FRONTEOとBAKUTANが革新的なAIソリューションを共同開発:KIBITとQの融合で非構造データをビジネスチャンスに変える

FRONTEOとBAKUTANが革新的なAIソリューションを共同開発:KIBITとQの融合で非構造データをビジネスチャンスに変える

AI技術の進化が目覚ましい現代において、企業が直面する課題の一つに「非構造データ」の活用があります。日々の営業日報、会議の議事録、従業員へのアンケートなど、形式が定まっていない大量のテキストデータは、そのままでは分析が難しく、多くの企業でその価値が十分に引き出されていません。

このような課題に対し、AIソリューションを提供する株式会社FRONTEO(以下、FRONTEO)と、HR(人事・労働市場)領域に強みを持つ東京大学松尾研発スタートアップであるBAKUTAN株式会社(以下、BAKUTAN)が、画期的な共同開発に乗り出しました。

両社は、FRONTEOのAI「KIBIT(キビット)」とBAKUTANのヒアリングAI「Q(キュー)」を融合させた「新たなAIソリューションの共同開発・先行実証」を開始。この取り組みは、営業、HR、ナレッジマネジメントといった幅広い領域における非構造データ活用を通じて、事業機会の創出や潜在的リスクの発見、さらには経営判断の支援を目指しています。

FRONTEO BAKUTANのロゴ

新たなAIソリューションの概要:KIBITとQの融合

今回共同開発されるAIソリューションは、FRONTEOの「KIBIT」とBAKUTANの「Q」という、それぞれのAIが持つ独自の強みを組み合わせることで、生成AI単体では実現が難しい専門性と信頼性を備えた経営判断支援を可能にします。

BAKUTANのヒアリングAI「Q」によるデータ収集・入力支援

BAKUTANのヒアリングAI「Q」は、生成AIを活用した対話型のAIモジュールです。この「Q」が担うのは、企業内に散らばる非構造データの入力・収集支援です。例えば、営業担当者が作成する日報や商談記録、人事担当者が行う面談の記録、従業員アンケートなど、これまで人力に頼りがちだった情報の言語化・記録をサポートします。

FRONTEOのAI「KIBIT」による高精度な分析・発見

一方、FRONTEOのAI「KIBIT」は、膨大な言語情報を高速かつ高精度に解析し、専門家の持つ暗黙知を構造化して意思決定を支援する特化型AIです。生成AIとは異なり、専門分野ごとの知識構造や判断基準を反映した独自のアルゴリズム設計により、高い信頼性を実現しています。この「KIBIT」が、「Q」によって収集・整備されたデータから、事業機会や潜在的リスク、人的資本経営への示唆などを高精度で解析し、発見する役割を担います。

FRONTEOとBAKUTAN、両社のAI技術と専門分野を紹介する図

このように、「Q」がデータを「集める・整える」役割を、「KIBIT」がデータを「分析する・発見する」役割を担うことで、データの「量」と「質」の両面からアプローチし、より信頼性の高い経営判断へと繋がるインテリジェンスを創出します。

共同開発の背景:生成AIの課題と非構造データ活用の必要性

近年、大規模言語モデル(LLM)の進展により、自然言語処理を中心とした生成AI技術は急速に発展しています。しかし、生成AIを企業の事業や経営判断に直接活用する際には、出力結果の信頼性や、その判断に至るまでの説明責任といった課題が指摘されてきました。

特に、法務や人事戦略といった企業戦略に関わる領域、あるいは創薬のような高度な専門性が求められる事業領域では、汎用的な生成AIから得られた結果のみを基に意思決定を行うことには慎重な判断が求められます。誤った情報や根拠の不明確な情報に基づいて判断を下せば、企業にとって大きなリスクとなりかねません。

また、営業活動や採用、タレントマネジメントを含むHR領域では、社内のナレッジや記録情報の多くが「非構造データ」として企業内に散在しています。これらのデータは、その形や項目が一定のパターンに定まらないため、AI活用の基盤となるデータの「量」と「質」を十分に確保することが難しいという課題がありました。生成AIを導入する以前の段階で、データそのものの整備が大きな障壁となるケースが増えていたのです。

FRONTEOとBAKUTANの共同開発は、これらの課題に対し、それぞれのAIの強みを持ち寄ることで、より実用的で信頼性の高いソリューションを提供することを目指しています。

本取り組みの目的と意義:経営インテリジェンスの高度化へ

この共同開発の目的は、企業内の非構造データ(社内ナレッジ、営業日報・記録、人事関連サーベイなど)を、BAKUTANのヒアリングAI「Q」による入力・収集支援と、FRONTEOのAI「KIBIT」による高精度な解析・発見を組み合わせることで、自動的に収集・解析する仕組みを構築することにあります。

これにより、企業は以下のような具体的な恩恵を受けることが期待されます。

  • 事業機会や潜在的リスクの発掘: 散らばっていた情報の中から、新たなビジネスチャンスや、将来的に問題となりうるリスクの兆候を早期に発見できます。

  • 人的資本経営への示唆創出: 従業員のスキルや経験、エンゲージメントに関するデータから、人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、その価値を最大化するための具体的なヒントを得られます。

  • 経営インテリジェンスの高度化: 企業内外の多様なデータや知見を統合・分析し、経営判断や戦略立案をより高度なレベルで行うための仕組みを強化します。

2026年内のPoC導入目標

先行実証では、営業、HR領域、ナレッジマネジメントなど、幅広い領域への適用を想定したモジュール型ソリューションの開発および展開を進めます。そして、2026年内に10社以上でのPoC(概念実証)導入を目標としています。この実証成果を踏まえ、新たなユースケースの創出や、特定の領域に特化したソリューションとしての展開可能性が確認できた段階で、正式な製品リリースが予定されています。

KIBITとQが切り拓く具体的な活用事例

この新しいAIソリューションは、企業の様々な業務において、これまで見過ごされてきた非構造データから価値ある情報を引き出し、具体的な経営判断に役立てることを目指しています。ここでは、特に「営業領域」と「HR領域」での適用例を詳しく見ていきましょう。

営業領域での変革

営業部門では、日々多くの情報が営業日報や商談レビュー、議事録などの非構造データとして蓄積されています。これらを新開発のAIで自動収集・解析することで、以下の示唆を得ることができます。

  1. 案件の見込み確度やリスクの早期検知: 過去の成功・失敗事例や、商談内容のテキストデータから、現在進行中の案件がどの程度の確度で進んでいるか、あるいはどのようなリスク要因を抱えているかを早期に把握できます。これにより、営業戦略を迅速に修正したり、必要なサポートを投入したりすることが可能になります。
  2. 収益性の高い案件パターンの抽出と初期段階での優先度判定: 膨大な商談データの中から、特に収益性が高かった案件に共通する特徴やパターンをAIが抽出し、新たな商談の初期段階でその優先度を判断する材料を提供します。これにより、限られたリソースを最も効果的な案件に集中させることができます。
  3. 営業担当者ごとのナレッジや成功パターンの可視化: 成績の良い営業担当者の日報や商談記録を分析することで、その担当者が無意識に行っている成功要因や、顧客との良好な関係構築術といった「暗黙知」を可視化します。これにより、組織全体の営業力の底上げや、新人育成にも活用できます。

HR領域での人的資本経営支援

人事部門では、従業員のエンゲージメントサーベイ、業務日報、1on1ミーティングの記録、インタビューデータなど、従業員の「今」を捉えるリアルタイムデータが多数存在します。これらをAIで自動収集・解析することで、人的資本経営を強力に推進する示唆が得られます。

  1. 離職・メンタルヘルス等の予兆診断: 従業員の言葉の傾向や、日報・サーベイの内容から、離職の兆候やメンタルヘルスの不調を早期に検知します。これにより、先手を打ったケアやサポートを提供し、従業員のエンゲージメント維持と健康経営に貢献します。
  2. 従業員のスキル・経験のポートフォリオ可視化: 従業員が持つスキルや経験に関する非構造データを解析し、個々の従業員がどのような専門性を持ち、どのような業務で活躍できるかを可視化します。これは、適切な人材配置やキャリア開発の支援に役立ちます。
  3. ハイパフォーマー人材のパターン分析・可視化: 組織内で高いパフォーマンスを発揮している人材の行動や思考、コミュニケーションの特徴などをAIが分析し、パターンとして可視化します。これにより、ハイパフォーマー育成のための具体的な施策立案や、組織文化の醸成に繋げることができます。

両社の強みと専門性

この共同開発を支えるFRONTEOとBAKUTANは、それぞれが独自の強みと専門性を持つ企業です。

FRONTEOの「KIBIT」が持つ信頼性

FRONTEOは、膨大な言語情報を高速かつ高精度に解析し、専門家の暗黙知を構造化して意思決定を支援するAIソリューションを開発・提供しています。リスク調査や予兆発見をはじめとする多様な分野で多数の社会実装実績を持ち、特に金融機関においては、メガバンクグループの100%、5大証券会社の80%で導入実績があります。

FRONTEOのAI「KIBIT」は、一般的な生成AIとは異なり、専門分野ごとの知識構造や判断基準を反映した独自のアルゴリズム設計により、専門家が安心して活用できる高い信頼性を実現しています。

Kibitが多岐にわたる専門分野を統合的に支援する様子を示したイラスト

BAKUTANの「Q」が実現する柔軟なデータ収集

BAKUTANは、HR領域を中心に非構造データの利活用に関する知見を蓄積してきました。社内に分散する非構造データを価値へと転換するための「AI-Ready化」支援や、戦略的人事を支援するR&D、AIエージェントの開発などに取り組んでいます。特に、ヒアリングに特化したAI「Q」を活用した柔軟な対話設計および入力支援の設計に強みを持っている点が特長です。

今後の展開

FRONTEOとBAKUTANは、この共同開発ソリューションの早期社会実装を推進するとともに、営業やHR領域にとどまらず、企業活動において発生する多様な非構造データを対象とした新たなユースケース創出を進めていく方針です。

FRONTEOのAI「KIBIT」とBAKUTANのヒアリングAI「Q」が、それぞれの強みを発揮しながら補完し合う形で活用されるモデルの確立を目指し、産業横断的にAI技術を「使える形」で社会に実装する取り組みを加速させていくことでしょう。

株式会社FRONTEOについて

FRONTEOは、自社開発の特化型AI「KIBIT」の提供を通じて、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。独自の自然言語処理技術は、教師データの量やコンピューティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度な解析を可能にします。解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術により、「KIBIT」は専門家のインサイトに直接働きかけることができ、創薬の仮説生成や標的探索にも活用されています。詳細については、以下のリンクをご覧ください。

BAKUTAN株式会社について

BAKUTAN株式会社は、「ミスマッチのない世界」をミッションに掲げ、ヒューマン領域における先端技術に基づいたAIシステムズデザインを社会実装する東京大学 松尾研発スタートアップです。人事・HR、労働市場、マッチングサービスなどの領域において、データ・AI駆動の課題解決ソリューションを提供し、現代社会におけるすべての人、そして企業や組織の可能性を拡張しています。詳細については、以下のリンクをご覧ください。

用語解説

AI初心者の方にも分かりやすいように、記事中で使用した専門用語の一部を解説します。

  • 先行実証(PoC:Proof of Concept): 本格的な製品化やサービス提供に先立ち、実際の業務環境に近い条件で、技術やソリューションの有効性や実用性を検証する取り組みのことです。

  • ヒアリング: ここでは特に、社員への問いかけを通じて、思考や経験を継続的に言語化・記録し、人材育成やマネジメント、組織改善に活用する手法を指します。

  • 非構造データ: 形や項目が一つのパターンに定まらないテキストなどのデータのことを指します。例えば、自由記述のアンケート回答や議事録、音声データなどがこれに該当します。

  • 人的資本経営: 経営において、人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、その価値を中長期的に最大化することで企業価値向上を図る考え方です。

  • 経営インテリジェンス: 企業内外にある多様なデータや知見を統合・分析し、経営判断や戦略立案を高度化するための仕組みや活動の総称です。

  • AI-Ready化: AIの効果的な活用が可能となる状態に、組織・業務・データ・人材を整えることを指します。

  • タレントマネジメント: 人材(タレント)を組織の経営資源と捉え、採用から育成・配置・評価・活躍支援・後継者育成までを戦略的に行う人材マネジメントの考え方や仕組みです。

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