EDGEMATRIXと科学情報システムズが業務提携:エッジAIで社会インフラのスマート化を加速
現代社会の基盤を支える交通・インフラ、そして私たちの生活に欠かせない製造業や公共セキュリティといった分野で、AI(人工知能)の活用が急速に進んでいます。特に「エッジAI」と呼ばれる技術は、そのリアルタイム性やプライバシー保護の観点から注目を集めています。
この度、映像エッジAIのリーディングカンパニーであるEDGEMATRIX株式会社と、長年にわたるシステム構築実績と高い技術力を誇る株式会社科学情報システムズ(以下、SIS)が業務提携を締結しました。この強力なタッグは、社会インフラのスマート化を加速させ、私たちの暮らしをより安全で効率的なものに変える可能性を秘めています。AI初心者の方にも分かりやすく、この業務提携の背景から両社の技術、そして未来への展望までを詳しくご紹介します。
エッジAIとは?なぜ今注目されているのか
AIと聞くと、多くの人がクラウド上の巨大なデータセンターで膨大な情報を処理する姿を想像するかもしれません。しかし、「エッジAI」は、その名の通り「エッジ(現場)」でAI処理を行う技術です。具体的には、監視カメラやセンサーといったデバイスそのもの、あるいはその近くに設置された小型のコンピューターでAIがデータを分析します。
なぜ今、エッジAIがこれほど注目されているのでしょうか。主な理由は以下の3点です。
-
リアルタイム処理の実現: データがクラウドに送られるのを待つことなく、現場で即座に分析・判断ができるため、工場での異常検知や交通状況のリアルタイム監視など、一刻を争う場面で威力を発揮します。
-
プライバシー保護の強化: 映像データなどをクラウドに送信する前に、現場で個人が特定できる情報を匿名化したり、必要な情報だけを抽出したりすることで、プライバシーリスクを大幅に低減できます。
-
通信コストの削減: すべてのデータをクラウドに送る必要がなくなるため、データ通信量とそれに伴うコストを削減できます。これは、多くのデバイスがネットワークに接続されるIoT(モノのインターネット)時代において、非常に重要なメリットです。
このようなエッジAI市場は、ニーズの高まりとともに急速に拡大しています。製造現場の品質管理、インフラ設備の監視、小売店舗の来客分析など、その活用範囲は多岐にわたります。
信頼関係が築いた業務提携の背景
今回の業務提携は、単なるビジネス上の関係に留まりません。EDGEMATRIXとSISは、オブジェクトストレージ製品を開発販売していたCloudian時代から10数年以上にわたる信頼関係を築いてきました。この長年の信頼が、今回の提携の強固な基盤となっています。
EDGEMATRIXは2019年に米国Cloudianからスピンオフし、NTTドコモビジネスや清水建設などから出資を受けながら、映像エッジAI分野の製品ソリューションを展開してきました。一方、SISは長年にわたる豊富なシステム構築実績と高い技術力を誇り、特に鉄道設備のスマートメンテナンスなど、AI・IoTを活用したインフラ監視分野で多くの実績を有しています。
両社は、エッジAI市場の拡大という共通の認識のもと、それぞれの強みを融合させることで、顧客の多様なニーズに応じた最適なエッジAIソリューションを迅速に提供できると判断し、今回の業務提携に至りました。
EDGEMATRIXの革新的な映像エッジAI製品群
EDGEMATRIXは、NVIDIAの高性能GPUを搭載したエッジAIコンピューティング製品を提供しており、そのラインナップは多種多様な現場のニーズに対応します。SISは、これらの製品を活用したシステムインテグレーションサービスを提供することで、顧客の課題解決をサポートします。
1. Edge AI Box (EXシリーズ)
Edge AI Box (EXシリーズ)は、NVIDIA Jetson Orin(Nano/NX/AGX)を搭載した高性能GPUエッジAIコンピューティング製品です。NVIDIA Jetson Orinは、AIアプリケーションの高速処理に特化した強力なプロセッサであり、従来モデルに比べて飛躍的な性能向上を実現しています。これにより、現場での複雑な映像解析も高速で処理することが可能になりました。
さらに、Edge AI BoxはARMM(自動復旧機能)を搭載しており、24時間365日のオペレーションをサポートします。万が一、システムに異常が発生した場合でも、自動でリブート(再起動)して稼働を継続するため、高い信頼性と安定性が求められる社会インフラの監視などにも安心して利用できます。
2. Edge AI Station
Edge AI Stationは、Edge AI Box EXシリーズに、多数のカメラや複数のEdge AI Box、そして様々なアプリケーションを遠隔で運用管理するための「StaionOS」を搭載したアプライアンス製品です。アプライアンス製品とは、特定の用途に特化してハードウェアとソフトウェアが一体化された製品のことで、導入後すぐに利用開始できるのが特長です。
この製品の大きな強みは、外部ネットワークへの接続なしで単独動作が可能な点です。これにより、オンプレミス(自社内)でのシステム構築が可能となり、通信コストの削減とプライバシー保護を高いレベルで実現します。特に、機密性の高いデータを扱う現場や、通信環境が不安定な場所での利用に適しています。

3. Edge AI Station アルファ
Edge AI Station アルファは、Edge AI Stationに汎用AIアプリケーションをプリインストールしたセット製品です。これにより、顧客は自社でAIアプリケーションを開発する手間やコストを省き、迅速にシステムを導入できます。小規模な現場から大規模で複雑な環境まで、幅広いニーズに対応できる汎用性と高い処理能力を提供し、AI導入のハードルを大きく下げます。
EDGEMATRIXの技術的優位性
EDGEMATRIXの映像エッジAI技術は、以下の点で特に優れています。
-
リアルタイム処理: エッジ側でデータを処理するため、クラウドへのデータ送信にかかる遅延がなく、低遅延でリアルタイムな応答が可能です。これにより、異常発生時の即時検知や迅速な対応が可能になります。
-
高い認識精度: クラウドAI処理の場合、通信帯域を節約するために映像を圧縮して送信することがありますが、これにより認識率が低下する可能性があります。一方、エッジ処理では高解像度映像をそのまま処理できるため、より高い認識精度を維持できます。
-
プライバシー保護: 映像をエッジ側で処理し、人物映像などを外部に送信する必要がないため、個人のプライバシーを強力に保護できます。これは、監視システムや公共空間でのAI活用において非常に重要な要素です。
-
地理的分散: 災害時などでデータセンターに障害が発生した場合でも、エッジ側で処理を継続できるため、システム全体の堅牢性が向上します。
科学情報システムズ(SIS)の確かな技術力とシステム構築実績
EDGEMATRIXの優れたエッジAI製品を最大限に活用するためには、それを現場に導入し、既存のシステムと連携させるための高度なシステムインテグレーション能力が不可欠です。ここでSISの技術力が光ります。
SISは、ISO 9001(品質マネジメントシステム)、ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)、プライバシーマークを取得しており、高い品質保証体制と情報セキュリティ体制を確立しています。これは、顧客が安心してシステム導入を任せられる証拠です。
さらに、SISは国内トップクラスの技術者集団です。2025年3月現在、エンジニア全体の約92.7%が基本情報技術者の資格を取得しています。これは、SISのエンジニアが広範なIT知識と技術を有していることを示しており、どんな複雑なシステム構築にも対応できる高い専門性を持っていると言えるでしょう。
多様な分野でのシステム構築実績
SISは、公共・社会(官公庁、自治体、医療)、金融(銀行、証券、保険)、産業(放送、流通、サービス)など、多種多様な分野でアプリケーション開発実績を持っています。特に、AI・IoTを活用したインフラ監視分野では先進的な事例を数多く手掛けています。
例えば、鉄道設備のスマートメンテナンスでは、車両検査・修繕設備の状態をリアルタイムに可視化し、故障予測を実現しています。これにより、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、安全かつ効率的な運行をサポートしています。このような実績は、EDGEMATRIXのエッジAI技術と組み合わせることで、さらに多くの業界で高付加価値なソリューションを生み出す基盤となります。

SISの持つシステム設計・構築能力とEDGEMATRIXの先進的なエッジAI技術を組み合わせることで、製造、交通・インフラ、小売、セキュリティなど幅広い業界に対し、付加価値の高いソリューションを展開していくことが期待されます。
提携がもたらすシナジーと今後の展望
今回の業務提携は、EDGEMATRIXの革新的なエッジAI技術と、SISの豊富なシステム構築実績および高い技術力が融合することで、大きなシナジーを生み出します。両社の強みが組み合わさることで、顧客は以下のようなメリットを享受できるでしょう。
-
最適なソリューションの提供: EDGEMATRIXの高性能なエッジAI製品を、SISの専門知識と実績に基づいて顧客の既存システムや特定のニーズに合わせて最適にカスタマイズ・統合できます。
-
迅速な導入と安定運用: 汎用AIアプリケーションがプリインストールされた「Edge AI Station アルファ」のような製品と、SISの確かなシステム構築力により、AIシステムの導入から安定稼働までをスムーズに行うことが可能です。
-
高信頼性とセキュリティ: SISの高い品質保証体制と情報セキュリティ体制のもと、プライバシー保護に配慮したEDGEMATRIXのエッジAIシステムを安心して利用できます。
EDGEMATRIX株式会社 代表取締役社長 太田 洋氏は、「SIS様とはCloudian時代から10数年以上にわたりお付き合いがあり、その技術力と信頼性の高さを高く評価しております。特にインフラ監視やスマートメンテナンス分野での実績は、EDGEMATRIXの映像エッジAI技術と非常に親和性が高く、今回の提携により、より多くのお客様に高品質なソリューションをお届けできることを期待しています」とコメントしています。
また、科学情報システムズ株式会社 代表取締役社長 浜地 歩氏も、「EDGEMATRIX様の革新的なエッジAI技術は、リアルタイム性とプライバシー保護の両立を実現する優れたソリューションです。当社のシステムインテグレーション能力と融合させることで、お客様の多様な課題解決に貢献できることを楽しみにしております」と、提携への期待を語っています。
この提携により、交通・インフラ監視における老朽化設備の予兆保全、製造業における品質検査の自動化、公共セキュリティ分野での不審行動検知など、多岐にわたる分野でのAI活用が加速するでしょう。リアルタイムでの状況把握と迅速な対応が可能になることで、社会全体の安全性と効率性が飛躍的に向上することが期待されます。
EDGEMATRIX株式会社について
EDGEMATRIX株式会社は、映像エッジAI分野におけるリーディングカンパニーとして、Edge AI Box、Edge AI Station、Edge AI Stationアルファ、および同製品群を使うソリューションを提供しています。リアルタイム性、プライバシー保護、通信コスト削減を実現する映像エッジAI技術を現場実装し、社会の安全性・効率性向上に貢献しています。
-
本社: 東京都渋谷区恵比寿西2-3-16 CATビル9階
-
代表取締役社長: 太田 洋
科学情報システムズ株式会社について
科学情報システムズ株式会社は、高度で良質な技術・サービスを提供し、顧客から信頼され「社会に貢献できる魅力的な企業」を目指しています。長年のシステムインテグレータとしての実績をベースに、顧客の要望に寄り添う提案力、最新技術も取り入れた確かな技術力、徹底した品質管理を強みとして、システムの要件定義から運用までをワンストップで提供しています。
-
本社: 神奈川県横浜市神奈川区金港町2-6 横浜プラザビル
-
代表取締役社長: 浜地 歩
まとめ
EDGEMATRIX株式会社と株式会社科学情報システムズの業務提携は、エッジAI技術の社会実装を大きく前進させる画期的な取り組みです。EDGEMATRIXの高性能なエッジAI製品と、SISの卓越したシステムインテグレーション能力が融合することで、交通・インフラ、製造業、公共セキュリティといった社会基盤を支える様々な分野で、これまでにない高付加価値なソリューションが展開されることでしょう。
リアルタイム性、プライバシー保護、コスト削減といったエッジAIのメリットを最大限に活かし、日本の社会インフラをよりスマートで安全なものに変革していく両社の今後の動向に、引き続き注目が集まります。この提携が、私たちの未来の暮らしをどのように豊かにしていくのか、その進化が楽しみです。

