FRONTEOとBAKUTAN、AI技術の融合で経営判断を革新!「KIBIT」と「Q」が拓く未来
現代のビジネス環境では、データに基づいた迅速かつ正確な意思決定が不可欠です。しかし、企業内に散らばる「非構造データ」の活用は、多くの企業にとって大きな課題となっています。そんな中、株式会社FRONTEOと東京大学松尾研発スタートアップのBAKUTAN株式会社が、それぞれの得意なAI技術を組み合わせた新たなソリューションの共同開発と先行実証を開始しました。
この画期的な取り組みは、FRONTEOのAI「KIBIT」とBAKUTANのヒアリングAI「Q」を融合させることで、非構造データの収集から高精度な分析までを一貫して行い、営業、人事(HR)、ナレッジマネジメントといった多様な領域における経営判断を強力に支援することを目指しています。
共同開発の目的と革新性:AIが経営をどう変えるか
FRONTEOとBAKUTANの共同開発は、大きく分けて二つのAIが連携することで、生成AI単体では難しい「専門性と信頼性」を兼ね備えた経営判断支援を実現します。
役割分担で実現する高精度なデータ活用
このソリューションでは、BAKUTANの生成AIを活用したヒアリング特化の対話型AIモジュール「Q(キュー)」が、データの入力や収集を支援する役割を担います。これにより、これまで収集が難しかったり、形式がバラバラだったりした情報(非構造データ)を、効率的に集めることが可能になります。
一方、FRONTEOのAI「KIBIT」は、収集されたデータを高精度に解析し、その中に隠された重要な情報やパターンを発見する役割を担います。この明確な役割分担により、データ収集から分析、そして示唆の抽出までを一貫して、専門性と信頼性の高い形で実行できます。

経営判断への貢献を目指す3つの柱
本取り組みの主な目的は、以下の3つの領域で企業の経営を支援することです。
- 事業機会や潜在的リスクの発掘
営業日報や社内ナレッジなど、これまで活用しきれていなかった非構造データから、新たなビジネスチャンスや、将来的なリスクの兆候を早期に発見します。これにより、企業はより戦略的な意思決定が可能になります。 - 人的資本経営への示唆創出
従業員のサーベイ結果や1on1の記録といった人事関連の非構造データを分析することで、従業員のエンゲージメント向上や離職防止、スキル開発など、人材を「資本」として捉え、その価値を最大化する「人的資本経営」に役立つ具体的な示唆を提供します。 - 経営インテリジェンスの高度化
企業内外の多様なデータを統合・分析し、経営判断や戦略立案を高度化するための情報(経営インテリジェンス)を強化します。これにより、より客観的でデータに基づいた経営が可能になります。
先行実証と今後の展望
両社は、このソリューションの先行実証を既に開始しており、営業、HR、ナレッジマネジメントなど幅広い領域への適用を想定したモジュール型ソリューションの開発・展開を進めています。2026年内には10社以上でのPoC(概念実証)導入を目標としており、その成果を踏まえて正式な製品リリースを予定しています。
この実証を通じて、FRONTEO AI「KIBIT」とBAKUTANのヒアリングAI「Q」が、それぞれの強みを生かしながら補完し合う形で活用できることを社会に示し、産業横断的なAI技術の社会実装を加速させることを目指しています。
FRONTEOとBAKUTAN、それぞれのAI技術の強みとは
この共同開発を支える両社のAI技術は、それぞれ独自の強みを持っています。
FRONTEO AI「KIBIT」:専門家の知見をAIで構造化
FRONTEOは、膨大な言語情報を高速かつ高精度に解析し、専門家の持つ「暗黙知」(言葉にしにくい経験や勘)をAIが学習して構造化し、意思決定を支援するAIソリューションを提供しています。
「KIBIT」は、一般的な生成AIとは異なり、専門分野ごとの知識構造や判断基準を反映した独自のアルゴリズム設計が特徴です。これにより、専門家が安心して活用できる高い信頼性を実現しており、リスク調査や予兆発見といった多様な分野で多くの社会実装実績があります。特に金融機関では、メガバンクグループの100%、5大証券会社の80%で導入されているという実績は、その信頼性の高さを物語っています。
FRONTEOのAI「KIBIT」について、さらに詳しくはこちらをご覧ください。

BAKUTAN ヒアリングAI「Q」:非構造データ活用のエキスパート
BAKUTANは、HR(人事・労働市場)領域を中心に、非構造データを活用するための深い知見を蓄積してきました。企業内に散らばる非構造データをAIが活用しやすい形に整える「AI-Ready化」支援や、戦略的な人事を支援するAIエージェントの開発などに取り組んでいます。
BAKUTANの強みは、ヒアリングに特化したAI「Q」を活用した、柔軟な対話設計と入力支援の設計にあります。これにより、従業員の思考や経験といった、これまで言語化・記録が難しかった情報を継続的に収集し、人材育成や組織改善に活用することが可能になります。
BAKUTAN株式会社について、さらに詳しくはこちらをご覧ください。
共同開発の背景にある課題:なぜ今、このソリューションが必要なのか
近年、大規模言語モデル(LLM)の発展により、生成AI技術は目覚ましい進化を遂げています。しかし、生成AIをビジネスや経営判断に本格的に活用する際には、いくつかの重要な課題が指摘されています。
生成AIの「信頼性」と「説明責任」の壁
汎用的な生成AIは非常に便利ですが、その出力結果の「信頼性」や、なぜその結論に至ったのかという「説明責任」に関する課題が残っています。
特に、法務、人事戦略といった企業戦略の根幹に関わる領域や、創薬のような高度な専門性が求められる事業領域では、AIによるアウトプットの正確性が極めて重要です。そのため、汎用的な生成AIの出力結果のみを基に意思決定を行うことには、慎重な判断が求められるのが現状です。
非構造データの「量」と「質」の課題
また、営業活動における日報や商談記録、採用・タレントマネジメントを含むHR領域における人事面談の記録など、企業内に存在する多くの貴重な情報が「非構造データ」として散在しています。これらのデータは、その形式が定まっていないため、AIで活用するための「量」と「質」が十分に確保できていないケースが多く見られます。
AIを活用する以前の段階で、これらのデータをどのように整備し、活用できる形にするかが、多くの企業にとって大きな課題となっているのです。
共同開発・実証実験の具体的なソリューションと適用例
今回の共同開発では、BAKUTANのヒアリングAI「Q」によるデータ入力・収集支援と、FRONTEO AI「KIBIT」による高精度解析を組み合わせることで、これらの課題を解決します。
データの質と量を向上させ、経営判断に資する示唆を抽出
「Q」の入力支援機能により、これまで属人化しがちだったナレッジや営業日報、商談報告、人事面談、議事録、サーベイなどの非構造データを、効率的かつ均質な形で収集します。これにより、元データの質と量が向上し、AIによる分析の精度を高めることが可能になります。
さらに、分析過程では「データアセスメント」(データの評価・診断)の考え方を取り入れ、「KIBIT」を活用して専門性と説明責任を担保した形で、経営判断に役立つ具体的な示唆を抽出する仕組みを構築します。
営業領域への適用例
営業日報や商談レビュー、議事録といった非構造データを新開発のAIで自動的に収集・解析し、以下のような示唆を提示します。
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案件の見込み確度やリスクの早期検知
これまでの営業データから、案件が成功する可能性や、リスクが高まる兆候をAIが分析し、早期にアラートを発します。 -
収益性の高い案件パターンの抽出と初期段階での優先度判定
過去の成功事例を分析し、どのような特徴を持つ案件が高い収益性につながりやすいかを特定。これにより、営業担当者は初期段階で優先すべき案件を見極められます。 -
営業担当者ごとのナレッジや成功パターンの可視化
トップパフォーマーの営業担当者がどのように顧客と対話し、案件を進めているかを分析し、そのノウハウを組織全体で共有・活用できるように可視化します。
HR領域への適用例
エンゲージメント・パルスサーベイ、業務日報、1on1、インタビュー記録など、従業員のリアルタイムな声を新開発のAIで自動収集・解析し、以下のような示唆を提示します。
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離職・メンタルヘルス等の予兆診断
従業員の言葉や行動のパターンから、離職の可能性やメンタルヘルスの不調といった兆候を早期に検知し、適切なケアや介入を促します。 -
従業員のスキル・経験のポートフォリオ可視化
従業員が持つ多様なスキルや経験を可視化し、組織全体の人的資源の全体像を把握。最適な人材配置や育成計画の立案に役立てます。 -
ハイパフォーマー人材のパターン分析・可視化
高いパフォーマンスを発揮する従業員の特徴や行動パターンを分析し、それを組織全体の育成戦略や採用活動に生かします。
今後の展開:産業横断的なAI社会実装へ
FRONTEOとBAKUTANは、このソリューションの早期社会実装を強力に推進していきます。さらに、営業やHR領域にとどまらず、企業活動において発生する多様な非構造データを対象とした新たなユースケース(活用事例)の創出を進める計画です。
両社は、FRONTEO AI「KIBIT」とヒアリングAI「Q」がそれぞれの強みを発揮し、互いに補完し合う形で活用されるモデルを確立することで、AI技術を「使える形」で産業横断的に社会実装する取り組みを加速させていくとしています。
用語解説
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先行実証:本格的な製品化やサービス提供に先立ち、実際の業務環境に近い条件で、技術やソリューションの有効性や実用性を検証する取り組みです。
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ヒアリング:ここでは特に、社員への問いかけを通じて、思考や経験を継続的に言葉にして記録し、人材育成やマネジメント、組織改善に活用する手法を指します。
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非構造データ:形や項目が一つのパターンに定まらないテキストやその他の形式のデータのことです。例えば、自由記述のアンケート回答、議事録、音声データなどがこれに当たります。
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人的資本経営:経営において、人材を単なる「コスト」としてではなく、「資本」として捉え、その価値を中長期的に最大化することで企業価値の向上を目指す考え方です。
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経営インテリジェンス:企業内外にある様々なデータや知見を統合し、分析することで、経営判断や戦略立案をより高度に行うための仕組みや活動の総称です。
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AI-Ready化:AIを効果的に活用できる状態に、組織、業務プロセス、データ、そして人材を整えることを意味します。
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タレントマネジメント:人材(タレント)を組織の重要な経営資源と捉え、採用から育成、配置、評価、活躍支援、後継者育成までを戦略的に行う人材マネジメントの考え方や仕組みです。
BAKUTAN株式会社について
BAKUTAN株式会社は、「ミスマッチのない世界」をミッションに掲げ、ヒューマン領域における先端技術に基づいたAIシステムズデザインを社会実装する、東京大学 松尾研発スタートアップです。人事・HR、労働市場、マッチングサービスなどの領域で、データとAIを駆使した課題解決ソリューションを提供し、企業や組織の可能性を広げています。
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法人名:BAKUTAN株式会社
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代表:小森谷 周大
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所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階(本店:東京都文京区本郷6-25-14)
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事業概要:人工知能等のデジタル技術と経済学の専門知識を活用したソリューションの研究・開発・提供を通じて、「ミスマッチのない世界」の実現を目指しています。
株式会社FRONTEOについて
FRONTEOは、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」を提供し、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションを創造しています。FRONTEO独自の自然言語処理技術(日本・欧州・米国・韓国で特許取得済)は、汎用型AIとは異なり、教師データの量やコンピューティングパワーに依存せず、高速かつ高精度な解析を可能にします。解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術も活用し、「KIBIT」が専門家の深い洞察(インサイト)にダイレクトに働きかけます。近年では、KIBITの技術が創薬の仮説生成や標的探索にも応用されています。
FRONTEOは、「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」という理念のもと、ライフサイエンスAI、リスクマネジメント(ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援、経済安全保障、リーガルテックAI)、DX(ビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援)の各事業で社会実装を推進しています。
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創業:2003年8月
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上場:2007年6月26日東証マザーズ(現:東証グロース)
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資本金:901,372千円(2025年9月30日時点)
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事業展開:日本、米国、韓国
まとめ
FRONTEOとBAKUTANによるAIソリューションの共同開発は、これまで活用が難しかった非構造データに新たな価値をもたらし、企業の経営判断をより高度で信頼性の高いものへと導く可能性を秘めています。生成AIの進化が続く中で、その課題を補完し、専門性と信頼性を追求する両社の取り組みは、今後のAI社会実装における重要な一歩となるでしょう。この革新的なソリューションが、多くの企業の成長と変革を後押しすることが期待されます。

