示会を彩る建築物まで、幅広い分野で新しい価値を生み出す可能性を秘めています。AI初心者の方にも分かりやすいように、それぞれの技術がどのようなもので、どのようなメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。
日本画像学会とは?なぜこの賞が重要なのか
一般社団法人 日本画像学会は、画像、印刷、電子写真、インクジェットといった、私たちの生活に密接に関わる「画像」に関する学術と産業の発展を目指して活動している専門学会です。この学会が授与する賞は、その技術がどれだけ独創的か、学術的な価値があるか、そして実際に社会で役に立つか、といった厳しい基準で選ばれます。
今回の受賞は、日本画像学会に所属する229の企業や40の研究機関の中から選ばれたものであり、富士フイルムビジネスイノベーションの技術がいかに先進的で高い評価を得ているかがわかります。
驚きの「圧着トナー」:糊付け不要で印刷工程を大幅効率化!
技術賞受賞!「電子写真用 新規圧力応答型粘着トナー(圧着トナー)の開発」
「技術賞」を受賞したのは、その名も「圧着トナー」と呼ばれる画期的な技術です。このトナーは、印刷と同時に「のり付け」の役割も果たしてしまうという、まさに一石二鳥の優れものです。
圧着トナーってどんな技術?
普段、はがきを封筒に入れずに送る「圧着はがき」を見たことがあるでしょうか?あの「はがして開く」タイプのはがきを作るには、これまでは印刷した後に、別の機械で糊付けをする必要がありました。しかし、この圧着トナーを使えば、デジタル印刷機で色を印刷しながら、同時に「圧力でくっつく特殊なのり」を塗るようなことができるのです。
圧着トナーは、富士フイルムビジネスイノベーション独自のEA製法(Emulsion Aggregation:乳化凝集製法)という技術を使って作られています。この製法により、トナーの中に「圧力がかかった時だけくっつく樹脂」がとても細かく散りばめられています。だから、普段は普通のトナーと同じように使えるのに、強い圧力がかかると初めて粘着性を発揮するのです。
この特性のおかげで、印刷の質を落とすことなく、印刷後に必要な糊付け作業を丸ごとなくすことが可能になりました。これは、印刷の工程を大幅に効率化し、時間もコストも節約できる、まさに画期的な技術と言えるでしょう。
圧着トナーのすごい特長と活用例
圧着トナーの最も代表的な活用例は、やはり「圧着はがき」です。

従来は、色を印刷した後、さらに別の機械で糊付けを行う必要がありました。しかし、圧着トナーを使えば、デジタル印刷機でカラー印刷と圧着トナーによる糊付けを一度に終わらせることができます。これにより、特に少量の印刷物を多種類作るような場合に、生産効率が大きく向上します。
この圧着トナーは、すでに国内の企業が導入しているプロダクションカラープリンター「Revoria Press™ PC2120」や「Revoria Press™ PC1120」で実際に使われています。利用者からは、印刷後に乾燥や硬化といった後処理が不要な点や、糊がはみ出さない点、そして圧着トナーで印字した面も通常の印刷物と同じように扱える点が非常に好評です。さらに、はがす時に紙が破れにくいようにデザインを工夫するなど、活用の幅も広がっています。
この技術の開発に貢献したのは、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の北川聡一郎氏、山崎純明氏、三枝浩氏、井上敏司氏、山中清弘氏です。
未来を彩る「構造色インクジェット」:見る角度で色が変わる、魔法のような印刷技術
論文賞受賞!「多角度分光計測をベースとした色予測モデルの構築と構造色インクジェット色質感再現シミュレーション」
「論文賞」を受賞したのは、まるで生き物のように色が変わる「構造色」を、デジタルで正確に再現・予測する技術に関する研究です。この技術は、私たちの身の回りにある印刷物の表現力を大きく広げる可能性を秘めています。
構造色ってどんな色?
「構造色」とは、絵の具やインクのような色素を使わずに、光の反射の仕方によって見える色のことです。身近な例では、モルフォ蝶の羽やタマムシの甲羅に見られるような、見る角度や光の当たり方によってキラキラと色が変わる現象が構造色です。この色が、光の波長や物体の微細な構造によって生み出される「物理的な現象」だという点が特徴です。
色質感再現技術が必要な理由
近年、印刷の世界では、金や銀、透明な色、蛍光色など、様々な特殊なインクが使われるようになってきました。特に、構造色のように、見る角度や光の当たり方で色が大きく変わる材料は、これまでの色の再現方法では、実際の見た目を忠実に再現するのが非常に難しいという課題がありました。
この論文でテーマとなった技術は、このような「視点や照明条件によって見え方が大きく変化する色や質感」を、デジタル上で正確に再現したり、将来どのように見えるかを予測したりするためのものです。単に色を測るだけでなく、特殊なトナーの光沢や、紙の表面のざらつきといった「質感」の要素も合わせて考えることで、より本物に近い色や質感の表現を可能にしています。
多角度分光計測と色予測モデルの構築で実現する高精度再現
この研究では、「多角度分光計測」という技術を使っています。これは、様々な角度から光を当てて、その光がどのように反射するか(つまり、その色がどのように見えるか)を非常に詳しく測る技術です。この計測データをもとに、照明の方向や見る人の方向を色の再現に関わる「パラメータ」として組み込んだ「色予測モデル」が作られました。
このモデルを使うことで、光沢や紙の表面の粗さといった質感を含めた色を、デジタル上で非常に高い精度で再現できることが実験で証明されました。そして、この技術が適用されたのが、富士フイルムビジネスイノベーション独自の「構造色インクジェット技術」です。この技術は、色素を使わずに構造色をインクジェット印刷で表現するもので、これまでにない高いデザイン性を実現できます。この研究により、視点によって大きく色が変わる構造色も、デジタル上でしっかりとコントロールし、再現できることが確認されました。
未来への応用:デザインから万博まで
この色質感再現技術は、今後のデザイン作成ツールに応用されることで、デザイナーが構造色を使った表現をより自由に、そして正確に行えるようになると期待されています。また、特殊な装飾印刷の分野(加飾印刷)におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも大きく貢献するでしょう。
さらに、この構造色インクジェット技術は、2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)のシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」の建物外観にも採用されています。未来を象徴する万博の顔となる建物に採用されたことは、この技術の革新性と将来性を示す大きな出来事です。

この研究に貢献したのは、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の針貝潤吾氏、桑田良隆氏、佐々田美里氏、そして富士フイルム株式会社の高田勝之氏、河本匠真氏です。
富士フイルムビジネスイノベーションの技術革新への貢献
富士フイルムビジネスイノベーションは、今回の受賞で示されたように、基礎的な研究から、それが実際に製品として世の中に役立つまでの「実用化」までを一貫して推進しています。これは、画像形成技術の発展だけでなく、社会に新しい価値を生み出すことにも積極的に取り組んでいる証拠です。
今後も、学術的な成果とそれが産業で応用されることの両方を大切にしながら、社会への貢献を続けていくことでしょう。
まとめ
富士フイルムビジネスイノベーションが日本画像学会から受賞した「技術賞」と「論文賞」は、印刷業界に大きな変革をもたらす二つの革新的な技術を称えるものです。
「圧着トナー」は、糊付け作業をなくすことで印刷の効率を飛躍的に向上させ、ビジネスの現場に直接的なメリットを提供します。一方、「構造色インクジェット」の色質感再現技術は、これまで表現が難しかった見る角度によって色が変わる「構造色」をデジタルで正確に再現し、デザインや表現の可能性を大きく広げます。
これらの技術は、単に印刷の質を高めるだけでなく、業務の効率化や新しい表現方法の創出を通じて、私たちの生活やビジネス、そして文化にまで影響を与える可能性を秘めています。富士フイルムビジネスイノベーションがこれからも生み出すであろう技術革新に、今後も注目していきましょう。
関連情報
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日本画像学会公式ウェブサイト: https://www.imaging-society-japan.org/www/jp/
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大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」の建物外観に「構造色インクジェット技術」が採用 | 富士フイルムビジネスイノベーション: https://www.fujifilm.com/fb/ja/news/5297

