ZOZO研究所がAIの祭典「JSAI2025」で全国大会優秀賞を受賞!集合データ解析の新技術でファッションの未来を拓く

ZOZO研究所、人工知能学会全国大会(JSAI2025)で「全国大会優秀賞」を受賞

ZOZO研究所がAIの祭典「JSAI2025」で全国大会優秀賞を受賞!

AI(人工知能)の進化は目覚ましく、私たちの日常生活やビジネスに大きな変化をもたらしています。そんなAI分野で、株式会社ZOZO NEXTの研究開発組織「ZOZO研究所」が、日本のAI研究における最高峰のイベント「2025年度 人工知能学会全国大会(JSAI2025)」において、栄えある「全国大会優秀賞」を受賞しました。この受賞は、ZOZO研究所が提案した「集合間Bregmanダイバージェンスと置換不変NNによるその学習」という画期的な研究が高く評価された結果です。

この研究は、一見難しそうに聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば「バラバラに集まったデータの塊(集合データ)同士の『距離』を、もっと柔軟に、そして正確に測る新しい方法」をAIに教える技術です。この技術が実現すれば、例えば「このファッションコーディネートと、あのファッションコーディネートはどれくらい似ているか?」といった、これまでAIが苦手としていた複雑な問題も、より深く理解できるようになります。本記事では、AI初心者の方にも分かりやすい言葉で、この画期的な研究の内容と、それが私たちの未来にどのような可能性をもたらすのかを詳しくご紹介します。

ZOZO研究所とは?ファッションを科学するAI研究機関

「ZOZO研究所」という名前を聞いて、ファッション通販サイトのZOZOTOWNを思い浮かべる方も多いかもしれません。その通り、ZOZO研究所はファッションECを牽引するZOZOグループの研究機関です。彼らのミッションは「ファッションを数値化する」こと。これは、感覚的だと思われがちなファッションの世界を、データとAIの力で科学的に解き明かすことを意味します。

ZOZOグループは、長年にわたり膨大な量のファッション関連情報を蓄積してきました。例えば、様々な商品の画像、ユーザーの購入履歴、サイズデータ、コーディネート画像など、その種類は多岐にわたります。ZOZO研究所は、これらの貴重な情報資産を最大限に活用し、ファッションに関する新たな知見を発見したり、ユーザー体験を向上させるためのAI技術やサービスを開発したりしています。彼らの研究は、私たちがより楽しく、より便利にファッションを楽しむための基盤を築いていると言えるでしょう。

ZOZO研究所の活動は、以下の公式サイトで詳しく見ることができます。
https://research.zozo.com/

「全国大会優秀賞」の意義とJSAI2025の権威性

今回ZOZO研究所が受賞した「全国大会優秀賞」は、日本のAI研究分野において非常に権威のある賞です。この賞は、人工知能学会が主催する「人工知能学会全国大会(JSAI)」で発表された数多くの研究の中から、特に優れたものに贈られます。

人工知能学会全国大会(JSAI)は、日本で最大級のAIに関する学術イベントであり、毎年、全国の研究機関や企業から最先端のAI研究が集結します。ここでは、最新の理論から実用化に向けた技術まで、幅広い分野の発表が行われ、日本のAI研究の動向を把握する上で非常に重要な場となっています。この大会で優秀賞を受賞するということは、その研究が日本のAI分野において、学術的にも技術的にも高い評価を受け、今後の発展に大きく貢献しうると認められたことを意味します。

JSAI2025の詳細は、以下の学会ホームページで確認できます。
https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2025/

受賞研究の核心:集合データ間の距離を測る新技術とは?

ZOZO研究所が受賞した研究「集合間Bregmanダイバージェンスと置換不変NNによるその学習」は、機械学習の根幹をなす「データ間の距離を測る」という課題に、新たな視点からアプローチしたものです。AI初心者の方にも理解できるよう、その背景から詳しく解説していきます。

研究背景:なぜ「集合データ間の距離」が難しいのか?

私たちがAIに何かを学習させるとき、データ同士がどれくらい似ているか、あるいは違うかを測る「距離尺度」が非常に重要になります。例えば、「リンゴ」と「ミカン」の画像をAIに見せて、どちらがリンゴでどちらがミカンかを区別させる場合、それぞれの画像の特徴を数値化し、その数値の距離が近いほど似ている、遠いほど違うと判断します。

しかし、世の中にはもっと複雑なデータがたくさんあります。例えば、ファッションコーディネートを考えてみましょう。コーディネートは「Tシャツ」「デニム」「スニーカー」「帽子」といった複数のアイテム(データ)の組み合わせでできています。これは、一つ一つのアイテムではなく、それらが集まった「集合」として捉えることができます。このような「集合データ」同士の距離、つまり「このコーディネートとあのコーディネートはどれくらい似ているか?」を柔軟に測ることは、従来の機械学習技術では非常に困難でした。なぜなら、集合の中のアイテムの順序が変わっても、コーディネートそのものの意味は変わらないといった、集合特有の性質を考慮する必要があるからです。

集合データ間の距離を測る新たな尺度とその理論解析

ZOZO研究所の研究チームは、この課題を解決するために、まず「集合間の新たな距離尺度」を提案しました。これは、「Bregmanダイバージェンス」という、データ間の乖離度(どれくらい離れているか)を測るための数学的な概念を、集合データ向けに応用したものです。Bregmanダイバージェンスは、L2距離(ユークリッド距離)やKLダイバージェンス(情報理論で使われる距離)など、私たちがよく知る様々な距離尺度を内包する非常に汎用性の高い概念です。

研究チームは、この集合版Bregmanダイバージェンスが、既存の尺度よりも高い「表現能力」を持っていることを理論的に示しました。表現能力とは、データ間の複雑な関係性をより正確に捉えることができる能力のことです。この新しい尺度の提案により、集合データが持つ多様な構造を、より細やかに評価できるようになったのです。

提案した集合間距離尺度の学習フレームワークの開発

新しい距離尺度を提案するだけでは、AIはそれを使いこなせません。そこで次に、研究チームは、この新しい距離尺度をAIが「学習」するためのフレームワークを開発しました。ここで鍵となるのが「置換不変ニューラルネットワーク(Permutation-invariant neural network)」です。

通常のニューラルネットワークは、入力データの順序が変わると結果も変わってしまうことがあります。しかし、集合データの場合、例えば「Tシャツ、デニム、スニーカー」と「デニム、スニーカー、Tシャツ」は、アイテムの順序は違っても、同じコーディネートを指します。置換不変ニューラルネットワークは、このような集合としての構造を持ったデータを扱うことができ、入力のアイテム列の順序が変化しても出力結果が変わらないという特徴を持っています。この特性を持つニューラルネットワークを用いることで、与えられた集合データが持つ特有の構造を、AIが柔軟に学習し、提案された距離尺度を効果的に適用できるようになりました。

数値実験による有効性の検証

理論的な提案やフレームワークの開発だけでなく、研究チームは、実際にこの技術がどれほど有効かを「数値実験」によって確かめました。実験には、手書き文字データセット「MNIST」や、3次元の形状を表す点群データセット「ModelNet40」といった、広く使われているデータセットを使用しました。

その結果、提案された集合間距離尺度とその学習フレームワークが、これらのデータセットにおいて高い有効性を示すことが確認されました。特に注目すべきは、点群データの解析です。この分野では、通常、非常に大規模で複雑な深層学習モデルが必要とされますが、ZOZO研究所の提案手法は、CPUのみで学習可能なごく小規模なニューラルネットワークモデルでありながら、最先端の深層学習モデルに匹敵する性能を実現しました。これは、限られた計算資源でも高い精度を発揮できる可能性を示唆しており、より多くの場面での応用が期待されます。

関連論文のURLはこちらです。
https://openreview.net/forum?id=vr1QdCNJmN

この技術がもたらす未来:ファッションから広がる可能性

ZOZO研究所の研究は、単に学術的な成果に留まらず、私たちの未来に大きな影響を与える可能性を秘めています。この新しい技術がどのように私たちの生活や産業を変えるのか、その展望を見ていきましょう。

ファッション分野における顧客体験の向上

ZOZO研究所の研究は、ファッションコーディネートのような「集合データ」の理解を深めることを目的としています。この技術が進化すれば、以下のような形で顧客体験が向上するでしょう。

  • よりパーソナライズされたレコメンデーション: ユーザーの過去の購入履歴や閲覧履歴から、その人が好むアイテムの組み合わせ(コーディネート)をAIがより正確に理解し、最適なファッションアイテムやコーディネートを提案できるようになるでしょう。「このシャツには、こんなパンツと靴が合う」といった提案だけでなく、「あなたのクローゼットにある服と合わせて、こんな着こなしができますよ」といった、個々のユーザーに寄り添った提案が可能になるかもしれません。

  • 新しいファッション提案の創出: AIが多様なファッションアイテムの組み合わせを学習することで、これまで人間には思いつかなかったような、斬新で魅力的なコーディネートを自動で生成できるようになる可能性もあります。これにより、ファッションの楽しみ方がさらに広がるでしょう。

  • サイズやスタイルのマッチング精度の向上: 集合データとして全身のスタイルやアイテムの組み合わせを分析することで、より精度の高いサイズレコメンデーションや、体型に合ったスタイルの提案が実現するかもしれません。

広範な分野への応用可能性

本研究で提案された技術は、ファッション分野に限定されるものではありません。点群データ解析での有効性が示されたように、様々な分野の「集合データ」に応用できる可能性を秘めています。

  • 医療・ヘルスケア: 複数の検査データ(血液検査、画像診断など)の集合から病気の兆候を早期に発見したり、患者一人ひとりに最適な治療法を提案したりするAIの開発に役立つかもしれません。

  • 製造業: 部品や素材の組み合わせ(集合)から製品の品質を予測したり、不良品の原因を特定したりするAIの精度向上に貢献する可能性があります。

  • ロボティクス・自動運転: 周囲の環境を点群データとして認識し、物体や状況の集合的な意味を理解することで、ロボットのより賢い動作や、自動運転車の安全な判断をサポートできるようになるでしょう。

  • 都市計画・環境モニタリング: センサーデータや地理情報の集合から、都市の状況をリアルタイムで分析し、交通渋滞の緩和や災害予測、環境問題への対策に役立てることも考えられます。

今後の展望:さらなる精度向上と社会実装

ZOZO研究所の研究チームは、今回の研究で使用したニューラルネットワークが「小規模なもの」であったと述べています。これは、今後そのネットワークを精緻化したり、大規模化したりすることで、さらなる精度向上が見込まれることを意味します。現在の成果が小規模モデルで達成されたことを考えると、今後の発展には大きな期待が寄せられます。

この技術が進化し、様々なサービスに組み込まれることで、私たちの顧客体験が向上し、より便利で豊かな社会の実現に寄与することが期待されます。ZOZO研究所の今後の研究開発の動向に注目が集まります。

まとめ:AIでファッションの未来を切り拓くZOZO研究所

ZOZO研究所が人工知能学会全国大会(JSAI2025)で「全国大会優秀賞」を受賞したことは、日本のAI研究における大きな成果であり、特にファッション分野におけるAI活用の可能性を広げる画期的な一歩です。

彼らが提案した「集合間Bregmanダイバージェンスと置換不変NNによるその学習」は、これまでAIが苦手としていた複雑な「集合データ」の距離を柔軟かつ正確に測ることを可能にし、ファッションコーディネートの理解から、医療、製造、ロボティクスといった多岐にわたる分野での応用が期待されます。小規模なモデルで最先端の性能を発揮したという点も、今後の研究開発における効率性や汎用性の面で大きな強みとなるでしょう。

この受賞は、ZOZO研究所が「ファッションを数値化する」というミッションを着実に実現し、AI技術を通じて私たちの生活を豊かにしていく姿勢を示しています。これからもZOZO研究所の挑戦が、AIとファッションの新たな未来を切り拓いていくことに期待しましょう。

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