【地銀初】横浜銀行が「AIエージェント型ボイスボット」導入で電話応対5割減へ!顧客と銀行の課題を解決する次世代AIサービスとは?

横浜銀行が、コンタクトセンター向けCXソリューションを提供するモビルス株式会社の「AIエージェント型ボイスボット」を導入し、ローン関連証明書の発行申請の電話受付を自動化しました。生成AIを活用したAIエージェント型ボイスボットの導入は、地方銀行では初めての試みとなります。

この革新的な取り組みにより、繁忙期には月間1,600件にも上る証明書発行申請の電話応対時間を約5割削減し、顧客の利便性向上と銀行の業務効率化を同時に実現することを目指しています。

横浜銀行とモビルスのロゴ

なぜAIエージェント型ボイスボットが必要だったのか?導入の背景と課題

横浜銀行では、住宅ローン年末残高証明書や融資取引明細表など、さまざまな証明書の発行・再発行業務を行っています。特に、年末調整や確定申告の時期には住宅ローン年末残高証明書の再発行依頼が集中し、月間で約1,600件、1日最大で約150件もの電話問い合わせが発生していました。

このような状況は、以下のような深刻な課題を引き起こしていました。

  • 電話がつながらない「あふれ呼」の発生: オペレーターの人員が限られているため、電話が混み合い、顧客がなかなかオペレーターと話せない状況が発生していました。

  • 顧客満足度の低下: 電話がつながらないことで、顧客の不満が高まり、サービスへの満足度が低下する恐れがありました。

  • オペレーターの負担増: 大量の電話応対により、オペレーターの業務負担が増大し、疲弊を招く可能性がありました。

これらの課題を解決し、顧客の利便性を高め、同時に業務を効率化するために、横浜銀行はローンに関する5種類の証明書(住宅ローン年末残高証明書、返済予定表、融資取引明細表、借入金利息証明書、残高証明書)の発行申請を電話で自動受付するサービスの導入を検討しました。

横浜銀行は既にモビルスのボイスボット「MOBI VOICE」を一部の問い合わせ窓口に導入していましたが、証明書発行においては、より人に近い自然な応対と、顧客の状況に応じた正確なヒアリングが必要だと判断。そこで、「MOBI VOICE」の新機能である「AIエージェント型ボイスボット」の導入が検討されました。

モビルスと横浜銀行は、2025年6月から3ヶ月間にわたる実証実験(POC:概念実証)を実施。その結果、申請受付から完了までの全工程を自動化できることが確認され、今回の正式導入に至りました。

各種証明書の再発行や発行の申請方法については、横浜銀行のウェブサイトでご確認ください。
https://www.boy.co.jp/

「AIエージェント型ボイスボット」とは?従来のボイスボットとの違いを徹底解説

今回導入された「AIエージェント型ボイスボット」は、生成AIの技術を最大限に活用することで、まるで人間が応対しているかのような自然な対話を実現する次世代のボイスボットです。

従来のボイスボットとAIエージェント型ボイスボットには、以下のような大きな違いがあります。

従来のボイスボットとAIエージェント型ボイスボットの違い

従来のボイスボットの課題

従来のボイスボットは、事前に設定されたシナリオやフローに沿って、質問を一つずつ順番に確認していく「ワークフロー型」が主流でした。そのため、顧客が途中で別の質問をしたり、曖昧な言い方をしたりすると、対応が難しくなることがありました。最終的にオペレーターへの引き継ぎが必要となるケースも多く、完全な自動化には限界がありました。

AIエージェント型ボイスボットの進化

一方で、AIエージェント型ボイスボットは、生成AIの能力により、以下のような高度な顧客対応が可能です。

  1. 自然な対話能力: 顧客一人ひとりの話し方や状況に応じて、人間のように自然で柔軟な会話を展開します。
  2. 意図のくみ取りと情報深掘り: 顧客が曖昧な依頼をしても、その意図を正確にくみ取り、必要な情報を深掘りして特定することができます。
  3. データ参照と候補提示: 例えば、顧客が証明書名や店舗名を不明確に答えた場合でも、登録情報や既存データを参照し、高精度で候補を提示します。
  4. 不完全な回答への対応: 音声中の雑音にも柔軟に対応しながら、回答が不完全な場合には自然に問い返しを行い、必要な情報を聞き取って申請受付を完了させます。

これにより、顧客はまるで人間と話しているかのようなストレスの少ないスムーズな応対を体験できます。

生成AIの新たな活用: 曖昧な発話もAIが自動で判断

例えば、顧客が「溝口横浜支店」と発話した際に、従来のボイスボットでは確認できない場合がありました。しかし、AIエージェント型ボイスボットは、登録された店舗情報から「溝口支店」や「横浜駅前支店」といった似た店名を自動で参照し、顧客に候補を提示することで、正確な情報を引き出すことができます。これにより、顧客はスムーズに手続きを進めることができ、オペレーターは折り返し確認や情報修正などの手間を削減し、業務効率を向上させることが可能となります。

AIエージェント型ボイスボットでの証明書発行受付の流れ

横浜銀行が導入したAIエージェント型ボイスボットによる証明書発行受付は、以下の流れで進められます。

AIエージェント型ボイスボットでの各種証明書の発行受付の流れ

  1. 顧客からの電話: 顧客が横浜銀行の問い合わせ窓口へ電話し、ガイダンスに従って証明書の発行を選択します。
  2. AIエージェント型ボイスボットが受付開始: AIエージェント型ボイスボットが自動で受付を開始します。
  3. 必要情報の回答: 顧客は取引店舗名や発行を希望する証明書など、必要な情報を回答します。
  4. AIエージェントが情報を推測・提示: 顧客が言い間違いをしたり、曖昧な回答をしたりしても、AIエージェントは登録された店舗情報や既存情報から自動で参照・推測し、高い精度で候補となる回答を提示します。
  5. 情報の確認と受付完了: 顧客の回答が不完全だった場合は、AIエージェントが自然な問い返しを行い、正確な情報を取得して発行申請の受付を完了させます。追加質問が必要な場合は、オペレーターが折り返し電話で確認することもあります。
  6. 証明書の発行: 本部担当者が問い合わせ内容を確認し、証明書を発行します。

この一連の流れにより、顧客との対話時間を大幅に削減し、顧客満足度とコスト削減の両立を目指します。

導入による効果と横浜銀行担当者の声

今回のAIエージェント型ボイスボットの導入により、横浜銀行は証明書発行における電話での応対時間を約5割削減することを目指しています。これは、顧客の待ち時間短縮やスムーズな手続きに繋がり、顧客満足度の向上に大きく貢献します。また、オペレーターの業務負担が軽減されることで、より複雑な問い合わせや顧客対応に集中できるようになり、サービス全体の質の向上も期待されます。

株式会社横浜銀行 事務サービス部 融資・外為Gの福島さまは、今回の導入について以下のようにコメントしています。

「『MOBI VOICE』を導入し、数年経過しました。1次受電についてはボイスボットで完結する部署が広がってきていましたが、簡易的な受付以外は『返電』が必須でした。この『返電』を無くせないかと考えていたところ、生成AI活用の提案をいただき、今回手始めとして『AIエージェント型ボイスボットでの各種証明書の発行受付』を導入させていただきました。 『返電』しなければ得られない不明瞭な情報に対して、AIエージェントがきめ細やかにヒアリングをおこなうので、全量ではないですが、『返電』不要の受電が実現できています。特にAIエージェントがピンポイントで住所の間違いを修正してくれた時は感動しました。今後はフロー等を見直し、極限まで『返電』不要な受電を増加させていきたいと考えています。」

このコメントからも、AIエージェント型ボイスボットが、これまでのボイスボットでは難しかった「返電」の必要性を減らし、より精度の高い自動対応を実現していることが伺えます。特に、曖昧な情報からの正確な聞き取りや、住所の間違い修正といった具体的な成果は、生成AIのきめ細やかなヒアリング能力がもたらす大きなメリットと言えるでしょう。

「MOBI VOICE」とは?AIエージェント型ボイスボットの基盤

今回、横浜銀行が導入したAIエージェント型ボイスボットの基盤となっているのは、モビルスが提供するボイスボットシステム「MOBI VOICE(モビボイス®)」です。

「MOBI VOICE」は、電話の問い合わせ対応をAIで自動化することを目的としたシステムです。これを導入することで、ピーク時の電話の集中による「あふれ呼」に対応したり、24時間365日体制で稼働させたりすることが可能になり、顧客体験(CX)の向上に貢献します。

さらに、「MOBI VOICE」はオペレーション支援AI「MooA®(ムーア)」と連携することも可能です。これにより、対応内容を自動で要約し、その要約データをCRM(顧客関係管理)システムなどに流し込むことで、ACW(平均後処理時間)の削減も実現します。結果として、コールセンターの応答率向上とオペレーターの業務効率化を同時に達成できるのです。

AI電話自動応答、ボイスボット「MOBI VOICE」の詳細はこちらをご覧ください。
https://mobilus.co.jp/service/voice

今後の展望:さらなる利便性向上とAI活用へ

横浜銀行は、今回のAIエージェント型ボイスボットの導入を皮切りに、さらなる顧客満足度向上とコスト削減を目指していきます。具体的には、以下のような今後の展望を掲げています。

  • 24時間365日対応の実現: 現在、一部の業務に限定されている自動応対を、将来的に24時間体制へと拡大し、顧客がいつでも必要な情報にアクセスできるよう利便性を高める計画です。

  • 他の業務への展開: 証明書発行以外の業務にもAIエージェント型ボイスボットの活用を広げ、銀行全体の業務効率化を図ることを視野に入れています。

  • 生成AI活用の深化: 問い合わせ窓口における生成AIの活用について、さらに積極的な検討を進めています。例えば、オペレーターの指導・管理を行うスーパーバイザー向けに、AIに適切な指示を与える「プロンプト」の作成・運用に関するトレーニングの実施を検討するなど、業務全体の質と効率を高める取り組みを強化していく方針です。

モビルス株式会社も、「MOBI VOICE」をはじめとするCXソリューションやCXコンサルティングの提供を通じて、横浜銀行の業務効率化と顧客体験の向上に貢献していくと述べています。モビルスの詳細については、以下の公式ウェブサイトをご覧ください。
https://mobilus.co.jp

まとめ:AIが拓く金融サービスの未来

横浜銀行による「AIエージェント型ボイスボット」の導入は、地方銀行におけるAI活用の先駆けとなる画期的な取り組みです。今回の導入は、単なる業務の自動化に留まらず、顧客がよりスムーズでストレスのないサービスを受けられるようになるだけでなく、銀行側の業務負担軽減や効率化にも大きく貢献します。

生成AIの進化は、金融業界だけでなく、あらゆる業界の顧客サービスを大きく変える可能性を秘めています。人間のような自然な対話能力を持つAIエージェントは、顧客と企業のコミュニケーションをより円滑にし、新たな顧客体験を創造するでしょう。横浜銀行のこの挑戦は、これからの金融サービスのあり方を示す、重要な一歩と言えるでしょう。今後、他の金融機関や企業がどのようにAIを活用し、顧客体験を向上させていくのか、その動向に注目が集まります。

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