武蔵野大学「アントレプレナーシップ教育共創フォーラム2026」レポート公開!AI時代の学びと未来の起業家精神を深掘り

武蔵野大学が「アントレプレナーシップ教育共創フォーラム2026」レポートを公開

集合写真、セミナー

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部および武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所は、2026年2月1日に武蔵野キャンパスで開催された「アントレプレナーシップ教育共創フォーラム2026」の開催レポートを、2月27日(金)に公開しました。

このフォーラムには、日本国内外からアントレプレナーシップ教育に取り組む約100名の教育実践者が集結。教育現場の生きた知見を持ち寄り、「探究×アントレプレナーシップ」「AI時代の学びの再設計」「Global Entrepreneurship Education(英語セッション)」という3つの重要なテーマについて活発な議論が交わされました。

アントレプレナーシップ教育とは?未来を切り拓く「起業家精神」

「アントレプレナーシップ」という言葉は、まだ耳慣れない方もいるかもしれません。武蔵野大学では、この「アントレプレナーシップ(起業家精神)」を、「高い志と倫理観に基づき、失敗を恐れずに一歩を踏み出し、新しい価値を見つけ出し、それを形にしていく心持ち」と定義しています。

これは、単に会社を立ち上げる「起業」だけを指すものではありません。むしろ、どのような状況においても自ら課題を見つけ、解決策を考え、実行していく主体的な姿勢、つまり「人生を自ら選択するための力」を育む教育なのです。AI技術が社会のあらゆる側面を変革する現代において、このアントレプレナーシップは、子どもたちが未来を生き抜くために不可欠な能力として、ますます注目されています。

フォーラムで浮き彫りになった教育の課題:問われるのは「大人の意識」

フォーラムの分科会では、3つのテーマに沿って議論が深められました。それぞれのテーマで共通して浮かび上がったのは、現代の教育が抱える本質的な課題です。

1. 「探究×アントレプレナーシップ」

探究学習は、生徒が自ら問いを立て、情報を収集・分析し、解決策を導き出す学習方法です。アントレプレナーシップ教育と組み合わせることで、生徒たちは実社会の課題に主体的に取り組む力を養います。しかし、このテーマでは、「正解を探すこと」や「点数を取ること」が目的化し、本来の探究心や創造性が阻害されている現状が指摘されました。教育のプロセスよりも、結果や評価ばかりが重視される傾向が、生徒たちの自由な発想を妨げているという議論です。

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2. 「AI時代の学びの再設計」

AI技術の進化は、私たちの仕事や生活だけでなく、学びのあり方にも大きな影響を与えています。AIが多くの情報処理や定型業務を担うようになる中で、人間が本当に学ぶべきことは何でしょうか?この分科会では、「AI時代に求められる能力とは何か」「どのように教育を再設計すべきか」が議論されました。ここでも、「受賞や資金調達を目指すこと」といった“手段の目的化”が問題視されました。AIを「便利なツール」として活用するだけでなく、AIにはできない人間ならではの創造性や倫理観、共感力を育む教育の重要性が強調されました。

集合写真、教室、セミナー

3. 「Global Entrepreneurship Education(英語セッション)」

グローバル化が進む現代において、国際的な視野を持ち、多様な文化や価値観の中で新しい価値を創造できるアントレプレナーシップを持つ人材の育成は喫緊の課題です。英語でのセッションでは、海外の教育事例も共有され、国際的な視点からアントレプレナーシップ教育のあり方が議論されました。ここでも、子どもたちの資質の問題ではなく、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えられない社会構造や、それを許容しない大人側の意識こそが問われているという認識が共有されました。

セミナー、教室、国際的

これらの議論を通じて、参加者全員が共有した認識は、「生徒や学生の能力や資質の問題ではなく、失敗を許容しない社会の構造や、私たち大人側の意識こそが、アントレプレナーシップ教育の推進を阻害している」というものでした。そして、「教育者自身がまず変わり、挑戦する姿勢を示すこと」が、これからの教育において最も重要であると確認されました。

フォーラムの具体的な内容と国内外の事例紹介

オープニングセッション:アントレプレナーシップは「人生を自ら選択する力」

フォーラムのオープニングセッションでは、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長の伊藤羊一氏が登壇しました。

講演、男性、マイク

伊藤氏は、「アントレプレナーシップは、単に起業のためだけの力ではなく、一人ひとりが自分の人生を主体的に選択し、切り拓いていくための力である」と述べ、フォーラムの趣旨を改めて参加者に共有しました。この言葉は、アントレプレナーシップ教育が、特定の職業を目指すものではなく、すべての人にとって普遍的な価値を持つことを示唆しています。

また、研究発表として、フリー株式会社、アントレプレナーシップ学部、ウェルビーイング学部の3者による「幸福度に関する共同研究」の中間報告が行われました。フリー株式会社「起業時代」編集長の磯貝美紀氏が、起業と幸福度の関連性について、興味深い知見を共有しました。

プレゼンテーション、女性、マイク

海外・国内の先進事例から学ぶ

セッションでは、国内外のアントレプレナーシップ教育の先進事例が多数紹介されました。これにより、参加者は多様な実践方法や課題解決のヒントを得ることができました。

海外事例

インド工科大学、シンガポール国立大学、フィリピン大学ディリマン校、インドネシア・マルチメディアヌサンタラ大学など、アジア各国の主要大学からの事例が発表されました。

講演、男性、NUS

シンガポール国立大学のHENG Wui Liang氏(BLOCK71, NUS Enterprise Deputy Director)やKeith Tan氏(National University of Singapore, EDIC Area Director, Industry Liaison)からは、大学がどのように学生の起業を支援し、イノベーションエコシステムを構築しているかについて具体的な取り組みが紹介されました。

講演、男性、東京

インド工科大学ボンベイ校のDr. Kirankumar S. Momaya氏(Professor, Innovation and Competitiveness)やインド工科大学ハイデラバード校のLohithaksha Maniraj Maiyar氏(Assistant Professor and Head of Department)からは、インドにおける起業家教育の現状と課題、そして未来に向けた展望が語られました。

講演、男性、大学

インドネシアのUniversitas Multimedia NusantaraからはIka Yanuarti Loebiantoro氏(Vice Rector for Student Engagement, Employability, and Entrepreneurship)が、フィリピン大学ディリマン校からはJocel Isidro Dilag氏(Senior Lecturer)が登壇し、それぞれの国でのユニークな教育実践が共有されました。また、TechShake Pte. Ltd.のKotaro Adachi氏(CEO & Co-Founder)からは、スタートアップ支援の視点から教育への提言がありました。

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女性、スピーカー、バティック柄

男性、スピーチ、黒板

男性、講演、電通国際情報サービス

国内事例

日本国内からは、高校における実践事例として、山形県の惺山高等学校と徳島県の神山まるごと高等専門学校の取り組みが発表されました。

男性、講演、惺山高等学校

惺山高等学校の髙橋亮氏からは、地方における高校生のアントレプレナーシップ育成の挑戦と成果が語られました。地域課題の解決を目指すプロジェクト学習を通じて、生徒たちがどのように主体性を育んでいるかが紹介されたことでしょう。

男性、スピーチ、神山まるごと高専

神山まるごと高等専門学校の齋藤亮次氏からは、地域と密接に連携しながら、実践的な起業家教育を行う高専のユニークなカリキュラムが紹介されました。地域を巻き込みながら、社会実装を目指す学生たちの姿は、参加者に大きな刺激を与えたことでしょう。

各テーマの議論をまとめたレポートを公開

今回のフォーラムの議論は、以下のレポートとしてまとめられ、公開されています。

これらのレポートは、アントレプレナーシップ教育に関心のあるすべての人にとって、貴重な情報源となるでしょう。特に、AI時代における教育の方向性や、実践的な探究学習のあり方について深く学びたい方におすすめです。

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長 伊藤羊一氏のコメント

伊藤羊一学部長

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長の伊藤羊一氏は、今回のレポート公開にあたり、次のようにコメントしています。

「本レポートは、教育に関わる多様な実践者が立場を越えて混ざり合い、率直に問いを共有した結果生まれました。アントレプレナーシップ教育の本質は、何かを教え込むことではなく、一人ひとりが本来持っている力を引き出すことにあります。今回の対話が、それぞれの現場での新たな挑戦につながることを願っています。次回のフォーラムは2027年1月31日(日)に開催を予定しており、レポートも公開していく所存です。志をともにするみなさん、また会いましょう!」

このコメントからは、アントレプレナーシップ教育が単なる知識伝達ではなく、個人の潜在能力を引き出すことを目指す、という強い信念が伝わってきます。また、次回フォーラムの開催にも言及されており、この分野における継続的な対話と発展への意欲が伺えます。

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部について

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部は、2021年に日本で唯一のアントレプレナーシップ学部として開設されました。武蔵野大学のブランドステートメントである「世界の幸せをカタチにする。」に基づき、高い志と倫理観を持ち、失敗を恐れずに挑戦し、新たな価値を見出し、創造していくアントレプレナーシップを持つ人材の育成を目的としています。

この学部では、起業を目指す学生だけでなく、既存企業の中で新しい事業を立ち上げる「社内起業家」や、社会課題を解決するためのNPO・NGOを立ち上げる「社会起業家」など、多様な形で社会に貢献できる人材の育成を目指しています。

武蔵野大学の教育改革と未来への挑戦

武蔵野大学建物

武蔵野大学は、1924年に仏教精神を根幹とした人格教育を理想に掲げ、武蔵野女子学院として設立されました。その後、武蔵野女子大学を経て、2003年に武蔵野大学に名称を変更し、2004年の男女共学化以降、積極的な大学改革を推進してきました。

現在では、13学部21学科、13大学院研究科、通信教育部など、学生数13,000人を超える総合大学へと発展しています。特に、2019年には国内私立大学初のデータサイエンス学部を、2021年には国内初のアントレプレナーシップ学部を開設。さらに、「AI活用」と「SDGs」を必修科目とする全学共通基礎課程「武蔵野INITIAL」をスタートさせるなど、未来を見据えた教育改革を積極的に行っています。

2023年には国内初のサステナビリティ学科を開設し、2024年には創立100周年を迎え、世界初のウェルビーイング学部を開設しました。2050年の未来に向けて、クリエイティブな人材を育成するため、常に進化し続ける大学として注目を集めています。

まとめ:教育の未来を切り拓くアントレプレナーシップとAIの融合

武蔵野大学が公開した「アントレプレナーシップ教育共創フォーラム2026」の開催レポートは、AIが急速に進化する現代において、教育がどのような役割を果たすべきか、そして私たちがどのように学びのあり方を変えていくべきかについて、深く考えるきっかけを与えてくれます。

「手段の目的化」からの脱却や「大人側の意識改革」といった本質的な課題提起は、教育現場だけでなく、社会全体で共有されるべき重要なメッセージです。アントレプレナーシップ教育は、単なる知識の詰め込みではなく、子どもたちが自らの人生を主体的にデザインし、変化の激しい未来をたくましく生き抜くための力を育むものです。

このレポートが、教育関係者だけでなく、未来を担う子どもを持つ保護者や、社会の変革に関心を持つすべての人々にとって、新しい学びと成長のヒントとなることを期待します。

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