AVerMediaとRealSenseが戦略的提携!フィジカルAIの製品開発を加速する「SenseEdge デベロッパーキット」とは?
2025年12月22日、エッジAIソリューションを展開するAVerMedia Technologies社と、AI搭載型コンピュータビジョン技術のパイオニアであるRealSense社が、フィジカルAIの速やかな実装を支援するための戦略的パートナーシップの締結を発表しました。この提携は、ロボティクス分野をはじめとするフィジカルAIの開発を加速し、市場への普及を促進すると期待されています。
近年、AI技術の進化は目覚ましく、私たちの生活や産業に大きな影響を与えています。その中でも特に注目されているのが「フィジカルAI」です。フィジカルAIとは、ロボットや自律走行車のように、物理的な世界で実際に動き、センサーを使って周囲の環境を認識し、AIの判断に基づいて行動するシステムを指します。例えば、工場で荷物を運ぶロボットや、自動で掃除をしてくれるロボット、さらには人間と一緒に作業を行う協働ロボットなどがこれにあたります。

フィジカルAIの実現には、高度なAI処理能力と、周囲の状況を正確に把握するためのセンサー技術が不可欠です。しかし、これらの技術を組み合わせ、実際に動く製品として開発するまでには、多くの時間と専門知識が必要となります。今回のAVerMediaとRealSenseの提携は、この開発プロセスを大幅に効率化し、より多くの企業がフィジカルAI製品を市場に投入できるよう支援することを目的としています。
AVerMediaとRealSenseの戦略的パートナーシップが目指すもの
この戦略的パートナーシップの主な目的は、フィジカルAIの開発企業が製品開発を迅速に進め、それぞれの企業が持つ独自の強みに集中できる環境を提供することです。フィジカルAIは、自律配送ロボット(AMR)、産業用ロボット、モバイルマニピュレーション(移動しながら物体を操作するロボット)など、多岐にわたる分野での応用が期待されています。
例えば、自律配送ロボットは、倉庫内での資材運搬や、病院での薬剤配送、さらには屋外でのラストワンマイル配送など、さまざまなシーンで活躍が期待されています。これらのロボットは、周囲の障害物を避けながら目的地まで安全に移動するために、高度な認識能力と判断能力が求められます。また、産業用ロボットは、製造ラインでの組み立て作業や検査作業を自動化し、生産効率の向上に貢献します。
このようなロボットの開発では、AIの頭脳となるコンピュータと、ロボットの目となるカメラやセンサーをいかに効率良く連携させるかが鍵となります。AVerMediaはエッジAIソリューションの専門家として、RealSenseはAI搭載型コンピュータビジョン技術のパイオニアとして、それぞれの得意分野を活かし、開発の初期段階から実際の運用に至るまでのプロセスを加速させることを目指しています。
開発を劇的に短縮する「AVerMedia SenseEdge デベロッパーキット」の登場
今回の提携の一環として、両社は「AVerMedia SenseEdge デベロッパーキット」の提供を開始しました。このキットは、フィジカルAIの開発プロジェクトにおける検証段階から、実際の製品への実装、そして市場への展開までのプロセスを短縮するために設計された、統合型AIビジョン製品です。
キットの主要な構成要素
「AVerMedia SenseEdge デベロッパーキット」は、以下の主要なコンポーネントで構成されています。
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AVerMediaのNVIDIA Jetson AGX Orin対応エッジAIデバイス「D317」:
これは、キットの「頭脳」となる部分です。NVIDIA Jetson AGX Orinは、AIの推論処理を高速で行うための強力なプロセッサであり、ロボットが周囲の情報をリアルタイムで分析し、適切な行動を決定するために不可欠な役割を担います。AVerMediaのD317デバイスは、このNVIDIA Jetson AGX Orinを搭載し、エッジ(現場)でのAI処理を可能にします。エッジAIとは、データをクラウドに送らず、デバイス自体でAI処理を行う技術のことで、通信遅延の削減やセキュリティの向上といったメリットがあります。 -
RealSense社の深度カメラ:
これは、キットの「目」となる部分です。深度カメラは、一般的なカメラが捉える平面的な情報に加えて、被写体までの距離(奥行き)を測定できる特殊なカメラです。これにより、ロボットは周囲の物体の形や位置を3Dで正確に認識することが可能になります。RealSense社は、この深度カメラ技術の分野で高い評価を得ており、ロボットが人や障害物を安全に避けて移動したり、物体を正確に掴んだりするために重要な役割を果たします。 -
GMSL/USB/PoE接続に対応した各種アダプタ:
これらのアダプタは、D317デバイスとRealSense深度カメラ、そしてその他の周辺機器を接続するためのものです。GMSL(Gigabit Multimedia Serial Link)は、高速かつ長距離でのデータ伝送を可能にする規格で、特にロボットのような移動体でのカメラ接続に適しています。USBやPoE(Power over Ethernet)は、広く普及している接続規格であり、様々な機器との連携を容易にします。PoEは、イーサネットケーブル1本でデータ通信と電力供給の両方を行えるため、配線を簡素化できるメリットがあります。
これらのコンポーネントは、事前セットアップ済みのパッケージとして提供されます。これにより、開発者は個々の機器間の連携設定や、複雑な初期設定に煩わされることなく、すぐに開発作業に着手できます。通常、このようなAIシステムを構築するには、各部品の選定から接続、ソフトウェアのセットアップまで、多大な時間と労力が必要です。しかし、このキットを使えば、そうした手間を省き、AIアルゴリズムの開発やアプリケーションの構築といった、より本質的な部分に集中できるのです。

両社のCEOが語る、提携の重要性
この戦略的パートナーシップについて、両社のCEOは大きな期待を寄せています。
AVerMediaのCEOであるMichael Kuo氏は、「AVerMediaは、次世代のインテリジェントマシンの実現を支援することに取り組んでいます。当社のアプリケーション対応・統合型ソリューションとRealSenseの深度センシング技術を組み合わせることで、開発者にとって事前準備の負担が軽減された、完成度の高い開発用プラットフォームを提供できます。開発時間の短縮はフィジカルAIの普及にとって非常に重要であり、この変革を推進できることを誇りに思います。」と述べています。このコメントからは、開発者の負担を減らし、開発期間を短縮することが、フィジカルAIの社会実装を加速させる上でいかに重要であるかというAVerMediaの強い思いが伝わってきます。
RealSenseのCEOであるNadav Orbach氏は、「今回のパートナーシップは、フィジカルAIにおける“視覚中枢”を実現する当社のミッションにとって、大きな前進です。RealSenseの業界トップクラスの深度認識技術と、AVerMediaの高性能なエッジAI処理ソリューションを組み合わせることで、人が行き交う動的な環境においても、ロボットがリアルタイムに“見る・感じる・行動する”ことを可能にします。両社の協業により、ロボティクスのイノベーションを加速、具現化するための製品を世界に届けます。」とコメントしています。RealSenseは、ロボットが人間と同じように周囲を「見て」「感じて」「行動する」ための「視覚中枢」を提供することを目指しており、今回の提携がその実現に大きく貢献すると考えていることが分かります。

フィジカルAIの未来と本提携がもたらす影響
フィジカルAIは、私たちの社会に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。例えば、高齢化が進む社会においては、介護ロボットや見守りロボットが日常生活をサポートし、人々の生活の質を向上させるでしょう。また、危険な作業現場や人手不足に悩む産業においては、ロボットが人間の代わりに作業を行うことで、安全性と効率性が大幅に向上します。
しかし、これらの未来を実現するためには、フィジカルAI製品の開発をいかに早く、そして効率的に進めるかが課題でした。AVerMediaとRealSenseの提携は、この課題に対する強力な解決策を提供します。開発時間の短縮は、新しいアイデアがより早く製品となり、市場に届けられることを意味します。これにより、フィジカルAIの分野におけるイノベーションが加速し、より多様なロボットやAIシステムが私たちの身近に登場するきっかけとなるでしょう。
この「AVerMedia SenseEdge デベロッパーキット」は、開発企業が複雑なハードウェアの統合や初期設定に費やす時間を削減し、AIアルゴリズムやアプリケーションの独自性、そしてビジネス価値の創造に集中することを可能にします。結果として、より高性能で、より使いやすいフィジカルAI製品が、より早く市場に投入されることが期待されます。これは、フィジカルAIの普及を大きく後押しし、社会全体の生産性向上や新たなサービスの創出に貢献することでしょう。
AVerMediaについて
アバーメディア・テクノロジーズ (AVerMedia Technologies, Inc.) は、映像・音声技術の分野で専門的な知識を持つ企業です。同社は、様々なAIアプリケーションに対応したエッジAIデバイスや、すぐに使えるターンキーソリューションを提供しています。スマートシティ、ロボティクス、産業オートメーションなど幅広い分野でAIの導入を加速させるため、NVIDIA Elite Partnerとして、エッジAI環境でAIを効果的に活用するための先進的なソリューション提供に注力しています。
公式サイト:
https://professional.avermedia.com/
RealSenseについて
RealSenseは、Intel Corporationから独立した企業であり、自律移動ロボット、入退室管理、産業オートメーション、ヘルスケアなど、多岐にわたる分野で使用される業界トップクラスの深度カメラおよびビジョン技術を提供しています。同社のミッションは、フィジカルAI向けに世界水準の認識システムを提供し、ロボティクスとAIを安全に日常生活へ統合することです。機械が人のいる環境を認識し、相互作用するための、インテリジェントで安全かつ信頼性の高いビジョンシステムを展開しています。
公式サイト:
https://www.realsenseai.com
まとめ
AVerMediaとRealSenseの戦略的パートナーシップは、フィジカルAIの分野における大きな一歩です。両社の強みを組み合わせることで、開発企業はより迅速かつ効率的に、高性能なフィジカルAI製品を開発できるようになります。「AVerMedia SenseEdge デベロッパーキット」は、そのための強力なツールとなるでしょう。この提携が、自律配送ロボットや産業用ロボットなど、様々なフィジカルAIの社会実装を加速させ、私たちの未来をより豊かにすることにきっと貢献するでしょう。今後の両社の活動と、そこから生まれる新しい技術や製品に注目が集まります。

