EV充電の問い合わせが変わる!VerbexとENEOSが音声AIでコールセンターを高度化、顧客満足度向上へ

EV(電気自動車)の普及が急速に進む現代において、充電インフラの利用機会は増加の一途をたどっています。それに伴い、EV充電器に関する問い合わせも多様化し、コールセンターには新たな課題が生まれています。このような状況の中、音声対話AIプラットフォームを開発・提供する株式会社Verbex(以下、Verbex)、ENEOSホールディングス株式会社(以下、ENEOS HD)、およびENEOS株式会社(以下、ENEOS)の3社は、EV充電サービス利用者向けコールセンター業務の顧客応対品質向上を目的とした音声AIエージェントの実証実験(PoC:Proof of Concept)を開始しました。

Verbex Voice AI ロゴ

EV普及に伴うコールセンターの課題

EVの普及は環境への配慮やエネルギーの多様化といった点で大きなメリットをもたらしますが、一方で、その充電インフラの利用に関する問い合わせは、コールセンターにとって複雑な対応を要求するようになっています。具体的な問い合わせ内容は多岐にわたり、緊急性の高いものも少なくありません。

  • 充電方法や操作の案内: 初めてEVを利用する方や、異なる充電器に遭遇した方からの基本的な操作に関する質問。

  • 充電エラー・機器トラブルの相談: 充電が開始されない、途中で停止するといった技術的な問題や機器の故障に関する緊急性の高い問い合わせ。

  • 課金や利用履歴の確認: 料金体系や過去の利用状況に関する問い合わせ。

  • 会員登録や認証関連の問い合わせ: サービス利用開始時の手続きや、認証に関する疑問。

これらの問い合わせが集中することで、従来のコールセンターでは以下のような課題が顕在化していました。

  • 待ち時間の長期化: 利用ピーク時には電話が集中し、お客様がオペレーターにつながるまで長時間待たされる状況が発生していました。これは顧客満足度を大きく低下させる要因となります。

  • 応対品質のばらつき: オペレーターの経験値やスキルによって、案内内容や対応の質に差が生じる可能性がありました。これにより、お客様は一貫したサービスを受けられないと感じることがあります。

  • 夜間・休日対応負荷: EV充電インフラは24時間稼働していますが、それに合わせてコールセンターの人員体制を確保することは難しく、特に夜間や休日の対応が大きな負担となっていました。

  • オペレーター負担増大: 定型的な問い合わせが多く、これらに対応する業務がオペレーターの負荷を圧迫していました。これにより、より複雑な問題への対応に十分な時間を割けない状況が生じていました。

ENEOSホールディングスとENEOSは、これらの課題を解決し、お客様の満足度をさらに高めるため、音声対話AIの活用による一次受電の自動化検証を進めることとなりました。

音声AIエージェントによる実証実験の概要

今回の実証実験では、Verbexが持つ独自の音声対話AIモデルが活用されます。このAIは、EV充電利用者からの電話問い合わせに対し、一次対応を半自動化する役割を担います。具体的には、ENEOSが提供するEV充電サービス「ENEOS Charge Plus」を利用するお客様からの、充電器の利用や故障に関する問い合わせが対象です。

音声AIエージェントが一次対応を行うことで、応対内容の標準化が図られ、お客様の待ち時間を短縮し、お客様応対品質の向上を目指します。さらに、AIだけでは解決に至らない複雑な問い合わせの場合には、迅速かつスムーズにオペレーターに引き継ぐ仕組みが検証されます。

実施内容

  • 対象業務: EV充電器利用に関する電話問い合わせ対応

  • 期間: 2月16日予定〜3月13日(予定)

音声AIエージェントの具体的な役割

音声AIエージェントは、お客様からの電話に対して以下のような役割を果たします。

  • 問い合わせ内容の音声理解: お客様の言葉を正確に聞き取り、問い合わせの意図を把握します。

  • 状況ヒアリング: 機器の状態や利用状況など、問題解決に必要な情報をAIが質問し、お客様から引き出します。

  • 定型FAQの即時回答: よくある質問(FAQ)については、AIがその場で迅速に回答を提供します。

  • トラブル内容の分類: 問い合わせ内容を分析し、どのような種類のトラブルであるかを正確に分類します。

  • オペレーターへの自動引き継ぎ: AIでの解決が困難な場合や、より専門的な対応が必要な場合には、リアルタイムでオペレーターに接続します。この際、お客様が同じ説明を繰り返す必要がないよう、AIがヒアリングした情報をオペレーターに連携することで、スムーズな連携を実現します。

期待される効果

この実証実験を通じて、以下のような多岐にわたる効果が期待されています。

  • 応答取りこぼしの削減: AIが一次対応を行うことで、電話が集中してもすべてのお客様からの問い合わせを受け付けることが可能となり、電話の取りこぼしが大幅に減少します。

  • 待ち時間大幅短縮: AIが定型的な問い合わせに即座に対応することで、オペレーターにつながるまでの時間が短縮され、お客様のストレスが軽減されます。Verbexのこれまでの導入事例では、「待ち時間90%削減」といった成果も報告されており、同様の効果が期待されます。

  • AIによる自動完結率向上: AIが多くの問い合わせを自動で解決できるようになることで、お客様自身で問題解決できる機会が増え、利便性が向上します。Verbexの実績では「問い合わせの80%を自動完結」した事例もあり、高い自動化率が見込まれます。

  • 応対品質案内内容の標準化: AIは常に一定の品質で情報提供を行うため、オペレーターの経験値に左右されることなく、お客様は常に正確で標準化された案内を受けられます。

  • オペレーター負荷定型問い合わせ削減: 定型的な問い合わせをAIが担うことで、オペレーターはより複雑で専門的な対応や、お客様に寄り添う必要がある問い合わせに集中できるようになります。これにより、オペレーターの業務負担が軽減され、従業員満足度の向上にもつながります。

今後の展望

今回の実証実験で得られる知見は、今後のサービス展開において非常に重要な役割を果たすと期待されています。Verbex、ENEOSホールディングス、ENEOSは、この成果を基に、以下のような顧客接点の高度化を段階的に推進していく計画です。

  • EV関連サポートの高度化: EV充電だけでなく、EV利用全般に関するお客様サポートをさらに充実させ、より包括的なサービスを提供することを目指します。

  • 他のエネルギー関連窓口への展開: EV充電サービスで培った音声AIのノウハウを、ガソリンや電力など、他のエネルギー関連窓口へも応用し、幅広い分野での顧客体験向上を図ります。

  • 夜間無人受付体制の強化: 24時間稼働が求められるインフラにおいて、夜間や休日もAIが無人で対応できる体制を強化し、お客様がいつでも安心して問い合わせできる環境を整備します。

  • データ活用による顧客理解深化: AIが収集する膨大な問い合わせデータを分析することで、お客様のニーズや課題をより深く理解し、サービスの改善や新たな価値創造につなげていきます。

Verbexは、ENEOSホールディングスとENEOSが長期ビジョンとして掲げる「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」という二つの目標に対し、革新的なAI技術で貢献していくことを目指しています。

株式会社Verbexについて

Verbexは、「声で世界をつなぐ」をミッションに掲げ、独自の音声対話技術の研究開発を行うAIスタートアップ企業です。同社は、STT(Speech to Text:音声をテキストに変換する技術)、TTS(Text to Speech:テキストを音声に変換する技術)、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)、Speech Engine(音声処理エンジン)など、音声対話に必要なあらゆる機能やデータトレーニングメソッドを独自に研究開発しています。これにより、極めて自然で遅延の少ない(低遅延な)音声対話を実現するAIプラットフォームを提供しています。

Verbexの経営メンバーは、バングラデシュと日本のシリアルアントレプレナー(連続起業家)で構成されており、国際的なハイブリッドスタートアップとして、アジアと日本発の音声AIの実用化を推進しています。すでに日本を含む25カ国で56件の特許を保有しており、独自技術の研究開発を継続しながら、グローバルな事業展開を見据えて活動しています。

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Verbexの詳しい情報は、以下の公式サイトで確認できます。

まとめ

Verbex、ENEOSホールディングス、ENEOSによるEV充電領域のコールセンター高度化に向けた音声AI実証実験は、EV普及時代の新たな顧客対応の形を示す重要な取り組みです。AIによる効率的な一次対応と、人間によるきめ細やかなサポートを組み合わせることで、顧客満足度の向上とオペレーターの負担軽減を両立させることを目指しています。この実証実験の成果は、将来的に他のエネルギー関連サービスや、さらに広範な業界の顧客接点にも応用され、私たちの生活をより便利で快適なものに変えていく可能性を秘めていると言えるでしょう。

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