はじめに:AIの進化とNECの貢献
人工知能(AI)は、私たちのビジネスや日常生活に深く浸透し、さまざまな課題解決に貢献しています。特に、企業が直面する複雑な問題に対し、AIをいかに効果的に活用するかが、今後の競争力を左右する重要な要素となっています。
このたび、NECが「Newsweek AI Impact APAC & EMEA Awards」において、実に5部門もの栄誉ある賞を受賞しました。このアワードは、日々のビジネス課題を解決するためにAIを独自に活用し、実際に大きなインパクトと成果を出した企業や実践者を評価するものです。NECの受賞は、同社がAI技術の開発だけでなく、その社会実装においても業界をリードしていることを明確に示しています。
本記事では、NECが受賞した5つの部門と、それぞれの取り組みについて、AI初心者の方にも分かりやすい言葉で詳しくご紹介します。NECの革新的なAI技術が、どのようにして具体的なビジネス課題を解決し、新たな価値を創造しているのかを一緒に見ていきましょう。
1. 「人生醸造Craft」:AIと職人が共につくるクラフトビール
受賞部門:AI Brand & Retail > Best Outcomes, Marketing and Creative
タイトル:The taste of life created by brewers and AI – Agentic AI x Craft Beer
和訳:人生醸造Craft:Agentic AIと職人が共につくった人生の味わいを表現したビール飲料

(画像は「人生醸造Craft」のクラフトビールとそのグラスのイメージです。)
AIがビールのレシピ開発に貢献する、と聞くと驚かれる方もいるかもしれません。NECは、株式会社協同商事 コエドブルワリーのビール職人とAIが協力し、クラフトビール「人生醸造Craft」を開発しました。このプロジェクトの鍵となったのは、NECが独自に開発したAIコア技術「cotomi(コトミ)」です。
cotomiは、現代日本人の各世代のライフスタイルや価値観に関する膨大なデータを学習しています。このデータを基に、cotomiをベースとした「Agentic AI(エージェンティックAI)」が約140万字ものビールレシピ情報を参照し、ビール職人との対話を通じて、これまでにない新しいレシピ案を生成しました。Agentic AIとは、まるで人間のように自律的に判断し、行動計画を立てて目標達成を目指すAIのことです。この技術により、職人の経験とAIのデータ分析力が融合し、それぞれの世代の「人生の味わい」を表現したユニークなクラフトビールが誕生しました。
この取り組みは、AIが単なる作業の自動化だけでなく、人間の創造性を拡張し、新たな製品開発に貢献できる可能性を示しています。
詳細はこちらをご覧ください: https://jpn.nec.com/ai/ai_craft/index.html
2. 新製品需要予測ソリューション:AIで未来を予測し、合意形成を支援
受賞部門:AI Brand & Retail > Best Outcomes, Product Development and Innovation
タイトル:AI-Powered New Product Demand Forecasting: Driving Consensus Through Predictive Insights
和訳:新製品需要予測:ステークホルダーの合意形成をAIの予測で支援する技術

(画像はAdvanced-S&OP新製品需要予測ソリューションの機能一覧イメージです。)
新しい製品を市場に投入する際、最も難しい課題の一つが「どれくらいの需要があるのか」を正確に予測することです。特に、過去の販売データがほとんどない新製品の場合、従来の予測手法では困難が伴いました。しかし、NECは独自のAI技術を活用し、この課題を解決する「Advanced-S&OP 新製品需要予測ソリューション」を提供しています。
このソリューションは、AIが過去の類似製品データや外部環境、キャンペーン情報など、多岐にわたる要素を分析し、新製品の需要を高い精度で予測します。さらに、予測値だけでなく、需要の変動リスクを「レンジフォーキャスト」として提示することで、関係者(ステークホルダー)がより現実的な計画を立てられるよう支援します。
AIが提供する客観的な予測データは、製品開発や生産、販売戦略に関わる多様な部門の担当者間で、データに基づいた建設的な議論を促し、合意形成をスムーズに進める上で非常に有効です。これにより、誰でも同じレベルの成果を出すことが可能となり、新製品開発の成功率を高めることに貢献しています。
詳細はこちらをご覧ください: https://jpn.nec.com/press/202406/20240617_01.html
3. 調達自動交渉AIエージェントサービス:部品購買業務の効率化
受賞部門:Best of – Most Innovative AI Technology or Service > Extraordinary Impact in AI Innovation
タイトル:NEC’s Negotiation AI: Automating Delivery Adjustments for Greater Efficiency
和訳:NEC 調達自動交渉AIエージェントサービス:部品購買業務における納期調整を自動化

(画像はAI自動交渉の概念図です。)
企業の購買業務、特に部品調達においては、サプライヤーとの間で納期や数量の調整が頻繁に発生します。これらの交渉は時間と労力がかかり、時には複雑な調整が必要となることもあります。NECは、人間が行う様々な調整や交渉を人間の代わりに自律的に実行する独自のAI技術を開発しました。これが「調達自動交渉AIエージェントサービス」です。
このAIは、交渉に際しての必須条件と望ましい条件を自動で導き出し、双方にとって受け入れ可能で最適な条件を自動で提案します。まるで熟練の交渉人のように、データに基づき最適な落としどころを見つけ出すことができます。
実際にNECグループ会社の調達業務に適用した実証では、このAIを活用することで業務効率が大幅に改善されることが確認されました。これにより、担当者はより戦略的な業務に集中できるようになり、企業の生産性向上に大きく貢献します。
4. ハルシネーション対策:生成AIの信頼性を高める技術
受賞部門:Best of – Most Innovative AI Technology or Service > Extraordinary Impact in AI Transparency or Responsibility
タイトル:Fact or Fiction? How NEC’s AI Keeps LLMs Trustworthy
和訳:ハルシネーション対策:LLMが生成した文章の正確性を向上する機能

(画像はLLMの品質保証、説明性、ファクトチェックの3つの機能を図解したイメージです。)
近年、ChatGPTなどの「LLM(大規模言語モデル)」に代表される生成AIは目覚ましい進化を遂げていますが、その一方で「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる問題が指摘されています。ハルシネーションとは、AIがもっともらしいが事実とは異なる情報を生成してしまう現象のことです。
NECは、このハルシネーション対策に積極的に取り組み、LLMの出力の正確性と信頼性を高めるための3つの機能を提供しています。
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クオリティチェッカー: LLMの導入前に、出力の正確性や安全性を評価し、品質のベンチマークを行います。
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LLMエクスプローラー: LLMが生成したテキストが、どの入力ソース(プロンプトや元のドキュメントなど)に基づいて生成されたかをリンクさせ、説明性を向上させます。
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ファクトチェッカー: 生成されたテキストの内容を外部の信頼できる情報源と照合し、事実に基づいているかを確認します。
これらの機能は、2024年10月より順次提供が開始されており、NEC独自のAIコア技術「cotomi」だけでなく、「Microsoft Azure OpenAI Service」など幅広いLLMサービスにも適用可能です。これにより、生成AIをより安心して、そして信頼してビジネスで活用できる環境が整います。
詳細はこちらをご覧ください: https://jpn.nec.com/press/202409/20240918_04.html
5. クライアントゼロ:NEC自身が実践するAIによる企業変革
受賞部門:AI Workplace > Best Outcomes, Leadership and Succession Planning
タイトル:Client Zero: NEC Leading AI Implementation at the Forefront of Transformation
和訳:クライアントゼロ:NEC自身が変革の最前線に立つAI実装

(画像はデータ可視化とAI予測を活用した経営ダッシュボード「経営コックピット」のイメージです。)
AIを顧客に提供するだけでなく、自社でもAIを積極的に活用し、企業変革のモデルを構築する。これがNECの「クライアントゼロ(ゼロ番目の顧客)」という考え方です。NECは、AIを含む最先端技術を自社の業務に導入し、その成果を顧客にも展開しています。
その代表例の一つが、経営ダッシュボード「経営コックピット」へのAI導入です。このシステムは、単に過去の実績値を可視化するだけでなく、AIによる業績予測を取り込むことで、経営層がより迅速かつ的確な意思決定を行えるように支援します。未来を見据えた戦略を素早く打ち出すことが可能となり、企業全体の競争力向上に貢献しています。
NECが自ら「クライアントゼロ」としてAI実装の最前線に立つことで、その知見やノウハウを顧客に還元し、顧客の企業変革を強力にサポートしています。
詳細はこちらをご覧ください: https://jpn.nec.com/press/202407/20240710_01.html
NECのAIへの総合的な取り組みと強み
NECがこれほど多くの部門で受賞できた背景には、同社のAIに対する総合的なアプローチと強みがあります。
エンドツーエンドの対応力
NECは、AI導入の検討段階から、コンサルティング、システム構築、そして運用・保守に至るまで、すべてをワンストップで支援する「エンドツーエンド」の対応力を備えています。これにより、顧客はAI導入におけるあらゆるプロセスでNECの専門知識とサポートを受けることができます。
世界トップクラスの技術力
長年の研究開発で培われた世界トップクラスの技術力もNECの大きな強みです。特に、NEC開発のAIコア技術「cotomi」は、同社のAIサービスの中心を担っています。
(画像はNEC開発のAIコア技術「cotomi」のロゴです。)
「cotomi(コトミ)」という名称には、「こと」が「みのる」ように、お客さまと伴走するパートナーでありたいというNECの想いが込められています。この技術は、LLM(大規模言語モデル)を中核とし、顧客のビジネス課題解決に貢献する様々なAIサービスへと展開されています。
詳細はこちらをご覧ください: https://jpn.nec.com/LLM/index.html
AI活用人材の育成サポート
AIを導入するだけでなく、それを使いこなす人材の育成も欠かせません。NECは、顧客企業がAIを最大限に活用できるよう、人材育成のサポートも提供しています。技術の提供だけでなく、それを運用し、新たな価値を生み出すための「人」への投資も重視しているのです。
これらの強みを通じて、NECは顧客のAI活用を広く、深く支援しています。
NECのAIに関する詳細はこちらをご覧ください: https://jpn.nec.com/ai/index.html
価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」
NECは、価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」のもと、業種横断の知見と最先端テクノロジーを融合させることで、ビジネスモデルの変革を推進しています。

(画像はNECの価値創造モデル「BluStellar」のロゴです。)
「BluStellar」は、これまでの実績に裏打ちされた幅広い業種での先進的な知見と、長年の開発・運用で磨き上げられたNECの最先端テクノロジーを組み合わせることで、社会課題と顧客の経営課題を解決し、未来へと導くことを目指すモデルです。AIはそのコアテクノロジーとして位置づけられており、前述の「cotomi」を中核としたAIサービスが展開されています。
NECは、今後もサービスや機能の拡充を通じてさらなる付加価値を創出し、セキュアで安全・安心なAIサービスを提供することで、顧客の課題解決に貢献していく方針です。
詳細はこちらをご覧ください: https://jpn.nec.com/dx/index.html
まとめ:AIが拓く未来のビジネス
NECが「Newsweek AI Impact APAC & EMEA Awards」で5部門を受賞したことは、同社がAI技術の開発と社会実装の両面において、世界的に高く評価されている証です。クラフトビール開発から新製品の需要予測、調達業務の自動化、生成AIの信頼性向上、そして自社でのAI活用による企業変革まで、その取り組みは多岐にわたります。
これらの事例は、AIが単なる技術トレンドではなく、ビジネスの現場で具体的な成果を生み出し、社会に貢献する強力なツールであることを示しています。特にAI初心者の方々にとっては、AIがどのように私たちの生活や仕事に役立っているのかを理解する良い機会となったのではないでしょうか。
NECはこれからも、安心・安全なAIの研究・開発を継続し、顧客のビジネス課題解決、ひいては社会全体の発展に貢献していくことでしょう。AIが拓く未来のビジネスに、今後も注目が集まります。

