AI講師で語学教育を革新!金沢星稜大学が実践する個別最適化と大規模授業の両立モデルを徹底解説

AI講師が語学教育の未来を拓く:金沢星稜大学の先進的な取り組み

現代の大学教育では、学生一人ひとりの能力を最大限に引き出す「個別最適な学び」の重要性が高まっています。しかし、特に語学教育のような実践的なスキルが求められる分野では、教員が多くの学生に質の高い個別指導を行うことは物理的に難しいという課題がありました。この課題に対し、株式会社DOU(ドウ)と金沢星稜大学が協力し、AI講師を導入した新しい語学教育モデルの検証に成功しました。

この取り組みは、授業データと連動するAIが「第二の講師」として機能することで、学生の学習を個別最適化し、同時に教員のリソースを最大限に活用することを目指しています。今回は、この画期的なAI講師導入プロジェクトの全貌と、それが教育現場にもたらす変化について、AI初心者にも分かりやすい言葉で詳しくご紹介します。

語学教育×AI講師

大学教育の課題:質と規模のジレンマをAIで解決

グローバル化が進む現代社会において、学生が国際的な舞台で活躍できる語学力を身につけることは不可欠です。しかし、大学が多くの学生を受け入れる中で、限られた時間と教員数で、一人ひとりの学習進度や弱点に合わせたきめ細やかな指導を行うことは容易ではありませんでした。これが「大規模化に伴う指導の画一化」という、大学教育が長年抱えてきた構造的な課題です。

金沢星稜大学人文学部の横野成美特任教授が担当する英語ディスカッション授業では、この課題を解決するため、授業外の時間でも学生が個別に練習でき、スピーキング能力を継続的に向上させられるよう「AI講師」が導入されました。このAI講師は、学生にパーソナライズされた練習機会を提供することで、教育の質と効率の両立を目指したものです。

AI講師とは?従来のAIチャットボットとの決定的な違い

「AI講師」と聞くと、単なるAIチャットボットや、質問に答えるだけのツールを想像するかもしれません。しかし、今回導入されたAI講師は、それらとは一線を画す革新的な機能を備えています。

「対話型パートナー」としてのAI講師

このAI講師の核心は、単なる情報提供者ではなく、「言語化支援者」として、学生一人ひとりの「思考のプロセス」を対話を通じて可視化し、伴走する点にあります。これは、教員が本来担ってきた「問いかけて、考えを引き出す」という教育の本質的なプロセスを、AIが補助できるような仕組みが実現していることを意味します。

具体的には、ChatGPTのような膨大な言葉の情報を学習したAI(大規模言語モデル)をベースに、DOU独自の「学習ログ」データベースが組み合わされています。「学習ログ」とは、学生がこれまでに授業で扱ったテーマや、過去の課題、練習の履歴などの学習記録のことです。この学習ログを参照することで、AI講師は学生の理解度や弱点を深く理解し、一人ひとりの特徴や課題にぴったりの対話形式の指導を生成できるのです。

AI講師の主要機能

AI講師には、主に以下の二つの重要な機能があります。

  1. 学習ログ連動による個別最適化

    • AIは、学生の過去の学習記録や課題の履歴(学習ログ)を参照します。これにより、学生がどのテーマを理解しているか、どのような点で苦手意識を持っているかを把握できます。

    • その情報に基づいて、学生一人ひとりの理解度や弱点に合わせた、最適な対話形式の指導を生成します。まるで専属の家庭教師がいるかのように、自分にぴったりの内容で学習を進められます。

  2. スキル定点観測機能

    • AIとの対話を通じて、学生のスピーキングスキル(語彙力、流暢さ、正確さなど)を継続的に分析し、評価します。

    • 教員は、このAIが収集した客観的なデータに基づいて、学生の成長を数字やグラフで具体的に把握できます。これにより、より的確な指導やアドバイスが可能になります。

今回の金沢星稜大学での試験導入は1ヶ月という短期間で行われましたが、これらの機能が学生の学習体験をどのように変えるか、その可能性を示す定性的な成果(数値では表せない、質的な変化)が得られました。このスキル定点観測機能があることで、今後はより長い期間での定量的な成果検証(数字で具体的な効果を測る検証)も可能になると期待されています。

AI語学教育 学習ステップ

学生の学習に起きた具体的な変化:AIがもたらす質の高い練習

AI講師を積極的に活用した学生へのヒアリングからは、学習の「量」と「質」の両面で、顕著な変化が確認されました。AIが学生の学習意欲を引き出し、効率的なスキルアップをサポートした具体的な事例を見ていきましょう。

(1) 「失敗を恐れない練習」が学習機会を最大化

留学を控える学生からは、「AI相手なら、ミスを気にせず何度でも練習できる」という声が上がりました。人間相手では「間違えるのが恥ずかしい」「相手に悪い」といった心理的な壁を感じがちですが、AIはそうした感情を抱かせません。これにより、学生は安心して、そして積極的にスピーキングの練習に取り組むことができるようになりました。

AIが提供する心理的な負担のない安全な練習環境は、学生が自律的にスピーキングの実践機会を増やす上で、極めて有効に機能したと言えるでしょう。練習の回数が増えれば増えるほど、スキルは確実に向上していくはずです。

(2) 「即時かつ具体的なフィードバック」が学習サイクルを高速化

AIからのフィードバックは、「接続詞を効果的に使ってみましょう」といった具体的な改善点と、すぐに使える英語表現の例がセットで提示されます。例えば、「しかし」と言う時に”But”だけでなく”However”や”Nevertheless”も使ってみてはどうか、といった具体的な提案です。

学生は「この表現を覚えれば、次のディスカッションで使える」と即座に学習効果を実感でき、改善点をすぐに次の練習に活かせます。この「練習→フィードバック→改善」という高速なPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善のサイクル)を回すことが可能になり、効率的なスキルアップに繋がりました。

(3) 「授業との連動」が学習効率を最大化

AIとの練習テーマを授業内容と連動させることで、学生は「何を話すべきか分からない」という状態に陥ることなく、スムーズに練習を開始できました。授業で学んだばかりの知識や表現を、すぐにAI相手にアウトプットする機会があるため、知識の定着が早まります。

これにより、授業で得た知識を即座にアウトプットし、定着させるという効率的な学習フローが確立されました。授業とAIによる個別練習が連携することで、学習効果が相乗的に高まることが期待されます。

教育の質と規模の両立へ:大学経営の新たな選択肢

今回の金沢星稜大学での事例は、「AI講師」が単なる学習ツールに留まらず、大学が抱える授業運営上の構造的な課題を解決するソリューションであることを示唆しています。これは、大学経営における新たな選択肢となり得るでしょう。

金沢星稜大学人文学部の横野成美特任教授は、次のようにコメントしています。

金沢星稜大学人文学部では、グローバル社会でキャリアを築くための基盤として、一年次生全員に海外留学の機会を提供しています。そのため、留学前のEAP科目では、英語運用能力の育成を徹底しています。私が担当したDiscussionの授業では、スピーキング能力の向上を目標としており、従来は文章で自分の考えを整理させていました。今回、これに加えてAI講師との対話を組み込んだことで、グループディスカッションに向けた有効なスキャフォールディング(段階的な学習サポート)となりました。
少人数クラスとはいえ、教員が事前に全員と個別に会話練習を行い、詳細なフィードバックを提供することには物理的な限界があります。その部分をAI講師に補完してもらえたことは、学習者支援の面で非常に有意義でした。

株式会社DOUの事業責任者である赤岩智宏氏も、「AIは、教員の『代わり』になるものではありません。むしろ、教員のそばにいる『もう一人のパートナー』です。AIが担える部分を任せることで、教員は事務的な対応や初期支援から解放され、学生一人ひとりとのより本質的な対話や、より高度な指導にリソースを集中させることができます」と述べています。

実際に、他の教育機関におけるキャリア教育支援では、AI講師の導入により125時間分の教員業務を創出した実績があります。これは、教員の時間をより質の高い教育活動に再配置することで、教育の質を落とすことなく、むしろ向上させながら大規模な学生数に対応できる、新しい教育モデルの可能性を示しています。

今後の展望とAIを活用した教育の未来

今回の成果を踏まえ、株式会社DOUは翌年度に向けてより長期間の検証期間を設定し、スキル定点観測機能を用いた定量的な成果測定を行うことで、本格的な展開を計画しています。

実証実験参加校の募集

株式会社DOUは、AIを活用した教育の質的転換を共に推進する教育機関を募集しています。学習ログと連動し、継続的な成長を定量的にサポートする「AI講師」は、教育現場が直面する人材・時間不足の課題を解決し、学生一人ひとりの学習成果を最大化する新たな教育モデルを提供します。

来年度からの定量的な共同実証研究にご関心のある大学・高校経営層、語学教育関係者の皆様は、ぜひ株式会社DOUの公式サイトからお問い合わせください。

株式会社DOU公式サイト

AI講師に関するウェビナー開催

本取り組みで紹介したAI講師について、ウェビナーの開催が予定されています。ChatGPTを活用した語学教育の事例に加え、より教育の質を最大化する方法や学生の活用シーンを交えながら、実際の活用・運用方法を体験できる機会が用意されています。

開催日時: 2025年12月23日(火)13:00〜14:00(オンライン開催/参加無料)

本ウェビナーは、大学・短大・専門学校・高校の語学センター/語学教員/塾・英会話スクール講師の関連者限定での開催です。ご興味のある方は、ぜひこの機会にご参加ください。

株式会社DOUについて

株式会社DOU(旧:株式会社PitPa)は、東京都渋谷区に本社を置く企業です。「育成機関と協働し、多様な変革者を輩出する」をミッションに掲げ、最先端のテクノロジーを活用しながら、デジタル証明書を基点とした事業を複数展開しています。キャリアパスポートを活用した人材開発及び採用支援事業では、千葉工業大学をはじめとした大学や、インターンを実施するNPO団体、企業などと連携し、学生にとっての新たなキャリア形成の機会を創出しています。

DOUは、これからも「面白い」と感じたテクノロジーやカルチャーを活用したビジネスの構築を通じて、育成機関と共に、個人の多様な「道」を肯定し、人新生の時代を創造する「変革者」の成長を支援していくとのことです。

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