現場のデジタル変革(DX)は、現代のビジネスにおいて不可欠な要素となっています。特に、建設、製造、物流、インフラといった現場では、人手不足や業務の属人化といった課題が深刻化しており、デジタルの力でこれらの問題を解決することが強く求められています。
このような背景の中、現場データの活用を支援するシリコンバレー発のスタートアップであるMODE, Inc.(以下、MODE)と、フィールドエンジニアリング領域で豊富な実績を持つベイシス株式会社(以下、ベイシス)が、「ソリューションパートナー」として業務提携契約を締結しました。この提携は、両社の強みを結集し、スマートインフラの構築を通じて現場DXをさらに加速させることを目指しています。

業務提携の背景と目的:現場の課題解決へ
MODEは、現場のリアルタイムデータや既存システムのデータを一元的に統合し、AIを活用することで、業務効率化や安全性向上を実現する「BizStack」という次世代のデータ統合ソリューションを提供しています。この「BizStack」は、建設、製造、物流、インフラなど多岐にわたる業界で現場DXを推進してきました。
一方、ベイシスは、全国規模のパートナーネットワークを駆使し、スマートメーターや通信インフラの設置・保守といったフィールドエンジニアリングサービスを数多く手掛けてきた実績があります。また、現場作業のDXを支援するクラウド施工管理SaaS「BLAS」を自社開発し、提供しています。
この業務提携の目的は、両社の技術とノウハウを融合させることで、現場におけるデータ収集から活用、そして保守までを一貫して提供できる体制を構築することにあります。具体的には、ベイシスが担うセンサー、ゲートウェイ、カメラなどの現地設置・設定・保守といったハードウェア関連の業務と、MODEが提供するリアルタイムデータを用いたAIによる点検・業務支援といったソフトウェア関連の業務が連携します。これにより、現場のあらゆる課題に対応できる、包括的なソリューションが実現します。
業務提携による具体的な連携内容
この提携により、MODEとベイシスは以下の5つの連携軸を起点とした協業を進めていきます。
1. デリバリー連携
MODEが提供するIoTデバイス(センサーやゲートウェイなど)の準備作業(キッティング)、現地への設置、そして設置後の検査業務をベイシスが担当します。これにより、IoTデバイスの導入プロセスがスムーズになり、顧客は迅速にシステムを利用開始できます。AIを活用した現場DXの第一歩となるデバイス導入が、専門家によって確実に行われることで、システムの安定稼働に貢献します。
2. ロジスティクス支援
IoTデバイスの調達から、顧客への納品、そして在庫管理までの一連の物流業務をベイシスが担います。これにより、多数の拠点に同時に、かつ迅速にデバイスを展開することが可能になります。大規模なスマートインフラプロジェクトでは、多数のデバイスを効率的に管理・配置することが成功の鍵となりますが、ベイシスのロジスティクス支援がその実現を強力に後押しします。
3. プロダクト連携
MODEの「BizStack」とベイシスの「BLAS」は、API(Application Programming Interface)を通じて連携します。API連携とは、異なるシステム同士がデータをやり取りするための仕組みのことです。この連携により、現場での施工管理から、その後の点検、そして保守までの一連の業務を一つのシステムで一元的に管理できるようになります。これにより、データの二重入力や情報伝達のミスが減り、業務全体の効率が大幅に向上します。
4. 現場保守支援
「BizStack」と「BLAS」の連携に加え、ベイシスが持つ全国規模のフィールド対応力(現場に出向いて対応できる能力)を組み合わせることで、スマート保安・保守を共同で推進します。例えば、IoTセンサーが異常を検知した場合、その情報がBizStackを通じて管理者に通知され、同時にBLASで保守作業のスケジュールが組まれるといった流れが想定されます。さらに、ベイシスのフィールドエンジニアが迅速に現場に駆けつけ、問題解決にあたることで、設備の停止時間を最小限に抑え、安全性を高めることができます。
5. 市場開拓・事例化
両社は共同で、大規模な案件や全国展開が可能な案件の創出を目指します。また、PoC(概念実証、新しい技術やアイデアが実現可能か検証する初期段階のプロジェクト)や導入事例に関する広報活動も連携して行います。これにより、より多くの企業に現場DXのメリットを伝え、スマートインフラの普及を加速させていきます。成功事例を共有することで、他企業も安心して導入を検討できるようになるでしょう。
MODEの「BizStack」とは?

「BizStack」は、現場のリアルタイムデータと既存システムのデータを一つにまとめて(一元的に統合し)、AIを活用することで、直感的な操作で業務効率化や安全性向上を実現するデータ統合ソリューションです。AI初心者の方にも分かりやすく説明すると、まるで現場の「司令塔」のような役割を果たします。
建設現場、工場、物流倉庫など、さまざまな「現場」で発生する多種多様なデータ(例えば、センサーからの温度や振動データ、カメラからの映像データ、既存の業務システムやクラウドサービスからの情報など)をリアルタイムで自動的に収集し、解析することができます。
このソリューションの大きな特徴は、AIを活用してデータを分析し、現場の状況を「見える化」することです。例えば、機械の異常を早期に検知したり、作業員の安全を確保したり、生産ラインの効率を最適化したりといったことが可能になります。ダッシュボードと呼ばれる分かりやすい画面で現場の状況を把握でき、異常があればすぐにアラート(警告)を通知することも可能です。これにより、現場の担当者はデータに基づいて迅速な判断を下し、問題が発生する前に対応できるようになります。

MODEは、現場のリアルタイムデータのインテグレーション(統合)を支援する「BizStack」を開発・提供する、シリコンバレー発のスタートアップです。建設・製造・物流などの現場が抱える人手不足や業務の属人化といった課題に対し、デジタル技術と現場への深い理解に基づいたアプローチで、多くの企業のDXを支援しています。
MODE, Inc.についてもっと詳しく知りたい方は、MODEのウェブサイトをご覧ください。
ベイシスの「BLAS」とは?
「BLAS(Basis Listing Application System)」は、現場管理と工事の両方を手掛けるベイシスが、自社の経験とノウハウを活かして開発した、現場作業DXクラウドサービスです。AI初心者の方にも理解しやすいように言うと、現場作業の「デジタルノート」であり、「進行管理ツール」です。
これまで紙で行われていた現場での記録作業、データ確認、進捗管理といったアナログな業務をシステム化することで、人手を削減し、業務の生産性を大幅に向上させます。例えば、作業の進捗状況をリアルタイムで記録・更新したり、現場で撮影した写真をシステムに直接アップロードしたりすることができます。これにより、管理部門は常に最新の現場状況を把握でき、報告書作成の手間も省けます。

BLASを活用することで、現場作業員はスマートフォンやタブレットから簡単に情報を入力でき、管理者もWebブラウザを通じて複数のプロジェクトや作業員の状態を一元的に把握できます。これにより、情報の共有がスムーズになり、意思決定のスピードが向上します。また、過去のデータも簡単に検索・分析できるため、作業の改善や効率化にも役立ちます。
BLASについてさらに詳しく知りたい方は、BLASの公式サイトをご覧ください。
ベイシス株式会社は、2000年7月に設立された企業で、インフラテック事業と現場作業DXクラウド「BLAS」の開発・提供を主な事業内容としています。同社は、ICT(情報通信技術)を通じて世の中をもっと便利にすることを目指しています。
ベイシス株式会社についてもっと詳しく知りたい方は、ベイシスのウェブサイトをご覧ください。
今後の展望:現場DXの未来を共創
今回の業務提携は、MODEが掲げる「データで現場を強くする」というビジョンと、ベイシスのVISIONである「ICTで世の中をもっと便利に」という両社の理念が融合し、現場業務の進化を共に加速させるものとなります。
今後、両社はまず特定の顧客を対象としたパイロット案件(PoC)から開始し、その成果を検証しながら段階的に商用展開へと移行していく予定です。共同で提案パッケージを開発し、より多くの企業に最適なソリューションを提供するための販路拡大も進められます。
さらに、「BLAS」と「BizStack」の技術的な連携を深めることで、現場の保守・点検業務のさらなる自動化や、それに伴うコストの最適化を目指していくでしょう。例えば、AIが設備の故障予兆を検知し、自動的にBLASで修理手配を行うといった、より高度な連携が実現する可能性も期待されます。これにより、現場の生産性だけでなく、安全性も飛躍的に向上することが予想されます。
まとめ:スマートインフラで現場の未来を拓く
MODEとベイシスによる今回の業務提携は、現場DXの推進において非常に重要な一歩となります。現場データの収集・統合から、AIによる高度な分析・業務支援、そしてフィールドエンジニアリングによる確実な設置・保守までを一貫して提供できる体制が構築されることで、スマートインフラの実現が現実のものとなります。
この提携は、人手不足や業務の属人化といった現場の長年の課題を解決し、より安全で効率的な現場作業を実現するための強力なソリューションを提供します。AIやIoTといった最新技術が、現場の最前線でどのように活用され、社会全体にどのような恩恵をもたらすのか、今後の両社の取り組みに大いに注目が集まるでしょう。現場の未来は、まさにこのような技術とビジネスの連携によって大きく変わっていくに違いありません。

