ARグラスの未来を切り拓く「HJ1 AI Smart Glasses」がCES 2026に登場
2026年1月7日、米国ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー見本市CES 2026において、次世代ARグラス用ディスプレイと空間認識エンジンの開発を手がけるCellid株式会社が、新たなAIスマートグラス「HJ1 AI Smart Glasses」を発表しました。
この発表は、FoxconnグループのJorjin Technologies Inc.およびGIS(General Interface Solution)とのパートナーシップのもと行われ、ARグラスが「実験段階」から「実社会での普及フェーズ」へと移行する大きな一歩となることが期待されています。
「HJ1 AI Smart Glasses」は、単なる情報の表示装置に留まらず、AI処理能力を内蔵し、日常生活からビジネスシーンまで幅広い活用が想定される次世代のウェアラブルデバイスです。AI初心者の方にも分かりやすく、その驚くべき技術と可能性を詳しく見ていきましょう。

「HJ1 AI Smart Glasses」とは?
「HJ1 AI Smart Glasses」は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示する「AR(拡張現実)グラス」の一種です。従来のARグラスが抱えていた課題、例えば「重い」「視野が狭い」「表示が暗い」といった点を克服するために開発されました。
このスマートグラスは、最先端の光学技術とAI処理能力を融合することで、より自然で快適なAR体験を提供します。まるで普通のメガネをかけているかのように、目の前の景色に違和感なく情報を表示できるため、私たちの生活や仕事のあり方を大きく変える可能性を秘めています。
Foxconnグループとの強力な協業体制
「HJ1 AI Smart Glasses」の開発は、世界有数のエレクトロニクス製造企業であるFoxconnグループとの共同プロジェクトとして進められました。この強力なパートナーシップが、ARグラスの実用化と普及を大きく加速させると考えられます。
具体的には、以下の3社がそれぞれの専門分野で連携しています。
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Cellid: ARグラスの心臓部ともいえる「超薄型・高輝度ウェイブガイド」(ARグラスレンズ)技術を提供しています。これは、透明なレンズに鮮明な映像を映し出すための重要な技術です。
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Jorjin Technologies Inc.: スマートグラス全体の製品設計、システム開発、そして製造を担当しています。製品としての完成度を高め、実際に手に取れる形にする役割を担っています。
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GIS(General Interface Solution): 精密光学技術と表示関連技術を提供し、グラスの表示品質や視認性を向上させています。
この協業により、Cellidの革新的な光学技術と、Foxconnグループが持つ世界最高水準の製造力・量産技術が組み合わされました。これにより、ARグラスは研究室の「実験段階」から、実際に多くの人が使える「実社会での普及フェーズ」へと一気に進むことが期待されます。
「HJ1 AI Smart Glasses」の驚くべき特長
「HJ1 AI Smart Glasses」には、ARグラスの常識を覆すような多くの先進技術が凝縮されています。AI初心者の方にも分かりやすいように、その主な特長を一つずつ見ていきましょう。
1. Cellid製 超薄型ウェイブガイドを採用
ARグラスのレンズ部分にあたる「ウェイブガイド」は、映像を私たちの目に届けるための重要な部品です。Cellidが開発したウェイブガイドは、非常に薄く、まるで一般的なメガネのレンズと変わらない厚みを実現しています。これにより、ARグラス特有のゴツゴツとした見た目がなくなり、普段使いしやすいデザインになっています。
2. sRGB Micro-LEDディスプレイによる高輝度表示(最大2000nits)
「2000nits(ニッツ)」という数字は、ディスプレイの明るさを示す単位です。一般的なスマートフォンのディスプレイが数百ニッツであることを考えると、このグラスがいかに明るい表示が可能かお分かりいただけるでしょう。これにより、日中の明るい屋外でも、表示されるデジタル情報が鮮明に見え、快適に利用できます。また、「sRGB」という色の規格に対応しているため、表示される映像の色が非常に自然で美しいのも特長です。
3. 約46gの軽量設計
ARグラスを長時間装着するには、その重さが非常に重要です。「HJ1 AI Smart Glasses」は約46gと非常に軽量で、これは一般的なスマートフォンの約4分の1程度の重さです。この軽さにより、長時間の装着でも疲れにくく、日常的に身につけやすくなっています。
4. 85%の高透過率による自然な視界
「透過率85%」とは、レンズを通して現実世界がどれだけクリアに見えるかを示す数値です。この高い透過率により、グラスをかけていても目の前の景色がほとんど遮られることなく、非常に自然な視界が得られます。デジタル情報と現実の景色が違和感なく融合するため、AR体験の没入感が向上します。
5. 視線追跡(Eye Tracking)モジュールを内蔵
視線追跡機能は、ユーザーがグラスのどこを見ているかを検知する技術です。これにより、視線を使ってグラスを操作したり、見ている対象物に関する情報を自動的に表示したりといった、新しいインタラクションが可能になります。例えば、特定の商品に視線を向けるだけで、その商品の詳細情報がグラスに表示される、といった使い方がきっと実現するでしょう。
6. 度付きレンズのダイレクト統合に対応
メガネを常用している方にとって、ARグラスの利用は大きな課題でした。「HJ1 AI Smart Glasses」は、度付きレンズを直接組み込むことができるため、視力矯正が必要な方も快適に利用できます。これにより、より多くの人々がARグラスの恩恵を受けられるようになります。
7. Cortex-A32 + M55 プロセッサによるAI処理対応
このグラスには、高性能な「Cortex-A32 + M55 プロセッサ」が搭載されており、グラス単体でAI処理を行うことができます。これにより、クラウドサーバーにデータを送ることなく、リアルタイムでAIアシスタント機能や画像認識、音声認識などの処理が可能です。データの遅延が少なく、プライバシー保護の面でもメリットがあります。
8. カメラ、マイク、スピーカーを内蔵し、音声・映像・AI連携が可能
グラスにカメラ、マイク、スピーカーが内蔵されているため、周囲の状況を認識したり、音声で指示を出したり、AIアシスタントと会話したりすることが可能です。これにより、現実世界の情報をAIが認識し、ユーザーに最適な情報を提供するといった、高度なAI連携が実現します。

ARグラスが社会を変える?広がるユースケース
これらの特長により、「HJ1 AI Smart Glasses」は多様なシーンでの活用が期待されています。AIを活用したARグラスは、私たちの生活をより便利で豊かなものに変える可能性を秘めています。
日常生活での活用例
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AIアシスタント: 質問に答えてくれたり、スケジュールの管理をしてくれたりするAIアシスタントが、常に目の前にいてくれるような体験が実現するでしょう。
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ARナビゲーション: 道案内の情報が目の前の景色に直接表示されるため、スマートフォンを見る必要がなく、安全かつ直感的に目的地へたどり着けます。
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情報検索: 街中で気になる建物や商品を見つけた際、グラスを通して視線を向けるだけで、関連情報が瞬時に表示されるといった使い方も考えられます。
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エンターテイメント: 目の前の空間に仮想のキャラクターを登場させたり、ゲームを楽しんだりすることも可能になるでしょう。
ビジネス・業務用途での活用例
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遠隔作業支援: 現場作業員がグラスを装着し、遠隔地の専門家と映像を共有しながら、指示をリアルタイムで受け取るといった使い方ができます。作業効率の向上やミスの削減に貢献するでしょう。
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医療: 手術中に患者のバイタルデータや3D画像を目の前に表示したり、研修医がベテラン医師の視点から手術を学んだりするなど、医療現場での応用も期待されます。
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製造業: 製造ラインで製品の組み立て手順や検査項目をグラスに表示し、作業員の熟練度に関わらず、正確で効率的な作業をサポートできます。
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教育: 目の前に立体的な教材を表示したり、歴史上の出来事をARで再現したりすることで、より体験的で深い学びを提供できる可能性があります。
CES 2026での展示と未来への展望
CES 2026では、Cellidブースにて「HJ1 AI Smart Glasses」の実機が展示され、AIアシスタントやARナビゲーションといった実用シーンを想定したデモンストレーションが行われました。来場者は実際にグラスを体験し、その可能性を肌で感じることができたようです。
Cellidブースでは、デモ機の体験だけでなく、グラスが各パーツに分解された展示も行われ、その先進的な内部構造を間近で見ることができました。これは、Cellidが持つ技術力の高さを示すものでしょう。
展示会は2026年1月6日から9日まで、ラスベガス・コンベンションセンターのNorth Hall Smart Cities / IoT area、ブース#8200A にて開催されました。ブースの詳細はこちらで確認できます: https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?hallID=A&selectedBooth=8200A
Cellidの代表取締役社長CEOである白神賢氏は、「HJ1 AI Smart GlassesをCES 2026で発表できることを大変嬉しく思います。Cellidは、Foxconnグループとのパートナーシップを通じて、AR光学技術と量産技術を融合し、スマートグラスを次世代コンピューティングプラットフォームとして普及させることを目指します。今後もグローバルパートナーと連携し、ARグラスの社会実装普及をより一層、推進してまいります。」とコメントしています。この言葉からも、ARグラスが単なるガジェットではなく、スマートフォンに次ぐ次世代の主要な情報端末となる未来への強い意志がうかがえます。
Cellid株式会社について
Cellid株式会社は、次世代デバイスであるARグラス用のディスプレイと空間認識エンジンの開発に特化した企業です。ARグラス用ディスプレイとしては、最先端の光学シースルーディスプレイ方式であるウェイブガイド(DOE方式)を製造しています。
Cellid独自の光学シミュレーション技術と生産技術により、一般的なメガネレンズと同等の薄さと軽さ、そして鮮明な画像表示、さらにはウェイブガイドとしては世界最大級の広視野角を実現したディスプレイモジュール製品を提供しています。これにより、ユーザーはより広範囲のデジタル情報を自然な視界で体験することができます。
また、Cellid SLAMなどの空間認識ソフトウェア技術も開発・提供しており、ARディスプレイのハードウェア技術と、現実世界の空間を正確に認識するソフトウェア技術を連携させています。これは、現実世界とデジタル世界を融合させる「Blending the Physical and Digital Worlds」を促進し、より人間にとって身近で、格段に便利な情報ツールの実現を主導していくことを目指しています。
Cellidに関する詳細情報はこちらをご覧ください: https://cellid.com/
まとめ:ARグラスが拓く新たな情報社会
CellidがCES 2026で発表した「HJ1 AI Smart Glasses」は、超薄型ウェイブガイド、高輝度Micro-LEDディスプレイ、軽量設計、そしてAI処理能力の内蔵といった、これまでのARグラスの課題を克服する革新的な技術が詰まっています。Foxconnグループとの強力な協業体制は、これらの技術を量産し、ARグラスを広く社会に普及させるための重要な基盤となるでしょう。
AIアシスタント、ARナビゲーション、遠隔作業支援など、そのユースケースは無限に広がっており、私たちの日常生活やビジネスのあり方を大きく変える可能性を秘めています。スマートフォンが私たちの情報アクセスを変えたように、AIスマートグラスは「現実世界とデジタル情報の融合」という新たな体験を提供し、次世代のコンピューティングプラットフォームとして、私たちの社会に大きな影響を与えることが期待されます。今後のCellidの動向と、ARグラスの進化に注目していきましょう。

