AI処理を劇的に高速化!フューチャーが独自開発したFPGA搭載型AIアクセラレータ「Mark-I」とは?RISC-V Day Tokyo 2026 Springで初公開

AI(人工知能)の進化は目覚ましく、私たちの生活やビジネスに革新をもたらしています。しかし、AIがより高度な処理を行うためには、計算能力のさらなる向上が不可欠です。この課題に対し、ソフトウェアだけでなくハードウェアの側面から解決策を追求しているのが、フューチャー株式会社です。

フューチャーは、未来のコンピュータ技術とビジネス開発を目指す研究開発組織「ki-labs(ケーアイラボ)」を2024年10月に立ち上げ、AI処理を高速化する専用ハードウェア、AIアクセラレータ「開発コード名:Mark-I(マークワン)」を独自開発しました。

AIハードウェアのコンセプトイメージ

この「Mark-I」は、2026年3月5日に東京大学 伊藤国際学術研究センターで開催される、オープンソースの命令セットアーキテクチャ「RISC-V」に関する日本最大級の技術カンファレンス「RISC-V Day Tokyo 2026 Spring」にて初公開されます。

フューチャーがAI分野で推進する取り組み

フューチャーは、20社以上のグループ企業を展開するソーシャルデザインカンパニーとして、AIの学術研究や研究開発に積極的に取り組んでいます。AI専門チーム「Strategic AI Group」を中核に、AI技術の最前線を追求してきました。

その実績の一つとして、経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進する国内生成AIの開発力強化プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」に2024年10月に採択されています。このプロジェクトでは、国内のさまざまな大学研究室と連携し、「日本語とソフトウェア開発に特化した基盤モデル」を構築し、一般公開した実績もあります。詳細はこちらのプレスリリースで確認できます。

また、「経営とAIをデザインする」というスローガンのもと、主要事業会社のフューチャーアーキテクトとともに、顧客の経営課題や社会課題を実践的に解決するAIコンサルティングサービスを提供しています。

AIの社会実装が急速に進む中で、ソフトウェアの最適化だけではAI処理の性能や電力効率の課題を解決しきれない場面が増えています。そこで、フューチャーのki-labsは、ハードウェアの観点からこれらの課題を解決すべく、AIアクセラレータの開発を進めてきました。

独自開発AIアクセラレータ「Mark-I」の技術的特長を詳しく解説

FPGA搭載で柔軟なカスタマイズを実現

「Mark-I」の最大の特長は、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)を採用している点です。FPGAとは、製造後に購入者が回路の構成を自由に書き換えられる半導体のことです。例えるなら、用途に合わせて中身を自由に入れ替えられる「変身ロボット」のようなもので、AIの処理内容やアルゴリズムが変わっても柔軟に対応できるため、特定の用途に特化した最適なAIハードウェアを構築できます。

CNNの高速処理を可能にするシストリックアレイ

Mark-Iは、8基のシストリックアレイを搭載することで、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)の高速処理を可能にしました。シストリックアレイとは、たくさんの小さな計算機(演算ユニット)が格子状に並んでいて、データがまるでベルトコンベアのように一定のリズムで流れながら計算を進めていく仕組みです。効率的に大量のデータを処理できるため、特に画像認識や音声認識など、パターンを見つけるのが得意なAI(CNN)の計算を高速化するのに役立ちます。

エッジ領域でのリアルタイム処理に優位性

FPGAの柔軟性とシストリックアレイによる高速処理の組み合わせにより、「Mark-I」はエッジ領域でのリアルタイム処理、例えば顔検出のような用途において圧倒的な優位性を発揮します。エッジ領域とは、デバイスやセンサーの近くでデータを処理する場所のことで、クラウドにデータを送らずにその場で処理することで、遅延を減らし、プライバシー保護にも貢献できます。

フルスタックでの自社開発がもたらす最適化

「Mark-I」のもう一つの大きな特長は、すべての回路設計のソースコード(SystemVerilog)から制御ソフトウェアまでを、フューチャーがフルスタックで自社開発している点です。これにより、AI活用の目的に応じたフルカスタマイズと最適化を、きめ細かく実現できます。

コントローラにはRISC-Vアーキテクチャを採用しており、Rustで開発したソフトウェアにより、効率的で精密なデータフロー制御を実現しています。

  • RISC-V(リスクファイブ): これは、CPU(コンピューターの頭脳)の設計図である「命令セットアーキテクチャ」の一種で、誰でも自由に利用・改変できるオープンソースとして提供されています。これにより、特定の用途に特化したCPUを開発しやすくなります。

  • Rust(ラスト): C言語やC++言語と同じくらい高速に動作するプログラミング言語でありながら、独自の仕組みでプログラムの安全性を高く保てるのが特長です。メモリの誤った使い方によるバグが起きにくいとされており、StackOverflowの調査で「最も愛されているプログラミング言語」に選ばれ続けています。

これらの独自開発技術により、フューチャーはAIハードウェアの性能を最大限に引き出し、顧客のニーズに合わせた最適なソリューションを提供できるようになります。

Mark-Iの仕様

「Mark-I」が切り拓く未来のビジネス

フューチャーはこれまで、大規模な基幹系・勘定系システムの構築プロジェクトで培ってきた知見に、先進的なAI技術の活用を融合させる取り組みを推進してきました。

自社で開発したAIアクセラレータ「Mark-I」を中核に、用途や要件に応じて柔軟にカスタマイズできるAIハードウェアを組み合わせることで、ビジネスの未来を創造する新たなデジタル基盤の実現を目指します。フューチャーは、今後も経営戦略の策定からAIモデルの設計、AIハードウェアの実装までを一気通貫で手掛けることで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に支援していく方針です。

「RISC-V Day Tokyo 2026 Spring」で「Mark-I」を初公開

「Mark-I」は、2026年3月5日に開催される「RISC-V Day Tokyo 2026 Spring」にて初めて一般公開されます。このイベントは、オープンソースの命令セットアーキテクチャ「RISC-V」に関する日本最大級の技術カンファレンスです。2017年から毎年開催されており、国内外の主要企業や学生、研究者が最新のチップ設計、AIアクセラレータ、セキュリティ技術などの動向を共有する場となっています。

イベント概要

  • 開催日時: 2026年3月5日(木) 9:00~18:00

  • 会 場: 東京大学 伊藤国際学術研究センター(東京都文京区本郷7-3-1)

  • 主 催: RISC-V協会

  • 参 加 費: 無料(事前の参加登録が必要)

  • 公式サイト: https://riscv.or.jp/risc-v-day-tokyo-2026-spring-j/

デモンストレーションと講演内容

今回の出展では、「Mark-I」によるリアルタイム物体検出のデモンストレーションが予定されています。エッジFPGAで人物の顔をリアルタイムに検出し、メタ情報化することでプライバシーに配慮したAIの活用イメージが紹介されるとのことです。

また、16:30からは『RISC-Vを活用したカスタムAIアクセラレータ開発事例』と題した20分間の講演も実施されます。この講演では、Mark-Iの開発背景や技術的な詳細、そして今後の展望について、より深く知る機会となるでしょう。

プレゼンテーション風景

まとめ

フューチャー株式会社が独自開発したFPGA搭載型AIアクセラレータ「Mark-I」は、AI処理の高速化と柔軟なカスタマイズを両立させる画期的なハードウェアです。自社で回路設計からソフトウェアまでをフルスタックで開発することで、特定のAI活用目的に最適化されたソリューションを提供できる点が大きな強みです。

この「Mark-I」が「RISC-V Day Tokyo 2026 Spring」で初公開されることで、AIハードウェアの新たな可能性が示され、エッジAIやリアルタイム処理が求められる様々な分野での応用が期待されます。フューチャーのAI技術とハードウェア開発の融合は、企業のDX推進に貢献し、未来のビジネスを創造する新たなデジタル基盤の実現に向けて、重要な一歩となるでしょう。

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