現代のソフトウェア開発において、システム同士がデータを連携する「API(Application Programming Interface)」は非常に重要な役割を担っています。スマートフォンアプリからWebサービス、さらには企業の基幹システムまで、あらゆる場所でAPIが活用されており、その品質を安定して保つことが、サービス全体の信頼性につながります。
このような背景の中、テクマトリックス株式会社は、米国Parasoft Corporationが開発したAPIテストの自動化とサービス仮想化を一つのツールで実現する「SOAtest/Virtualize 2025.3」の販売を2026年1月28日より開始しました。この最新バージョンでは、AI機能が大幅に強化され、さらにレガシーなシステムとの連携テストも効率的に行えるようになっています。

APIテストとサービス仮想化の重要性
APIは、異なるシステム間で情報を受け渡しするための「窓口」のようなものです。例えば、オンラインショッピングで商品を購入する際、在庫確認や決済処理、配送手配など、裏側では複数のシステムがAPIを通じて連携しています。これらのAPIが正しく機能するかを確認するのが「APIテスト」です。
AIを活用したアプリケーション開発や、定期的なセキュリティ更新、バージョンアップに伴う「回帰テスト」(変更が他の機能に影響を与えないかを確認するテスト)では、REST APIだけでなく、MQ、JMS、TCP、UDP、SFTPといった昔から使われている多様なプロトコルを使ったメッセージ送受信のテストも自動化する必要があります。これらのテストを効率的に行うためには、専用のテストツールが不可欠です。
サービス仮想化とは?
「サービス仮想化」とは、まだ開発中のシステムや、外部連携で使うものの常に利用できるわけではないシステム(例えば、他社のAPIや高額な外部サービスなど)の代わりに、その振る舞いを模倣した「仮想サービス」(高機能なモックサーバーやスタブとも呼ばれます)を自動生成する技術です。これにより、本物のシステムがなくても、必要なときに何度でもテストできる環境を用意し、アプリケーションが取得データを使って正しく動作するかを確かめられるようになります。
SOAtest/Virtualizeは、APIを「作る側」と「使う側」の両方を支援し、テストの自動化とサービス仮想化の2つの面から開発効率を高めます。
SOAtest/Virtualize 2025.3の主な新機能・改善点
「SOAtest/Virtualize 2025.3」では、特にAI機能が大幅に強化され、MCPサーバーが新たに搭載された点が注目されます。また、レガシーシステムへの対応も強化されています。
AI機能の大幅強化とMCPサーバー搭載
1. MCPサーバーを搭載:自然言語でAPIテストを実行
今回のバージョンアップで、MCP(Managed Co-Pilot)サーバーが新たに搭載されました。これにより、ユーザーは自然言語で指示するだけで、任意のAIエージェントからSOAtestを呼び出してAPIテストを実行し、その結果を確認できるようになりました。事前にSOAtestのテスト資産(テストのシナリオやデータ)を細かく作っておく必要がなく、自然言語の指示に沿ったAPIテストを素早く実行できるため、検証のスピードアップが期待できます。
例えば、「https://parabank.parasoft.com/parabank/services/bank/customers/12212/accounts を取得して、balance の値が 5000 以上であることを確認してください」といった具体的な指示を出すだけで、AIがテストを実行してくれます。

MCPサーバーの設定は、JSONファイルで管理され、柔軟な環境構築が可能です。

2. AI Assertor機能:AIの出力内容を自然言語で検証
AIを活用したアプリケーション開発では、「AIの出力内容が毎回変わる」という課題があります。従来のテストでは、期待する文字列と完全に一致するかを検証していましたが、AIの出力は常に変動するため、この方法では適切な品質チェックが困難でした。
SOAtest/Virtualize 2025.3では、この課題に対応するため「AI Assertor」機能が追加されました。この機能は、AIが生成する回答の「文脈」や「内容」を自然言語で検証できます。たとえ全く同じ文字列でなくても、その趣旨が期待通りであるかを判断できるため、AIを実装したモダンな開発におけるテスト自動化を強力に支援します。

3. MCPサーバーやMCPサーバーを利用するアプリのテスト支援
MCPサーバー自体の開発や、既存のアプリケーションにMCPサーバーを連携させる拡張開発も増えています。これに対応するため、SOAtest/Virtualize 2025.3には以下の機能が搭載されました。
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MCP Client機能: MCPサーバー自体の挙動の検証を自動化します。
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MCP Listener機能: MCPサーバーと連携するアプリケーションをテストする際に、MCPサーバーの代わりとなって疑似データを提供します。
これらの機能により、AIを活用した開発環境全体でのテスト自動化が促進されます。
4. AIアシスタントがチャット形式でスタブを生成
チャット形式でテスト資産を生成するAIアシスタントも進化し、自然言語でスタブ(仮想サービス)を生成できるようになりました。例えば、OpenAPIの定義ファイルと「ログインする」「支払いを実施する」「口座残高を確認する」といったテスト手順を指示するだけで、AIが対応する仮想アセットを構成してくれます。これにより、テスト環境の準備にかかる時間を大幅に短縮できます。

レガシーシステム、IoT・組み込み系システムへの対応を大幅に強化
最新のAIを活用したテスト機能の強化にとどまらず、SOAtest/Virtualize 2025.3は、レガシーシステムやIoT・組み込み系システムでよく使われるTCP/UDPソケット通信のテストにも対応しています。
1. 16進数設定を簡易化
TCPやUDPソケット通信では、データを16進数(0から9とAからFで表現される数字)の電文として送受信することが多くあります。今回のバージョンでは、この16進数電文の設定がよりシンプルになり、主な4種類の電文(固定長電文、先頭に電文長が定義された電文、データの途中に電文長が定義された電文、終端文字で区切られた電文)の送受信をより簡単に設定できるようになりました。接尾値(電文の末尾に追加する値)の設定も可能です。

2. TCPソケット通信で送受信する電文の記録とテスト資産の自動生成に対応
ネットワークトラフィックを記録する「PCAPファイル」から、TCPソケット通信の16進数電文を生成するオプションが強化されました。これにより、WiresharkなどのツールでキャプチャしたPCAPファイルの内容を基に、テストドライバー(テストを実行するプログラム)やスタブ(仮想サービス)を自動生成できるようになり、16進数電文を用いたテスト資産の作成効率が飛躍的に向上します。

従来、これらの領域のテストは、独自ツールの開発や手作業に頼ることが多く、時間と手間がかかっていました。「SOAtest/Virtualize 2025.3」は、これらの作業を自動化することで、テスト効率の向上に大きく貢献します。
SOAtest/Virtualizeの稼動環境
「SOAtest/Virtualize 2025.3」は、以下の環境で利用できます。
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Windows 64bit: Windows 11、Windows Server 2022、Windows Server 2025
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Linux 64bit: GTK+ 3.20 以降
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macOS 64bit: macOS 12(Monterey)以降
製品の詳細については、以下のWebページで確認できます。
詳細を見る
販売開始日とバージョンアップについて
「SOAtest/Virtualize 2025.3」の販売開始日は2026年1月28日です。同日より出荷も開始されています。2026年1月28日時点で保守サービスを契約している既存のSOAtest/Virtualizeユーザーには、「SOAtest/Virtualize 2025.3」のバージョンアップ製品が無償で提供されます。
テクマトリックス株式会社について
テクマトリックス株式会社は、お客様のニーズに沿った最適なITインフラとITライフサイクルをワンストップで提供する「情報基盤事業」、蓄積された業務ノウハウを実装したアプリケーションの提供により顧客の課題解決を実現する「アプリケーション・サービス事業」、そして健康な社会を支える医療情報インフラの構築に取り組む「医療システム事業」の3事業を展開しています。顧客企業のビジネスモデル変革と競争力の強化をサポートしています。
詳細については、テクマトリックス株式会社のWebサイトを参照してください。
テクマトリックス株式会社
まとめ
「SOAtest/Virtualize 2025.3」は、AI機能の大幅な強化とMCPサーバーの搭載により、APIテストの自動化を新たなレベルに引き上げます。自然言語でのテスト実行やAIの変動する出力の検証が可能になり、開発者はよりスマートかつ効率的に品質を確保できます。また、レガシーシステムや組み込みシステムで不可欠なTCP/UDPソケット通信のテストも効率化され、幅広い開発現場の課題解決に貢献するでしょう。
現代の複雑なシステム開発において、APIの品質確保は避けて通れない課題です。AIとレガシーシステムの双方に対応したこのツールは、開発効率の向上と製品の信頼性確保を目指す企業にとって、強力な味方となるに違いありません。

