Brazeが顧客エンゲージメントの未来を切り拓くAI製品群を発表
現代のビジネスにおいて、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた体験を提供することは、ブランドロイヤルティを築き、ビジネスを成長させる上で不可欠です。しかし、多様な顧客データを活用し、適切なタイミングで最適なメッセージを届けることは、多くの企業にとって大きな課題となっています。
この課題に対し、顧客エンゲージメントプラットフォームのリーダーであるBraze株式会社(以下、Braze)が、画期的な解決策を提示しました。2025年9月30日(米国本社発表、日本版は2025年11月12日)に発表された最新の「BrazeAI」製品群は、AI(人工知能)を活用して顧客エンゲージメントの常識を再定義し、マーケターがよりスマートで、迅速かつ関連性の高いエンゲージメントを大規模に展開できるよう支援します。

BrazeAIとは?マーケティングにおけるAIの新たな役割
AI(人工知能)と聞くと、SF映画のような未来を想像する方もいるかもしれませんが、現在のAIは私たちの日常生活やビジネスの様々な場面で活用されています。特にマーケティング分野では、AIは顧客データの分析、コンテンツのパーソナライズ、キャンペーンの最適化など、多岐にわたる役割を担い始めています。
BrazeAIは、このようなマーケティングの世界に「インテリジェントなモデル」「エージェント」「オペレーター」といったAIの力を提供します。これにより、企業は顧客とのコミュニケーションをより賢く、速く、そして顧客一人ひとりに深く関連したものにすることが可能になります。まるで、各顧客に専属のマーケティング担当者がいるかのように、最適な体験を自動で提供できるようになるのです。
「コンポーザブル・インテリジェンス」が実現する柔軟なパーソナライゼーション
Brazeが今回提唱するキーワードの一つに「コンポーザブル・インテリジェンス」があります。これは、企業が独自のAIエージェントを自社のデータや顧客の購買プロセス(カスタマージャーニー)に組み込み、AIが意思決定を行うモデルを主要なビジネス課題に適用できるようにする考え方です。
「コンポーザブル(Composable)」とは「組み立て可能」という意味で、レゴブロックのように必要な機能を自由に組み合わせて使えることを指します。つまり、「コンポーザブル・インテリジェンス」とは、画一的なAIではなく、企業の特定のニーズに合わせてAIの機能を柔軟に組み合わせ、高精度なパーソナライゼーションを実現できる仕組みと言えるでしょう。
このアプローチにより、マーケターはこれまで以上に柔軟に、そして非常に高い精度で顧客一人ひとりに合わせた体験を提供できるようになります。これは、単なる自動化を超え、人間の創造性とAIの知性が融合し、顧客との関係性をより深く、より意味のあるものへと変革する可能性を秘めています。
マーケターを戦略的指揮者へと進化させる「エージェント型AI」
過去20年で、モバイル技術やクラウドコンピューティングがビジネスのあり方を大きく変えたように、生成AIと機械学習の進化は、マーケティングと顧客体験を根本から変えようとしています。Brazeは、この変化の中でマーケターが単に施策を実行する人から、戦略的な指揮者へと進化する未来を描いています。
「エージェント型AI」とは、特定の目標を達成するために自律的に行動するAIのことで、まるで優秀なアシスタントのように、データを行動に、アイデアを現実に、そして顧客とのすべてのやり取りをロイヤルティへと変える力を持っています。マーケターは、この自律エージェントや意思決定システムを指揮することで、顧客とのあらゆる接点で最適かつ魅力的な体験を提供できるようになるのです。
Brazeは、ガートナー社の「マジック・クアドラント マルチチャネル・マーケティング・ハブ部門」で3年連続リーダーに選出されており、その実績が示すように、顧客エンゲージメントの分野で信頼性の高いプラットフォームを提供しています。
主要な新製品群の詳細
今回発表されたBrazeAIの新製品群は、インテリジェントなAIエージェントを活用し、すべての顧客体験を自動的にパーソナライズすることで、ビジネス担当者やマーケターの創造性を解き放ち、ビジネス成果を加速させます。主な製品は以下の通りです。
1. BrazeAI Decisioning Studio:AIがリアルタイムで最適なコミュニケーションを決定
BrazeAI Decisioning Studioは、企業の目標に沿って自律的に意思決定を行う柔軟なAIエージェントを提供します。これにより、顧客とのあらゆるコミュニケーションにおいて、AIがリアルタイムで最適なチャネル、メッセージ、クリエイティブ、オファー、配信頻度などを判断し、自動的に最適化します。
これは、従来のマーケティング手法では不可能だったレベルのパーソナライゼーションとオーケストレーション(複数の施策を連携させて実行すること)を実現します。AIエージェントは、すべての顧客とのコミュニケーションから学習し、Brazeが持つ大規模な自動化機能とAIの分析力を融合させることで、顧客一人ひとりに最適な「次の一手」を導き出します。
このDecisioning Studioは、2025年初頭にBrazeが買収したOfferFit社のAI意思決定エンジンをBrazeプラットフォームに統合したもので、その技術的な基盤はすでに確立されています。
- 提供ステータス: 一般提供中(ただし、本製品の導入、サポートは英語のみ。日本語での提供は現在計画中。)
2. BrazeAI Agent Console:生成AIでコンテンツ生成からオーケストレーションまで自動化
BrazeAI Agent Consoleは、Brazeの主要な機能であるキャンバス(顧客のジャーニーを視覚的に設計するツール)やカタログに、生成AIやエージェント型AIを直接組み込むことを可能にします。これにより、コンテンツの生成、顧客データの拡充、そしてマーケティング施策のオーケストレーション(連携・自動化)が自動的に行えるようになります。
例えば、EC(電子商取引)ブランドの場合、Braze Surveys(アンケート機能)をAgent搭載のキャンバスに接続することで、顧客からの商品レビューの感情をAIが解析し、その結果に基づいて即座に個別のメールやSMSを自動配信することが可能になります。これにより、顧客の体験に基づいた最適なジャーニーへと誘導し、顧客満足度やエンゲージメントを高めることができます。
Brazeは、GoogleのGeminiモデルを活用した自社提供のLLM(大規模言語モデル)に加え、Anthropic、Amazon Bedrock、OpenAI、Google Geminiといった外部のLLMも選択できる柔軟な構成を採用しています。これにより、企業は自社のニーズやセキュリティポリシーに合わせて最適なAIモデルを選べるようになります。
GoogleのAI GTM責任者であるJim Fairweather氏は、「AIエージェントは、イノベーションにおいて極めて重要、かつ変革的な役割となります。生産性を高め、創造性を解放し、ワークフローを根本から変革する可能性を持っています」と述べており、この技術への期待の高さが伺えます。
また、Brazeは「Project Catalyst」から進化した「Content Optimizer Agent」も発表しました。これはBrazeキャンバスに組み込まれた意思決定エージェントとして、コンテンツの生成、テスト、最適化を各段階で支援し、マーケターが顧客体験の価値とブランドインパクトを最大化する手助けをします。
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提供ステータス: プライベートベータ提供中
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Content Optimizer Agent: ベータ提供中
3. BrazeAI Operator:マーケターを煩雑な作業から解放し、戦略と創造性に集中させる
多くのマーケターは、日々の業務の中で戦略立案や創造的な活動よりも、技術的な課題の解決や煩雑なオペレーションに時間を取られがちです。BrazeAI Operatorは、このような障壁を取り除き、AIを活用した分析やアクションをワンクリックで実行できる統合環境を提供します。
このツールでは、AIエージェントがキャンペーンやコンテンツの構築を支援し、リアルタイムで顧客に関する洞察(インサイト)を提供し、ワークフローを自動化します。これにより、マーケターは定型的な作業から解放され、より重要な戦略策定や創造性の発揮に集中できるようになります。その結果、顧客体験を通じたブランドロイヤルティの醸成とビジネス成長の加速につながることが期待されます。
さらに、BrazeAI OperatorはSnowflake Cortex AIとの新しい統合により、自然言語(私たちが日常使う言葉)でデータクエリ(データへの質問)が可能になります。これにより、マーケターは専門知識がなくてもキャンペーンの効果を迅速に把握したり、市場のトレンドを分析したり、業界のベンチマークと比較したりといったデータ分析を簡単に行えるようになります。これは「データ分析の民主化」とも言え、データに基づいた意思決定を加速させるでしょう。
Snowflakeのグローバル責任者であるDennis Buchheim氏は、「この連携は、生データを即座にアクションに変える力を企業に与え、インサイトとインパクトを加速させます」とコメントしています。
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提供ステータス: 一部機能ベータ提供中(2025年10月)、全機能ベータ提供予定(2026年1月)
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Snowflake Cortex AI 連携: ベータ提供中(2025年12月)
その他の新機能と今後の展望
Brazeは今回、上記以外にも、セルフサービス型のデータアクティベーションの拡張、インタラクティブメッセージングの新機能、配信最適化機能など、多岐にわたる機能強化を発表しています。
また、先月発表された「BrazeAI Model Context Protocol (MCP) Server」により、マーケターはBrazeのデータをClaude DesktopやCursorといったAIクライアントと接続し、キャンペーンやセグメント情報を自然言語で取得できるようになりました。これにより、AIとの連携がさらにスムーズになり、より高度な分析や施策立案が可能になります。
- BrazeAI MCP Server: ベータ提供中
Brazeは、これらのAI製品群を通じて、ブランドが顧客と「Be Absolutely Engaging.」(完全に夢中にさせる)関係を築けるよう支援しています。あらゆるデータソースから情報を収集し、一つのプラットフォームからマルチチャネルでリアルタイムに、パーソナライズされたコミュニケーションを実現することが、Brazeの目指す姿です。
詳細については、Brazeの公式ウェブサイトをご覧ください。
https://www.braze.com/ja
まとめ:AIが拓く顧客エンゲージメントの新たな時代
Brazeが発表した最新のBrazeAI製品群は、顧客エンゲージメントの未来を形作る画期的な一歩と言えるでしょう。AIエージェントが自律的に意思決定を行い、パーソナライゼーションとオーケストレーションを最適化することで、マーケターは煩雑な作業から解放され、より戦略的かつ創造的な役割に集中できるようになります。
「コンポーザブル・インテリジェンス」という概念に基づき、企業は自社のニーズに合わせてAI機能を柔軟に組み合わせ、顧客一人ひとりに合わせた「人間中心のAI」体験を提供することが可能になります。これにより、顧客はより深いレベルでブランドと繋がり、結果としてブランドロイヤルティの向上とビジネス成長が加速することが期待されます。
AI初心者の方にもご理解いただけたでしょうか。Brazeの新しいAI製品群は、単なるツールの進化ではなく、マーケティングのあり方、そして顧客とブランドの関係性を根本から変革する可能性を秘めています。今後のBrazeAIの進化と、それがもたらす顧客体験の向上に、引き続き注目が集まることでしょう。

