ブレインパッド、「Rtoaster SDK」のFlutterプラグイン提供でアプリ開発に革新
株式会社ブレインパッドは、同社が提供するレコメンドエンジン搭載のプライベートDMP「Rtoaster SDK」(アールトースター・エスディーケー)のFlutterプラグインの提供を開始すると発表しました。この新たな提供により、Googleが開発した人気のフレームワークFlutterで構築されたアプリ上でも、「Rtoaster」の強力なレコメンドエンジン「action+」(アクション・プラス)の機能を、これまでよりも手軽に実装できるようになります。
今回の発表は、ウェブとアプリの行動データを統合し、より高度なパーソナライズ(一人ひとりに最適化された情報提供)を実現するための重要な一歩となります。アプリ開発の効率化と、ユーザーへのきめ細やかなアプローチを両立させるこの新技術について、AI初心者の方にも分かりやすく、そのメリットや背景、今後の展望を詳しく見ていきましょう。
Rtoaster SDKとFlutterプラグインとは?AI初心者にも分かりやすく解説
今回の発表を理解するために、いくつかの専門用語を簡単に解説します。
Rtoaster(アールトースター)とは?
Rtoasterは、株式会社ブレインパッドが提供するAI搭載のレコメンドエンジンおよびプライベートDMP(Data Management Platform)です。ウェブサイトやアプリを訪れる一人ひとりのユーザーの行動履歴や属性データ(性別、年齢など)を分析し、「このユーザーにはこれがおすすめ」というように、パーソナライズされた情報やコンテンツをリアルタイムで提供する仕組みです。
例えば、ECサイトで過去に購入した商品や閲覧した商品を参考に、関連する商品を「おすすめ」として表示する機能などがRtoasterによって実現されています。これにより、ユーザーは自分に合った情報を見つけやすくなり、企業は顧客満足度や売上の向上につなげることができます。
SDK(Software Development Kit)とは?
SDKは「Software Development Kit(ソフトウェア開発キット)」の略で、特定のソフトウェアやプラットフォーム向けのアプリケーションを開発するために必要なツールやライブラリ、ドキュメントなどを一式にまとめたものです。簡単に言うと、アプリに特定の機能を追加するための「道具箱」のようなものです。
Rtoaster SDKは、Rtoasterの機能をiOS(iPhoneやiPadなど)やAndroid(様々なスマートフォンやタブレットなど)のネイティブアプリに組み込むためのSDKです。これを使うことで、開発者がAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を個別に実装するよりも少ない開発負荷で、アプリ内で高精度なパーソナライズド・レコメンド機能などを利用できるようになります。
Flutter(フラッター)とは?
Flutterは、Googleが開発したオープンソースのUI(ユーザーインターフェース)フレームワークです。最大の特徴は「クロスプラットフォーム開発」を可能にすること。通常、iOSアプリとAndroidアプリはそれぞれ異なるプログラミング言語(iOSはSwift/Objective-C、AndroidはJava/Kotlin)で開発する必要がありますが、Flutterを使えば、一つのコードベース(同じプログラム)で両方のOSに対応するアプリを開発できます。これにより、開発の時間やコストを大幅に削減できるため、近年急速に人気が高まっています。Flutterの詳細については、Flutter公式ウェブサイトをご覧ください。
Flutterプラグインとは?
今回の発表の主役であるFlutterプラグインは、Flutterで開発されたアプリにRtoaster SDKの機能を簡単に組み込むための専用の部品です。これにより、Flutterを使ってアプリを開発している企業は、Rtoasterの強力なレコメンド機能「action+」を、効率的かつ安定的に自社のアプリに導入できるようになります。
Flutterプラグイン提供の背景:クロスプラットフォーム開発の台頭
ブレインパッドが今回Flutterプラグインの提供を開始した背景には、モバイルアプリ開発における「クロスプラットフォームフレームワーク」の普及があります。クロスプラットフォームフレームワークとは、iOSやAndroidなど、複数の異なるオペレーティングシステム(OS)上で動くアプリケーションを、単一のコードベースから開発できるようにする技術のことです。これにより、開発コストの削減や開発期間の短縮が期待できます。
近年、FlutterやReact Native(React Nativeの詳細はこちら:React Native公式ウェブサイト)といったクロスプラットフォーム開発フレームワークが急速に普及しています。特にFlutterは、その開発効率の良さや高いパフォーマンスから、世界中の開発者から注目を集めています。2023年の調査(Statista調査データ)では、世界中の開発者が使用するクロスプラットフォームの使用率において、Flutterが46%と他のプラットフォームと比較しても突出しています。その使用率は2019年から伸び続けており、Flutterを用いたアプリ開発の需要の高まりに応えることは、企業にとって必須の課題となっています。
このような市場のニーズに応える形で、ブレインパッドはFlutterプラグインの実装を決定しました。これにより、Flutterを用いてアプリを構築している企業が、手軽にRtoaster「action+」の機能を活用し、顧客体験の向上を図れるようになります。
アプリに「action+」を実装する2つの大きなメリット
アプリにRtoasterのレコメンドエンジン「action+」を実装することで、主に以下の2つのメリットが期待できます。Rtoaster・パーソナライズ action+の詳細については、ブレインパッドのRtoaster製品ページをご覧ください。
1. 「行動特性」に基づくパーソナライズの強化
アプリ利用者は、一般的にウェブサイトの訪問者よりも企業やサービスへのエンゲージメント(関心度や熱心さ)が高い傾向にあります。そのため、アプリ内ではウェブと比較して、より深く、詳細な閲覧や購買行動データが蓄積されやすいという特徴があります。
アプリでもRtoaster「action+」のスコアリング機能を活用することで、ユーザーの「行動特性」(どのような商品に興味があるか、どのような情報を求めているか、購買に至るまでの行動パターンなど)をより正確に把握し、活用することが促進されます。これにより、ウェブとアプリ双方でのパーソナライズド・レコメンド機能をリアルタイムで強化することが可能になります。
例えば、あるユーザーがアプリ内で特定のテントに関する商品を30分以上閲覧したり、お気に入りリストに複数回登録したりした場合、Rtoasterは「このユーザーはテントに関する購入意欲が極めて高いが、比較検討に慎重な層である」と判断します。その情報に基づいて、アプリ上に「今使えるクーポン一覧」や「今週限定の対象テント購入で使える10%OFFクーポン」、さらには「今年の注目テント徹底比較」といった記事を表示し、ユーザーが安心して購入できるような情報を提供できるようになります。

2. アプリ接客・ユーザー情報取得の強化
「action+」をアプリに導入することで、ウェブサイトと同様に、アプリ内でもポップアップによる接客補助が可能となります。特定の行動をしたユーザーに対して、タイミング良く関連情報やお得な情報などを表示することで、ユーザー体験を向上させ、購買やサービスの利用を促進できます。
また、ポップアップで表示可能なアンケート機能も活用することで、より多くのユーザーの「生の声」(意見や要望)を取得することが可能になります。これにより、ウェブとアプリ双方での施策改善や詳細な分析につなげることができ、サービスの品質向上や新たな機能開発にも役立てられるでしょう。
今回のFlutterプラグインの実装に伴い、ブレインパッドによるサポート体制も整っています。これにより、企業はより安定的に「action+」の機能を活用し、アプリマーケティングを推進できるようになります。
Rtoaster SDKの将来展望と開発ロードマップ
ブレインパッドは、Rtoaster SDKの今後の展開についても明確なロードマップを示しています。クロスプラットフォーム技術の普及、そしてプログラミング言語Swiftの最新バージョン「Swift 6」(Swift 6の詳細はこちら:Apple Developer Swiftページ)の登場といった技術的な転換に対応すべく、Rtoaster SDKは進化を続けています。
同社は、Flutterプラグインの提供に留まらず、その他のアプリプラットフォームへの対応も検討・推進していく方針です。これにより、今後も幅広い企業のアプリマーケティングを強力に支援していくことが期待されます。

上記のロードマップでは、2025年から2028年にかけてのRtoaster SDKのバージョンアップ計画が示されています。Flutterプラグインはv1.0.0として提供され、Flutterのアップデートには随時対応していくとのことです。また、iOSおよびAndroid版SDKも順次バージョンアップし、古いバージョンのサポート終了(EOL)も計画されています。Swift 6への対応もロードマップに組み込まれており、最新の技術トレンドを取り入れながら、機能強化と安定性の向上を目指していることが分かります。ただし、この計画は将来の見通しであり、変更される可能性もあります。
ブレインパッド担当者のコメント
今回のFlutterプラグイン提供について、株式会社ブレインパッド 執行役員 プロダクト担当の皆瀬 雄貴氏からコメントが寄せられています。

皆瀬氏は、「優れた顧客体験(CX)を開発環境や技術スタックに依存せず迅速に実装いただきたいという想いから、本プラグインの開発に至りました。クロスプラットフォームでの事業展開を推進する企業の皆様のパートナーとして、今後もテクノロジーの導入障壁を取り除き、本質的な価値提供に貢献してまいります」と述べています。
このコメントからは、企業が抱える開発環境の多様性や技術的な課題に対し、Rtoasterが柔軟に対応し、本質的なビジネス価値を提供しようとするブレインパッドの強いコミットメントが感じられます。
まとめ
株式会社ブレインパッドによる「Rtoaster SDK」のFlutterプラグイン提供開始は、モバイルアプリ開発とパーソナライズマーケティングの世界に新たな可能性をもたらすものです。Flutterを活用してアプリを開発する企業は、これまで以上に効率的に、そして高度なAIレコメンド機能を自社のアプリに組み込むことが可能になります。
これにより、ユーザー一人ひとりの行動特性に基づいたきめ細やかな情報提供や接客が実現し、顧客体験(CX)の劇的な向上が期待されます。ウェブとアプリのデータを統合し、顧客理解を深めることで、企業はより効果的なマーケティング戦略を展開し、ビジネス成長を加速させることができるでしょう。
ブレインパッドは、今後もRtoaster SDKの機能強化と対応プラットフォームの拡大を進め、企業のアプリマーケティングを多角的に支援していく方針です。AIを活用したパーソナライズ技術は、これからも私たちのデジタル体験をより豊かに、より便利にしてくれることでしょう。

