テレビ局の映像資料活用を革新!NextorageとRecursiveが共同開発する「人物検出AIシステム」とは?【オンプレミスで効率化】

テレビ局の映像資料活用を革新!NextorageとRecursiveが共同開発する「人物検出AIシステム」とは?【オンプレミスで効率化】

テレビ局には、過去に放送された番組や取材映像など、貴重なアーカイブ映像が膨大に蓄積されています。これらの映像は、新しい番組制作や資料として非常に価値が高いものですが、必要な映像の中から特定の人物が映っている部分を探し出す作業は、これまで非常に時間と手間がかかるものでした。この課題を解決するため、メモリー・ストレージ・ソリューション事業を手掛けるNextorage株式会社と、AIソリューション開発の株式会社Recursiveが、革新的な「人物検出AIシステム」の共同開発を開始しました。

この新しいAIシステムは、テレビ局の社内ネットワーク内で完結する「オンプレミス環境」での運用を可能にし、映像検索にかかる時間を最大で90%も削減できる見込みです。これにより、映像制作の現場はより効率的になり、クリエイターは本来の創造的な作業に集中できるようになります。今回は、この画期的なシステムの詳細と、テレビ業界にもたらす変化について、AI初心者の方にも分かりやすく解説します。

テレビ局の映像資料活用における現状と課題

テレビ局が長年にわたり蓄積してきたアーカイブ映像は、その量が膨大であるため、有効活用が難しいという大きな課題を抱えています。例えば、「過去のニュース映像から特定の政治家の発言シーンを探したい」「あるタレントが出演したバラエティ番組のハイライトを集めたい」といったニーズがあった場合、これまでは以下のような作業が必要でした。

  1. 手作業による目視確認: 膨大な数のテープやデジタルファイルを一つずつ再生し、目的の人物が映っているかを目で確認する作業は、まさに「砂漠の中から一粒の砂金を探す」ようなものでした。これには、非常に多くの時間と人件費がかかります。
  2. キーワード検索の限界: 映像に付随するメタデータ(番組名、放送日、簡単な概要など)だけでは、映像内の具体的な人物の登場シーンまでを特定することは困難でした。例えば「野球」というキーワードで検索しても、無数の野球関連映像が出てくるだけで、特定の選手のホームランシーンだけを効率的に見つけることはできません。

このような状況は、テレビ業界全体のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進を妨げ、貴重な映像資産が十分に活用されていない現状を生み出していました。さらに、AI技術を導入しようとしても、クラウドサービスを利用することによるセキュリティ上の懸念や、AIの学習・運用に必要な高性能なGPU(画像処理装置)への高額な初期投資が大きな障壁となっていました。

共同開発の背景と実現のカギ

NextorageとRecursiveは、こうしたテレビ業界特有の課題に対し、両社の強みを組み合わせることで解決策を提供できると考え、共同開発に着手しました。

Nextorageは、放送業界向けのストレージ(記録媒体)に関する長年の経験と深い知識を持っています。一方、Recursiveは、企業や組織のニーズに合わせてカスタマイズされた高品質なAIソリューションを開発する専門技術を持っています。この二つの強みが結びつくことで、実用的なAIシステムの開発が可能になりました。

そして、この共同開発を現実のものとした大きなカギとなったのが、Nextorageの戦略的パートナーである台湾Phison Electronics Corp.(ファイソン・エレクトロニクス)が提供するオンプレミスLLM学習ソリューション「aiDAPTIV+」(アイダプティブプラス)の採用です。

aiDAPTIV+とは?

AI、特に大規模言語モデル(LLM)のような高度なAIを学習・運用するには、非常に大量のメモリを搭載した高性能なGPUが必要とされます。しかし、高性能GPUは高価であり、入手も難しい場合があります。また、GPUのメモリ(VRAM)は限られているため、大規模なAIモデルを扱う際には、VRAM不足が課題となることが少なくありません。

「aiDAPTIV+」は、このVRAM不足の問題を解決する画期的な技術です。GPUのVRAMだけでなく、コンピューターのメインメモリ(システムメモリ)やSSD(高速な記憶媒体)を連携して活用することで、あたかもGPUのVRAMが増えたかのようにAIモデルを動かすことができます。これにより、少ないGPUリソースでも大規模なAIを効率的に学習・運用できるようになり、導入コストの削減にも繋がります。さらに、システム全体を外部ネットワークから切り離されたオンプレミス環境(社内サーバーなど)で運用できるため、テレビ局が特に重視する高度なセキュリティ要件を満たすことが可能になります。

人物検出AIシステムの仕組みと画期的な特長

この共同開発された人物検出AIシステムは、利用者が検索したい人物の名前を入力するだけで、AIがアーカイブ映像全体を解析し、その人物が映っている具体的なシーンを自動的に探し出してくれます。

システムの仕組み

従来の映像検索では、映像を再生しながら目視で確認するか、限られたキーワード情報から推測するしかありませんでした。しかし、このAIシステムでは、高度な画像認識技術と機械学習モデルが組み合わされています。

  1. 人物名の入力: ユーザーは検索窓に「〇〇さん」のように、探したい人物の名前を入力します。
  2. AIによる映像解析: システムは、テレビ局が保有する膨大なアーカイブ映像データにアクセスし、AIがリアルタイムまたは事前に映像内のフレーム(静止画)を解析します。
  3. 対象人物の検出と抽出: AIは、入力された人物の顔や特徴を学習済みモデルと照合し、映像内のどこに、いつ、どれくらいの時間その人物が映っているかを高精度で検出します。そして、対象人物が映っているフレームを特定し、検索結果として提示します。

これにより、これまで何時間、何日もかかっていた検索作業が、あっという間に完了するようになります。

主な特長

この人物検出AIシステムには、テレビ局の制作現場に大きなメリットをもたらす複数の画期的な特長があります。

野球の動画検索結果画面

1. Phison社「aiDAPTIV+」を採用

前述の通り、「aiDAPTIV+」はAI運用のコストとセキュリティの課題を解決する重要な技術です。

  • 省メモリ化と導入コストの低減: GPUのVRAM不足をシステムメモリやSSDで補うことで、高価な高性能GPUを大量に導入する必要がなくなります。これにより、初期投資を抑えながらも、大規模なAIモデルを効率的に動かすことが可能になります。

  • 高いセキュリティの維持: システム全体をオンプレミス環境で運用できるため、映像データが外部のクラウドサーバーに送信されるリスクがありません。テレビ局にとって最も重要な情報セキュリティを確保しつつ、AIの恩恵を享受できます。

2. 従来比約90%の工数削減

このシステムは、映像検索にかかる工数を最大で90%も削減できるという驚異的な効果を持っています。具体的な比較として、高性能なAIサーバーであるNVIDIA DGX構成と比較した場合でも、わずか2.5%のコストで同等の検索処理を実現できるとされています。

これは単なる数字以上の意味を持ちます。人件費の大幅な削減はもちろんのこと、これまで検索作業に費やされていた膨大な時間を、より価値のある他の業務に振り分けられるようになります。例えば、一日の作業で10時間かかっていた検索が1時間で済むようになれば、残りの9時間は別の生産的な活動に使えるのです。

3. 制作力強化

映像検索の工数が削減されることで、テレビ番組制作現場のクリエイターやディレクターは、本来の専門分野である「編集」「演出」「ストーリーテリング」といった創造的な作業に、より深く集中できるようになります。

  • クリエイティブな時間の創出: 映像素材を探す手間が減ることで、番組の構成や表現方法をじっくりと練る時間が生まれます。

  • コンテンツの質の向上: より多くの時間をクリエイティブな作業に充てることで、視聴者にとって、より魅力的で感動的な、質の高い番組を制作できるようになります。これは、番組の視聴率向上やブランド価値の向上にも繋がるでしょう。

このシステムは、単に作業を効率化するだけでなく、テレビ番組そのものの質を高め、視聴者に新たな価値を提供するための強力なツールとなり得ます。

「Inter BEE 2025」で実物デモを体験

この革新的な人物検出AIシステムは、2025年11月19日(水)から21日(金)まで幕張メッセで開催されるメディア総合イベント「Inter BEE 2025」にて、Nextorageの展示ブースでデモンストレーションが実施される予定です。実際にシステムがどのように動作し、どれほどの効率化を実現するのかを体験できる貴重な機会となります。

展示会の概要は以下の通りです。

  • 展示会名: Inter BEE 2025

  • 会期: 2025年11月19日(水)~21日(金)

  • 会場: 幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)

  • 展示ブース: Nextorageブース(ホール 8、小間番号:8312)

  • 入場料: 無料(※ご来場には事前の登録が必要です。詳しくは公式サイトをご確認ください)

公式サイト: https://www.inter-bee.com/ja/

期間中、ブース内では随時デモ体験が実施される予定ですので、AI技術がテレビ局の未来をどのように変えるのか、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

NextorageとRecursiveが描く未来

NextorageとRecursiveは、この人物検出AIシステムの共同開発を通じて、テレビ局の制作現場における業務効率化とクリエイティブな活動の向上を強力に支援していきます。しかし、その視野は放送業界にとどまりません。

このシステムで培われたAI技術やオンプレミス環境での運用ノウハウは、将来的には放送業界以外の様々な分野、例えば企業の広報部門での映像資料管理、教育機関での学習コンテンツの検索、セキュリティ分野での監視映像解析など、多岐にわたる分野に応用される可能性を秘めています。社会全体のデジタル変革と持続可能な成長に寄与することを目指し、両社はこれからも技術革新に挑戦し続けるでしょう。

Nextorage株式会社について

Nextorage株式会社は、メモリー・ストレージ・ソリューション事業に特化した企業として、2019年10月1日に設立されました。ソニー株式会社で培われた20年間のメモリーストレージ技術の歴史を受け継ぐ技術者とスタッフを中心に構成されており、その技術力と経験は業界内で高く評価されています。同社は、テクノロジーの未来を切り拓き、ストレージの新たな価値創造を目指しています。常に最高性能・最高品質にこだわり、「世界初」や「世界No1」の製品・サービスに挑戦し続けています。

URL: https://www.nextorage.net/

aiDAPTIV+に関する詳細: aiDAPTIV+ – Nextorage

株式会社Recursiveについて

株式会社Recursiveは、AIソリューションを通じて企業や組織の事業変革を支援し、持続可能な未来社会の構築を目指すAI開発企業です。環境、エネルギー、医療、製薬、食品、小売といった幅広い業界における専門知識と、最先端のAI技術を組み合わせることで、システム開発やコンサルテーションサービスを提供しています。同社は、世界標準のテクノロジーを駆使し、次世代のためにより良い地球環境と社会の実現をリードしていくことを企業理念としています。

URL: https://recursiveai.co.jp/jp

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