ClickHouse、4億ドル調達でAI・分析インフラを強化:Langfuse買収とネイティブPostgresでデータ活用を加速する新時代へ

はじめに:AI時代のデータ基盤を支えるClickHouseの躍進

現代社会では、AI(人工知能)技術の進化が目覚ましく、私たちの生活やビジネスのあらゆる側面に大きな変化をもたらしています。AIがより賢く、より速く動くためには、膨大なデータをリアルタイムで処理し、分析できる強力なデータ基盤が不可欠です。そんなAI時代のデータインフラストラクチャを支える重要な役割を担っているのが、高速なオープンソースのカラム型データベース管理システム「ClickHouse」です。

ClickHouseは、リアルタイム分析、データウェアハウジング(大量のデータを保存・管理する仕組み)、そしてAI/ML(機械学習)分野において、その卓越したパフォーマンスとコスト効率で高く評価されています。今回、ClickHouseは大規模な資金調達を完了し、さらに二つの大きな発表を行いました。一つは「Langfuse」の買収によるLLM(大規模言語モデル)オブザーバビリティ分野への参入、もう一つはトランザクション処理と分析処理を統合する「ネイティブPostgresサービス」の発表です。これらの動きは、AI駆動型アプリケーションの未来を大きく変える可能性を秘めています。

この記事では、ClickHouseがどのようにしてAI時代のデータ基盤を強化し、グローバル展開を加速していくのかを、AI初心者にも分かりやすい言葉で詳しく解説していきます。

4億ドル調達でグローバル展開を加速:Dragoneer主導の大型投資

ClickHouseは、シリーズD資金調達ラウンドで総額4億ドル(約600億円)という大規模な資金を調達したことを発表しました。このラウンドは、厳選された少数のカテゴリーで長期的なパートナーシップを築く投資会社であるDragoneer Investment Groupが主導し、Bessemer Venture Partners、GIC、Index Ventures、Khosla Ventures、Lightspeed Venture Partners、T. Rowe Price Associates, Inc.の投資助言を受けるファンド、およびWCM Investment Managementといった著名な投資家が参加しました。

この資金調達は、ClickHouseがこれまで継続的かつ加速的な成長を遂げてきた実績を背景に行われました。現在、フルマネージドサービスである「ClickHouse Cloud」では3,000社以上の顧客を抱え、ARR(年間経常収益)は前年比250%以上という驚異的な成長を記録しています。このプラットフォームは、過去3か月間でCapital One、Lovable、Decagon、Polymarket、Airwallexといった新たな顧客を獲得し、既存顧客もその導入規模を拡大しています。これらの企業は、Meta、Cursor、Sony、TeslaといったAI分野のイノベーターや大手ブランドを含む、ClickHouseの強固な顧客基盤に加わっています。

Dragoneer Investment GroupのパートナーであるChristian Jensen氏は、大規模なプラットフォーム転換期において、本番環境(実際にサービスが稼働している環境)に最も近いインフラストラクチャ企業に価値が集中すると考えています。AIシステムが実験段階から本番環境へ移行するにつれて、基盤となるデータインフラストラクチャに求められる要件はますます高まります。AI駆動型アプリケーションは、より大量のクエリ(データベースへの問い合わせ)を生成し、より厳しいレイテンシ(データの処理や転送にかかる時間)要件のもとで動作し、継続的な評価とオブザーバビリティ(システムの内部状態を外部から把握できる能力)が求められます。ClickHouseは、このような大規模かつデータ集約型の本番ワークロードを支えるインフラストラクチャプラットフォームとして、必要なパフォーマンス、効率性、信頼性を備えていると評価されています。

ClickHouseのCEOであるAaron Katz氏は、今回の資金調達と今後の戦略について「ClickHouseは最も要求の厳しいデータワークロードに対して卓越したパフォーマンスとコスト効率を提供するように構築されており、今回の勢いはその戦略の正しさを裏付けるものです。今後に向けて、トランザクション処理と分析処理を統合したワークロードへの対応を進めることで、開発者が最適な技術基盤の上で、AI駆動のあらゆるアプリケーションを構築できるようにしていきます」とコメントしています。

ClickHouseチーム

AI時代のデータ基盤を拡張する二つの柱:Langfuse買収とネイティブPostgres

ClickHouseは、今回の資金調達と並行して、AI時代のデータ基盤をさらに拡張するための重要な二つの発表を行いました。

LLMオブザーバビリティ分野への参入:Langfuse買収の意義

AIアプリケーション、特にLLM(大規模言語モデル)を活用したアプリケーションは、その複雑さゆえに、予測不可能な振る舞いをすることがあります。LLMオブザーバビリティとは、このような非決定的(同じ入力でも毎回同じ結果が出るとは限らない)で複雑なAIシステムが、正確で安全でかつユーザーの意図に沿った出力を生成していることを保証するための仕組みです。従来のオブザーバビリティがシステムの健全性やパフォーマンス指標に焦点を当てるのに対し、LLMオブザーバビリティはAIの出力品質や動作を評価し、改善していくことに特化しています。

ClickHouseは、このLLMオブザーバビリティ分野に参入するため、オープンソースのLLMオブザーバビリティプラットフォームである「Langfuse」を買収しました。Langfuseのオープンソースプロジェクトは急速に採用が進んでおり、2025年末時点でGitHubのスター数が2万件を超え、SDK(ソフトウェア開発キット)の月間インストール数は2,600万回以上に達するなど、その人気と有用性が証明されています。

LangfuseのCEOであるMarc Klingen氏は「LangfuseをClickHouse上に構築したのは、LLMオブザーバビリティと評価は本質的にデータの問題であるからです。今回、1つのチームとして統合されることで、より緊密に連携したエンドツーエンドの製品を提供できるようになります。これにより、より高速なデータ取り込み、より高度な評価、本番環境での問題から測定可能な改善へと至るまでの道のりを、より短くすることができます」と述べています。この買収により、AIアプリケーション開発者は、本番環境への移行過程でAIの出力品質や動作をより効率的に評価し、改善できるようになるでしょう。

Langfuseチーム

トランザクションと分析を統合:ネイティブPostgresサービスの発表

現代のリアルタイムAIアプリケーションは、データの「トランザクション処理」(データの追加、更新、削除といった個々の操作)と「分析処理」(大量のデータを集計、分析して傾向やパターンを見つけ出す操作)の両方を高速かつ効率的に行う必要があります。しかし、これら二つの処理は異なる特性を持つため、通常は別々のデータベースシステムで管理されることが多く、システム間の連携やデータの同期に複雑さが伴いました。

ClickHouseは、この課題を解決するため、ClickHouseと深く統合されたエンタープライズグレードの「ネイティブPostgresサービス」を発表しました。このサービスは、NVMeストレージ(非常に高速なデータ読み書きが可能な記憶装置)とネイティブなCDC(変更データキャプチャ、データベースの変更をリアルタイムで捉える技術)機能を備えた高性能でスケーラブルなPostgres(広く利用されているオープンソースのリレーショナルデータベース)を含んでいます。これにより、わずか数クリックでトランザクションデータをClickHouseに同期し、最大で100倍高速な分析を実現できるようになります。

さらに、ネイティブなPostgres拡張によって実現される統合クエリレイヤーにより、ユーザーは個別のシステムを管理することなく、トランザクションと分析をシームレスに横断するアプリケーションを構築できます。このサービスは、Citus Data、Heroku、Microsoftでの豊富な実績を持つチームが率いるオープンソースクラウド企業「Ubicloud」とのパートナーシップのもとで開発されました。

Ubicloudの共同CEO兼共同創設者であるUmur Cubukcu氏は「PostgresとClickHouseは本質的に相互補完的であり、AIアプリケーションにとって重要な存在です。トランザクション用の本番環境グレードのPostgresと、分析用のClickHouseが一体となって機能する統合スタックを提供することで、チームの複雑さを取り除きます」とコメントしており、この統合されたデータスタックがAI開発者にとって大きなメリットをもたらすことを強調しています。

Ubicloudチーム?または提携チーム

グローバルな成長と進化を続けるClickHouseの製品戦略

今回の資金調達とLangfuseの買収と並行して、ClickHouseはグローバルでの展開とエコシステム(関連する技術やサービス、企業群)の拡大を積極的に進めています。過去1年間で、同社はJapan Cloudとのパートナーシップを通じて日本市場に参入したほか、OneLakeに焦点を当てたMicrosoft Azureとのパートナーシップも発表しました。これにより、より多くの企業がClickHouseの高速なデータ処理能力を活用できるようになります。

また、ClickHouseはサンフランシスコ、ニューヨーク、アムステルダム、シドニー、バンガロールなどでユーザーイベントを開催し、1,000人以上の参加者を集めました。これらのイベントでは、OpenAI、Tesla、Capital One、Ramp、Canvaといった先進的な企業から講演者を招き、ClickHouseの活用事例や最新技術について共有されました。さらに、AWS re:Inventでは2年連続で顧客向けイベントを開催するなど、世界中の開発者コミュニティとの連携を深めています。

製品面でも、ClickHouseは分析、AI、オブザーバビリティが重なり合う領域におけるリーダーとしての地位をさらに強固なものにしています。最近の製品開発の進展としては、データレイク(様々な形式のデータをそのままの形で保存するリポジトリ)対応への大規模な投資が挙げられます。具体的には、Apache Iceberg、Delta Lakeといった主要なデータレイクフォーマットや、最も広く利用されているデータカタログとの互換性が追加されました。これにより、ユーザーはより柔軟にデータを管理・活用できるようになります。

さらに、AIオブザーバビリティを含むオブザーバビリティ用途において重要性が高まっている全文検索機能も拡張されました。これは、AIシステムのログやトレースデータから特定の情報を素早く見つけ出す際に非常に役立ちます。また、より要求の厳しいAI駆動型アプリケーションを支えるための軽量UPDATE機能も導入されました。これらの機能強化により、ClickHouseは、最近のベンチマークにおいて主要なクラウドデータウェアハウスを上回る結果を示すなど、業界トップクラスの価格性能比を引き続き提供しています。

まとめ:AI駆動型アプリケーションの未来を切り拓くClickHouse

ClickHouseは、今回のシリーズD資金調達、Langfuseの買収、そしてネイティブPostgresサービスの導入によって、その成長をさらに加速させ、統合データプラットフォームおよびAIオブザーバビリティにおける役割を一層拡大していく体制を整えました。これらの戦略的な動きは、AI駆動型アプリケーションの開発と運用において、データ処理の課題を解決し、より高度なインサイト(洞察)をリアルタイムで得ることを可能にします。

ClickHouseは、AIエージェントがソフトウェアにますます組み込まれ、これまでよりもはるかに頻繁かつ複雑なクエリを生成するようになる中で、こうした課題に対応するために特別に設計された、高スループットかつ低レイテンシのエンジンを提供しています。Sony、Tesla、Memorial Sloan Kettering、Lyft、Instacartといった業界を代表する企業がClickHouseを信頼していることからも、その実力と将来性がうかがえます。ClickHouseは、スケーラブルで効率的、かつモダンなデータプラットフォームを通じて、チームが洞察を引き出し、より賢明な意思決定を行うことを支援し、AI時代のデータ活用の未来を切り拓いていくことでしょう。

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