イー・ガーディアン株式会社が開発した、AIを搭載した多言語コンテンツ品質チェックツール「Typesetting Checker」が、フリットジャパン株式会社に導入されたことが発表されました。この導入は、フリットジャパンが手掛ける海外展開コンテンツの最終品質チェック業務において、大幅な効率化と品質向上をもたらすことが期待されています。

グローバル展開を加速する多言語コンテンツの課題
現代社会において、企業がグローバル市場で成功を収めるためには、多言語対応のコンテンツが不可欠です。インターネットの普及により、世界中の人々が瞬時に情報にアクセスできるようになった今、自社の製品やサービスを世界に広めるためには、現地の言語や文化に合わせたコンテンツを提供することが、顧客獲得の鍵となります。
しかし、単にコンテンツを翻訳するだけでは十分ではありません。翻訳されたコンテンツが、元の意図を正確に伝え、かつ視覚的にも違和感なく表示されるかを確認する「品質チェック」が極めて重要になります。特に、漫画やアニメ、Webサイト、アプリケーション、書籍など、画像やレイアウトが複雑に絡むコンテンツの場合、「写植チェック」と呼ばれる作業が必要となります。これは、翻訳後のテキストが画像内に適切に配置されているか、誤字脱字がないか、デザインが崩れていないかなどを細かく確認する、非常に手間のかかる工程です。
これまで、このような品質チェックや写植チェックは、多くの場合、専門の担当者が目視で一つ一つ確認する「人力」で行われてきました。この方法にはいくつかの大きな課題があります。まず、膨大な量のコンテンツを短期間でチェックするには、莫大な時間と人件費がかかります。例えば、何百ページにも及ぶ漫画や、多数の画面を持つアプリケーションの多言語版をすべて手作業でチェックする場合、その労力は計り知れません。また、人間が行う作業である以上、どんなに熟練した担当者であっても、見落としや誤りといった「人的ミス」のリスクを完全に排除することはできません。わずかな誤字脱字やレイアウトのずれが、ブランドイメージの低下やユーザー体験の悪化につながる可能性もあります。
フリットジャパン株式会社も、多様な言語関連事業を展開しており、特にローカライズ事業においては、これまで写植チェックをすべて自社内で実施していました。しかし、事業が拡大するにつれて、短期間で大量のコンテンツの品質チェックを行う必要性が高まり、人力でのチェック効率化の限界や人的ミスによる品質リスクが顕在化していました。このような状況下で、より効率的かつ高精度な品質チェック体制の構築が喫緊の課題となっていたのです。
AIが解決する多言語コンテンツ品質チェックの未来:「Typesetting Checker」とは
このような課題を解決するために開発されたのが、イー・ガーディアン株式会社のAI搭載型多言語コンテンツ品質チェックツール「Typesetting Checker」です。このツールは、人工知能(AI)の力を活用することで、これまで人手に頼っていた複雑で時間のかかる品質チェック作業を、高精度かつ効率的に行うことを可能にします。
AI初心者の方にも分かりやすく説明すると、「Typesetting Checker」は、翻訳する前の元のコンテンツと、翻訳が終わった後のコンテンツをAIが読み込み、それらを比較します。まるで「間違い探し」のように、元のコンテンツと翻訳後のコンテンツの間に「違い」がないかを自動で探し出すのです。具体的には、AIがOCR(光学文字認識)技術を用いてそれぞれのファイルの文字をデジタルデータとして認識し、さらに画像比較技術を使って、文字の配置やレイアウト、色などの視覚的な情報を詳細に分析します。そして、この二つの情報を照らし合わせることで、どこにどんな違いがあるのかを瞬時に、かつ正確に特定できるのです。
このツールは、PDF、JPG、PNGといった様々な形式のファイルを比較することができ、誤字脱字はもちろんのこと、翻訳によって生じたレイアウトのずれや、文字が画像からはみ出してしまう「表示崩れ」といった、人間では見落としがちなわずかな違いも、AIが逃さず検知します。例えば、漫画の吹き出し内の文字が、翻訳によって元の日本語より長くなり、吹き出しからはみ出してしまうようなケースや、Webサイトのボタンのテキストが翻訳で長くなり、ボタンの枠からはみ出てしまうような表示崩れも、AIが瞬時に発見します。これにより、コンテンツの品質を均一に保ちながら、チェックにかかる時間を大幅に短縮できます。
漫画の吹き出し内のテキスト、アニメの字幕、Webサイトの文言、スマートフォンのアプリ内の表記、あるいは書籍のページ構成など、あらゆる媒体の多言語コンテンツにおいて、このツールは最終的な品質管理に活用することが可能です。多岐にわたるメディアに対応できる汎用性の高さも、「Typesetting Checker」の大きな特長と言えるでしょう。
イー・ガーディアンは、総合ネットセキュリティ企業として、インターネットの安心・安全を追求する中で、近年では生成AI技術の発展を受け、AIを活用したITソリューション開発にも注力してきました。その一環として、グローバル事業における翻訳作業の品質向上と効率化を目指し、2024年12月には生成AI翻訳システム「EG Trans Works」を、そして2025年11月にはこの「Typesetting Checker」を開発しています。これらのAIソリューションは、グローバルビジネスにおける言語の壁を低減し、企業活動を強力に支援することを目的としています。

「Typesetting Checker」の詳細については、以下のURLで確認できます。
フリットジャパンが語る導入の決め手と期待される効果
今回、「Typesetting Checker」を導入したフリットジャパン株式会社の担当者からは、本ツール導入の決め手と今後の期待についてコメントが寄せられています。
担当者によると、今回の大型プロジェクトでは、制作工程の作業効率を最大化しつつ、品質の向上と安定性を両立させることが必須要件であったとのことです。以前の別のローカライズ案件でイー・ガーディアンが提供した高品質なチェックと確かな対応力、そしてAI技術を活用した提案が大きな安心感につながり、今回の導入に至ったと説明しています。これは、単にツールを提供するだけでなく、顧客の課題に寄り添った提案と実績が評価された結果と言えるでしょう。
このAIツールの導入により、フリットジャパンでは、AI技術によるスピード感と安定性をより多くの案件に生かし、社内での品質保証(QA)業務の負担軽減と、全体の制作体制の強化につなげていきたいと考えているとのことです。特に、短期間で大量のコンテンツを扱う必要があるフリットジャパンにとって、AIによる自動化と高精度なチェックは、業務効率を飛躍的に向上させ、人的リソースをより戦略的な業務に集中させることを可能にします。
イー・ガーディアンとフリットジャパンの密な連携、そして広がる可能性
「Typesetting Checker」は、開発段階からフリットジャパンとイー・ガーディアンが密に連携し、人力でのチェック効率化の限界や人的ミスによる品質リスクといった具体的な課題感を共有しながら、それらの解決を目指して機能開発が進められてきました。このような協業体制は、ツールの実用性と効果を最大化する上で非常に重要です。
今回の導入を契機に、両社は今後も密に連携を取り続け、本ツールの活用と運用ノウハウの提供を通じて、フリットジャパンの業務改善を継続的に支援していく方針です。フリットジャパンが実際にツールを使用する中で得られるフィードバックは、今後の「Typesetting Checker」のさらなる機能改善や発展にも貢献することでしょう。
さらに、このフリットジャパンでの導入実績を活かし、同様の課題を抱えるコンテンツ制作市場全体に対しても本ソリューションを展開していくことで、多言語コンテンツ制作における効率化と品質向上に貢献していく計画です。AI技術の進化が、これまでの常識を覆し、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めていると言えるでしょう。多言語コンテンツの需要が高まる中で、AIを活用した品質チェックツールは、多くの企業にとって不可欠な存在となるはずです。
イー・ガーディアン株式会社について
イー・ガーディアン株式会社は1998年に設立され、2016年に東証一部上場、2022年に東証プライム市場へ移行した総合ネットセキュリティ企業です。ネットパトロール、カスタマーサポート、デバッグ、脆弱性診断など、インターネットセキュリティに関する幅広いサービスを一気通貫で提供しています。国内8都市、海外3都市にわたる19拠点の業界最大級の体制を誇り、Fintech・IoT業界への参入やAI・IT活用によるDX推進など、時代の変化に対応したサービス開発を通じて、インターネットの安心・安全を守り続けています。
フリットジャパン株式会社について
フリットジャパン株式会社は、韓国に本社を置くFlitto, Inc.の日本法人です。Flitto, Inc.はKOSDAQ上場企業であり、Webブラウザやアプリを通じて多様なオンライン翻訳サービスを提供しています。世界173カ国に1,400万人以上のユーザーと約300万人の翻訳家が登録されており、同時通訳ツールやデータソリューション、ローカライズなど、多岐にわたる言語関連事業を展開しています。世界の言語の壁を壊し、世界中の人々が平等な機会を得られる社会の実現を目指しています。

