画期的な「ガス機器施工品質チェックAIモデル」が日本ガス協会「2025年度 技術賞」を受賞!開発背景から仕組み、未来への貢献を徹底解説

「ガス機器施工品質チェックのAIモデル」が日本ガス協会「2025年度 技術賞」を受賞!

ガス事業の保安と生産性向上に貢献する画期的なAI技術が、その功績を認められました。大阪ガスマーケティング株式会社、エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社、そしてセカンドサイトアナリティカ株式会社の3社が共同で開発を進めてきた「施工品質チェックのAIモデル」が、このたび一般社団法人日本ガス協会主催の「2025年度 技術大賞・技術賞」において、栄えある技術賞を受賞しました。

この受賞は、ガス事業およびガス事業者の健全な発展と都市ガスの普及に貢献する技術を表彰するものであり、今回評価されたAIモデルは、ガス機器設置工事の品質確認作業に革命をもたらすものです。

受賞式

なぜAIによる施工品質チェックが必要だったのか?〜開発の動機と目的〜

ガス機器の設置工事は、人々の生活に直結する重要なインフラであり、その施工品質は保安(安全を守ること)に直結します。万が一、施工不良が発生すれば、重大な事故につながる可能性も否定できません。そのため、これまでも施工後の品質確認は厳重に行われてきました。

具体的には、施工を担当した作業員自身が行う「セルフチェック」と、管理者が行う「ダブルチェック」という二重の確認体制が敷かれていました。しかし、年間10万件以上にも及ぶガス機器設置工事の件数を考えると、この確認作業は大きな労務負担となっていました。膨大な数のチェックを手作業で行う中で、残念ながらヒューマンエラーを完全に防ぐことは困難な状況でした。

このような背景から、大阪ガスマーケティング株式会社では、最重要事項である保安を担保しつつ、同時に作業の生産性向上を目指す必要がありました。そこで、現場の作業負担を軽減し、かつ品質確認の精度を飛躍的に高めるための解決策として、AI技術の導入が検討されました。

AIモデルの導入目的は、以下の2点に集約されます。

  1. ヒューマンエラーの削減と施工品質の向上:AIが均質かつ客観的にチェックを行うことで、人為的な見落としを防ぎ、全体の施工品質を高めます。
  2. 管理者の負担軽減と業務効率化:AIがリアルタイムで判定を行うことで、確認作業にかかる時間と手間を大幅に削減し、管理者の業務負担を軽減します。

これにより、不良の早期発見と迅速な是正が可能となり、最終的にはガス利用者への安全・安心なサービス提供につながることが期待されています。

AIモデルの仕組みとは?〜高度な画像解析技術で品質を自動判定〜

今回受賞した「施工品質チェックのAIモデル」は、まさにこれらの課題を解決するために開発されました。このAIモデルは、ガス機器設置工事後に撮影された写真を基に、9項目もの確認ポイントをリアルタイムで自動判定するという画期的な仕組みを持っています。

開発の概略図と「Before/After」

以下の図は、AI導入前と導入後の作業フローを比較したものです。AI導入により、確認作業が大幅に効率化され、品質の均一化が図れることがわかります。

全体概略図

Before(AI導入前):

  • 施工セルフチェック

  • 写真撮影

  • 管理者による確認

  • 手直しが発生した場合、現場へ再訪問して確認・手直し

このプロセスでは、ヒューマンエラーによる手直しが発生すると、再度現場を訪問する必要があり、時間的・労力的なコストが大きくなっていました。

After(AI導入後):

  • 写真撮影(インプット)

  • AI判定(画像解析AIを活用)

    • 物体検出:写真からシール材や締め付け部分などの確認対象物を検出し、その座標位置と確信度を出力します。

    • 判定ロジック:検出された情報(単管の長さ、座標、確信度など)に基づき、独自の判定ロジックを適用して、施工品質を「OK」か「NG」かを判定します。

  • AI判定結果(アウトプット):リアルタイムで「AI OK」か「NG」が表示されます。

  • NGが発生した場合、その場で確認・手直しが可能

AIがリアルタイムで均質的に施工品質を確認することで、手直しが必要な場合でもその場で即座に対応できるようになり、現場への再訪問という無駄をなくすことが可能になりました。

AIモデルを支える技術

このAIモデルの中核をなすのは、約4,600枚分の実写真データを用いて学習されたディープラーニング技術です。ディープラーニングは、AIが大量のデータから特徴を自動で学習し、パターンを認識する能力を持つ技術であり、画像認識分野で大きな成果を上げています。

  • 物体検出技術:写真の中からガス機器の接続部分やシール材といった特定の「物体」を正確に識別し、その位置を特定する技術です。

  • 判定ロジック:検出された物体の状態(例:締め付け具合、シール材の塗布状況、部品の配置など)を、あらかじめ定められた品質基準と照らし合わせて自動的に「良否」を判断する仕組みです。

これらの技術を組み合わせることで、人間が行う目視確認では見落としがちな微細な不良も、AIが高速かつ高精度に検出できるようになりました。これにより、確認作業の精度と効率が飛躍的に向上し、年間10万件以上のガス機器設置工事において迅速な点検が実現しています。

日本ガス協会「技術賞」受賞の意義

一般社団法人日本ガス協会は、日本のガス事業の健全な発展と都市ガスの普及に長年貢献してきた団体です。その技術賞は、ガス業界における技術革新や安全性向上に寄与する優れた取り組みを表彰するものであり、極めて権威のある賞とされています。

技術賞受賞

今回、「施工品質チェックのAIモデル」が技術賞を受賞したことは、このAI技術がガス業界全体の保安レベルの向上と、業務の効率化に大きく貢献すると認められたことを意味します。特に、安全性が最優先されるガス事業において、AIがヒューマンエラーのリスクを低減し、均一な品質を確保できるという点が評価されたと言えるでしょう。

この受賞は、共同開発を行った3社にとって大きな栄誉であるだけでなく、日本のインフラ産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の成功事例としても、広く注目されることでしょう。

共同開発を推進した3社の役割

今回のAIモデル開発と受賞は、以下の3社の密接な連携によって実現しました。

  • 大阪ガスマーケティング株式会社:本プロジェクトの発起人であり、ガス事業における保安の確保と生産性向上という明確な課題を提示しました。現場のニーズと要件を明確にし、AIモデルが実運用で効果を発揮するための方向性を決定しました。

  • エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社:プロジェクト全体の推進役として、大阪ガスマーケティングとの方針合わせや要件整理を担当しました。また、AIモデルを組み込むための周辺システム開発を担い、AIが現場でスムーズに利用できる環境を構築しました。

  • セカンドサイトアナリティカ株式会社:AIモデルの中核部分である問題設定、構築、および評価を担当しました。約4,600枚の実写真データを用いたディープラーニングによる物体検出技術と判定ロジックの開発を行い、AIモデルの高精度な自動判定を実現しました。

    • 会社名:セカンドサイトアナリティカ株式会社

    • 所在地:東京都千代田区神田西福田町3番地 RBM神田ビル 6階

    • 代表者:代表取締役社長 高山 博和

    • URL:https://www.sxi.co.jp/

エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社の親会社であるエクシオグループ株式会社とセカンドサイトアナリティカ株式会社は、2017年10月にアナリティクス・ソリューションの開発・提供の分野で戦略的協業を開始し、2019年6月には資本・業務提携を締結しています。この強固な連携が、今回の共同開発の成功に大きく寄与したと言えるでしょう。

AI導入がもたらす未来の展望

今回のAIモデルの導入は、ガス機器設置工事における施工品質の維持・向上だけでなく、確認時のロスタイムの軽減など、多岐にわたる業務効率化が期待されています。具体的には、以下のようなポジティブな影響が考えられます。

1. 保安レベルのさらなる向上

AIが均質かつ客観的にチェックを行うことで、人間の目では見落とされがちな小さな不具合も検出できるようになります。これにより、施工不良に起因する事故のリスクをさらに低減し、ガス利用者への安全・安心なサービス提供体制が強化されます。

2. 業務効率の大幅な改善

リアルタイムでの自動判定により、これまで管理者による目視確認にかかっていた時間を大幅に短縮できます。手直しが必要な場合もその場で対応できるため、現場への再訪問が不要となり、移動時間や交通費といったコストの削減にもつながります。これにより、作業員や管理者はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。

3. 人材不足という社会課題への貢献

日本の多くの産業で人材不足が深刻化する中、ガス事業も例外ではありません。AIによる業務効率化は、限られた人材でより多くの業務をこなすことを可能にし、一人ひとりの生産性を向上させます。特に、経験豊富な熟練者のノウハウをAIに学習させることで、若手技術者の育成支援や技術継承にも寄与し、業界全体の持続可能性を高めることにも貢献するでしょう。

4. DX推進の加速

今回の成功事例は、ガス業界だけでなく、他のインフラ産業や建設業界など、同様の課題を抱える多くの分野において、AIを活用したDX推進のモデルケースとなる可能性を秘めています。デジタル技術を積極的に導入し、業務プロセスを根本から見直すことで、企業全体の競争力強化につながります。

エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社は、「システムソリューション分野におけるコンサルティングから設計・開発・運用の全般にわたる技術と知見を最大限に発揮し、お客様の課題解決・デジタルトランスフォーメーションの推進に取り組んでおります」と述べており、今後もAIを含む様々なIT技術を活用して人材不足という社会課題の解決に貢献していく方針です。

まとめ

大阪ガスマーケティング、エクシオ・デジタルソリューションズ、セカンドサイトアナリティカの3社が共同開発した「施工品質チェックのAIモデル」が日本ガス協会「2025年度 技術賞」を受賞したことは、ガス業界における保安と生産性向上に向けた大きな一歩です。

このAIモデルは、ディープラーニングと物体検出技術を駆使し、ガス機器設置工事の施工写真をリアルタイムで自動判定することで、ヒューマンエラーの削減、確認作業の効率化、そして年間10万件以上の工事における迅速な点検を可能にしました。これにより、管理者の負担軽減と施工品質の均一化が図られ、最終的にはガス利用者の安全・安心に大きく貢献します。

今回の受賞は、単に一つの技術が評価されただけでなく、AIが社会インフラの安全確保と業務効率化という重要な課題を解決しうる強力なツールであることを示すものです。今後、このようなAI技術の活用がさらに広がり、より安全で効率的な社会の実現に貢献していくことが期待されます。これは、AI初心者にとっても、AIが身近な社会にどのように役立っているかを理解する良い事例となるでしょう。

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