クラスターが「事業開発本部」を新設!デジタルツイン、フィジカルAI、調査の3領域で産業の未来を拓く
2026年4月1日、国際スタートアップカンファレンス「TakeOff Tokyo2026」において、クラスター株式会社は新たな事業展開を発表しました。同社は、デジタルツイン、フィジカルAI、調査という3つの事業領域を統合した専門組織「事業開発本部」を新設し、これらの分野に本格的に参入します。
この取り組みは、メタバースプラットフォーム「cluster」で培ってきた大規模同時接続基盤や3D空間生成技術、行動データ分析といった技術資産を、建設、不動産、モビリティ、製造、インフラ、施設管理など多岐にわたる産業分野に応用し、顧客の課題解決や新規事業開発を支援することを目的としています。デジタルとリアルが双方向で連携し、新たな価値を生み出す未来の実現を目指す、クラスター社の挑戦について詳しく見ていきましょう。

なぜ今、デジタルツインやAIが産業界で注目されるのか?
近年、建設や製造、モビリティといった様々な産業分野で、建物や街、製品を3Dデータで再現する「デジタルツイン」の導入が進んでいます。デジタルツインとは、現実世界の物理的な対象物やシステムをデジタル空間に忠実に再現し、シミュレーションや分析を行うことで、現実世界では難しい検証や改善を可能にする技術です。
しかし、現状ではいくつかの課題が存在します。例えば、作成された3Dデータは専門的なソフトウェアを扱える技術者にしか利用できないことが多く、建物のオーナーや現場の担当者、あるいは一般の住民が気軽に活用できる状態にはありません。また、デジタルツインの導入が進む一方で、「空間を3Dで見る」という視覚的な利用に留まっているケースがほとんどです。データ量が非常に大きいため、複数の人が同時にそのデジタル空間に入り、自由に動き回ったり議論したりすることは、技術的に困難な状況が続いています。
このような状況では、デジタルツインとして再現された空間は、リアルな空間とは異なり「人がいない」状態にあります。しかし、もし多くの人がデジタルツイン空間に同時に参加し、自由に活動できるようになれば、「どこに人が集まるか」「どの経路を選ぶか」「何に足を止めるか」といった貴重な行動データが収集できるようになります。さらに、遠隔地から共同で設計レビューを行ったり、現場を再現した訓練を実施したり、関係者間での合意形成を図ったりと、人が集まることで初めて可能になる活動がデジタル上で実現します。これらのデータや活動の結果を現実世界にフィードバックすることで、建物や街、モビリティ、製造業の設計や運営をより効率的かつ効果的に改善していくことができるのです。
クラスター社が目指す「人」と「空間」がつながるデジタルツイン
クラスター社は、自社で開発・運営するメタバースプラットフォーム「cluster」を通じて、この課題解決に挑みます。「cluster」は、PC、スマートフォン、VRゴーグルなど様々なデバイスから、最大10万人が同じ空間に同時にアクセスできるインフラを構築してきました。さらに、空間内で人々がどのように行動したかというデータを取得・分析する技術も蓄積しています。
この「人と空間をつなぐ」技術資産を産業領域に展開することで、クラスター社は従来のデジタルツインに「人」の要素を加え、リアルとデジタルの双方向でデータと体験が循環する環境を構築することを目指しています。これにより、単に3Dモデルを見るだけでなく、その空間で人が活動し、その活動が現実世界の改善につながる、真に「生きている」デジタルツインの実現が可能になります。

「事業開発本部」新設の全貌:3つの特長と連携体制
今回新設された「事業開発本部」は、顧客の課題解決や新規事業開発を構想段階から実装、運用まで一貫して支援するために、以下の3つの機能を一つの組織に統合しています。
1. 事業共創(事業共創部)
顧客の事業課題を深く理解し、そこから3次元データの活用戦略を策定します。新規事業のアイデア出しから、具体的なソリューション設計までを共同で推進。デジタルツイン環境を活用した、これまでにない体験ベースの調査手法を提供し、顧客のビジネスを次の段階へと導きます。
2. 技術・研究(メタバース研究所+ソリューションエンジニア)
事業開発本部には、VR(仮想現実)、HCI(Human-Computer Interaction)、ML(機械学習)といった最先端の研究分野を専門とする研究者やリサーチエンジニアが在籍する「メタバース研究所」が統合されています。IEEE VRやACM CHIといった国際的なトップカンファレンスで論文発表を行うような最先端の研究知見を事業に応用し、ソリューションエンジニアと連携しながら、技術戦略の設計、PoC(概念実証)の実行、そして本番環境への実装までを伴走します。
3. プラットフォーム提供・技術デリバリー(ソリューションエンジニア+プラットフォームエンジニア)
クラスター社が独自に開発・運営するプラットフォーム「cluster」と、そこで培われた技術を最大限に活用します。ソリューションエンジニアとプラットフォームエンジニアが密接に連携し、デジタルツイン環境の構築、AIエージェントの導入、フィジカルAIとの連携基盤の構築、さらにはその運用と効果検証までをトータルでサポートします。
これらの機能が連携することで、クラスター社は顧客の様々なニーズに対して、技術的な専門性と事業開発の視点を組み合わせた、包括的なソリューションを提供できる体制を整えました。
新事業領域の詳細:デジタルツイン、フィジカルAI、調査
事業開発本部が展開する3つの主要な事業領域について、さらに詳しく見ていきましょう。
1. デジタルツイン
この領域では、建設業界などで用いられるBIM(Building Information Modeling)データ、CAD(Computer-Aided Design)データ、そしてレーザースキャンなどで取得される点群データといった様々な3次元データから、デジタルツイン空間を自動生成する技術(特許出願済)を提供します。これにより、複雑なデータも手軽にデジタル空間に再現できるようになります。
さらに、IoTセンサーと連携させることで、現実空間の温度、湿度、人流などの環境データをリアルタイムでデジタルツイン空間に可視化します。これにより、現実世界の状況をデジタル空間で常に把握できるようになります。また、デジタル空間内で収集された行動データと空間データを統合的に分析することで、より深い洞察を得ることが可能です。
最大10万人同時接続というクラスターの大規模同時接続基盤を活かしたメタバース調査・実験ソリューション「Cluster INSIGHT」も提供されます。「Cluster INSIGHT」は、「誰でも・いつでも・どこからでも」3次元データを確認し、議論し、活用できる環境を提供します。
- Cluster INSIGHTとは:クラスターメタバース研究所と大学との共同研究で開発された大規模VR実験フレームワーク「LUIDA」(https://luida.cluster.mu/)の技術基盤に、クラスターのプラットフォーム運用知見と行動データ分析ノウハウを加えた、商用利用向けのデジタルツイン調査・実験ソリューションです。
2. フィジカルAI・ロボティクス
この領域では、デジタルツイン空間内で自律的に行動するAIエージェントの基盤「AI Agent FLEX」(特許出願済)の開発・提供を行います。この技術を用いることで、デジタル空間で学習したAIの知見や行動パターンを、現実世界のロボットや様々なデバイスに転写(適用)することが可能になります。これにより、デジタル空間でのシミュレーションや学習が、そのまま現実世界の物理的な行動に結びつき、リアルとデジタルの双方向でデータが循環する仕組みが構築されます。
例えば、デジタルツイン空間でロボットの行動シミュレーションを行い、最適な動きを学習させた後、その学習結果を現実のロボットに適用することで、効率的かつ安全な作業を実現するといった応用が期待されます。
3. 調査
前述の「Cluster INSIGHT」を基盤として、デジタルツイン環境を活用した体験ベースの大規模な調査や実験を実施します。これにより、従来のアンケートやヒアリング調査では捉えきれなかった、人々の実際の行動データや、その行動の背景にある定性的なデータを統合的に取得・分析することが可能になります。
この新しい調査手法は、製品開発におけるユーザー体験の検証、空間設計における人々の動線や滞留箇所の分析、都市計画における住民の行動予測など、多岐にわたる分野で客観的かつデータに基づいた意思決定を支援します。
すでに進行中の主要実績と今後の展望
クラスター社の新たな取り組みはすでに具体的な成果を上げ始めています。大手ゼネコン、モビリティ・不動産領域の企業、省庁、自治体、病院など、複数の領域で共同研究や実証実験が進行中です。これらの個別の取り組みについては、今後順次発表される予定です。
クラスター社は、今後も各領域での導入事例を拡大していくとともに、様々なパートナー企業との共同実証を通じて、「人が介在するデジタルツイン」の社会実装を加速させていく方針です。これにより、デジタル技術が単なるツールに留まらず、人々の生活や産業活動に深く根ざしたインフラとなる未来を目指します。
関係者メッセージ
クラスター株式会社 事業開発本部 事業共創部 部長 亀谷拓史氏
「リアルの世界は、場所と人がつながることで成り立っています。デジタル上でも空間を再現するだけでなく、人が入り、行動し、そのデータが現実の建物や街にフィードバックされ、AIやロボットを通じてリアルに染み出していく。この循環を構想で終わらせず実装まで届けるのが事業開発本部の役割です。『どう使えば価値が生まれるか』の設計から技術実装まで、一気通貫で伴走します。」
クラスター株式会社 メタバース研究所 所長 平木剛史氏
「メタバース研究所は、VR・メタバースにおける人の行動や知覚の研究を国際会議等で発表しながら、数百万人のユーザーが利用するプラットフォーム『cluster』上でもその知見を検証してきました。研究室実験だけでは得られない規模の実データと、アカデミックな研究知見に裏打ちされた仮説設定と調査・実験設計を掛け合わせられることが私たちの強みであり、事業開発本部の発足により、この研究資産をお客様の課題解決に直接届ける体制が構築できたと考えております。」
クラスター株式会社とは
クラスター株式会社は、「あらゆるヒト、モノ、技術をつなげる共創空間のOSをつくる」というビジョンを掲げ、日本最大級のメタバースプラットフォーム「cluster」を開発・運営するテクノロジーカンパニーです。独自に開発した大規模同時接続基盤を核として、リアルとバーチャルを融合する共創空間インフラを提供しています。
同社の技術は、製造、建設、教育、国際会議、エンターテインメントなど多様な業界で採用されており、スマートフォン、PC、VRなどマルチデバイスに対応。最大10万人が同時接続できるリアルタイム空間を構築し、多数のIPコンテンツや大型イベントで実績を重ねています。高い信頼性と拡張性を兼ね備え、商業利用と大規模展開の両立を実現するBtoB型プラットフォームとして成長を続けています。
また、社内に設置された研究所では、ユーザー行動解析、バーチャルAIエージェント、AIによる3D制作自動化などのR&D(研究開発)を推進。外部研究機関や大学との共同研究・実証実験も積極的に展開し、メタバース技術の進化を加速させています。
クラスター株式会社は、テクノロジーと創造力を融合し、バーチャル体験の未来を切り拓き、次世代の社会インフラを創造し続けています。
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コーポレートサイト: https://corp.cluster.mu/
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法人向けビジネスの最前線を知るオウンドメディア: https://metaversebiznews.cluster.mu/

クラスターメタバース研究所について
クラスターメタバース研究所は、「人類の創造力を加速する」というクラスター社全体の目標を先導する役割を担っています。科学的な知見と、数百万人のユーザーが利用するプラットフォーム「cluster」に蓄積される膨大なデータを基に、CV(コンピュータビジョン)、CG(コンピュータグラフィックス)、HCI(Human-Computer Interaction)、VR(仮想現実)、BMI(Brain-Machine Interface)といった分野、そしてこれら全体を横断するML(機械学習)領域の研究に取り組んでいます。
研究所は、短期・長期的な視点で「cluster」プラットフォームへ還元する成果と、人類全体を進歩させるアカデミックな成果の両方を生み出し、融合させることを目指しています。
- クラスターメタバース研究所サイト: https://lab.cluster.mu/ja/

まとめ:産業の未来を切り拓くクラスター社の挑戦
クラスター株式会社が新設した「事業開発本部」は、デジタルツイン、フィジカルAI、調査という3つの領域で、産業界に新たな変革をもたらす可能性を秘めています。メタバースプラットフォーム「cluster」で培われた「人と空間をつなぐ」技術を核に、現実世界の課題をデジタル空間で解決し、その成果を再び現実世界にフィードバックするという、リアルとデジタルの双方向循環を構築する挑戦です。
これにより、建設現場の効率化、製造プロセスの最適化、都市計画におけるより良い意思決定支援など、多岐にわたる産業分野でAIとメタバースが社会実装され、「人が介在するデジタルツイン」という新たな価値が生まれることが期待されます。クラスター社の今後の動向と、それがもたらす産業の未来に注目していきましょう。

