現代の製品開発において、ソフトウェアの役割はますます重要になり、その複雑さも増しています。特に、自動車、医療機器、航空宇宙・防衛といった厳格な規制が求められる産業では、開発プロセスの透明性と品質管理が極めて重要です。
このような背景の中、PTCは、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)ポートフォリオの最新アップデートを発表しました。このアップデートには、Codebeamer® 3.2、Codebeamer AI™ 1.0、そしてPure Variants™ 7.2が含まれており、ソフトウェア主導の製品開発を強力に支援します。
ALMとは、ソフトウェア製品の企画から開発、テスト、リリース、そして保守に至るまでの一連のライフサイクル全体を管理するための仕組みです。この管理を効率的かつ正確に行うことで、製品の品質向上、開発期間の短縮、コスト削減が期待できます。

新たなAI機能「Codebeamer AI 1.0」が開発ワークフローを革新
今回のアップデートの目玉の一つは、ALMワークフローにAIの力を導入する「Codebeamer AI 1.0」です。この新機能は、ガバナンス(統制)されたAI支援を提供し、市場投入までの時間短縮、品質とコンプライアンス(法令遵守)の向上、そして大規模開発の支援を目指しています。Codebeamer AI 1.0には、特に以下の2つのAIアシスタントが導入されました。
Requirements Assistant(要求アシスタント)
製品開発における「要求」とは、製品が満たすべき機能や性能などの条件を指します。従来、高品質で標準に準拠した要求を維持するためには、手作業によるレビューが不可欠でした。しかし、この手作業は曖昧さや不整合、作業遅延の原因となることが少なくありません。
Requirements Assistantは、このような課題を解決するために開発されました。このAIアシスタントは、INCOSE(国際システムズエンジニアリング協議会)とISTQB(国際ソフトウェアテスト資格認定委員会)のガイドラインに沿って、要求の品質上の問題を自動で検出します。これにより、専門家によるレビューへの依存度を下げながら、より明確で標準に沿った要求を迅速に作成することが可能になります。結果として、要求の品質が向上し、開発プロセスの手戻りが減少することで、全体の効率が大幅に向上します。
Test Case Assistant(テストケースアシスタント)
ソフトウェア開発において、製品が要求通りに動作するかを確認するための「テストケース」の作成は、非常に時間と手間がかかる作業であり、手動での作成ではミスも発生しやすくなります。Test Case Assistantは、このプロセスを効率化するために導入されました。
このAIアシスタントは、作成された要求から直接テストケースを自動で生成し、最適化します。これにより、テストケースの精度と一貫性が向上し、要求とテストケース間のトレーサビリティ(追跡可能性)が強化されます。つまり、「このテストケースはどの要求に対応しているのか」が一目でわかるようになるため、検証作業のスピードアップと信頼性の向上が実現します。
PTCのグローバルAIイノベーション責任者であるジョセフ・ジューン氏は、「要求開発プロセスにおける時間のかかる作業を簡素化・効率化するために、私たちはCodebeamer AIを開発しました。」と述べています。このAIは、エンジニアとリアルタイムで協調することで、日々の判断をより明確かつ一貫したものにし、チームが自信を持って迅速に現代のソフトウェア主導型製品開発の要求に対応できるよう支援すると考えられます。
ソフトウェア製品データ基盤を強化する「Codebeamer 3.2」と「Pure Variants 7.2」
Codebeamer 3.2とPure Variants 7.2は、ソフトウェア主導および規制産業向けの製品データ基盤をさらに強化するための重要なアップデートです。これらのリリースにより、トレーサビリティ、変更管理、そしてライフサイクル全体の可視性が向上し、組織はより高い確信と統制を持って開発を進めることができるようになります。
デジタルスレッド統合
「デジタルスレッド」とは、製品の構想から設計、製造、運用、サービス、廃棄に至るまで、製品ライフサイクル全体にわたるすべての情報を一貫してデジタルでつなぎ、追跡可能にする概念です。今回のアップデートでは、CodebeamerがPTCのPLMソリューションであるWindchill®やその他の企業システムとシームレスに連携する「デジタルスレッド統合」が実現しました。
この統合により、要求トラッキング(要求の進捗状況追跡)、変更管理、ソフトウェアとハードウェア開発のコンプライアンス強化が実現します。手作業の削減、相互運用性の向上、リスクの低減、そして納期短縮といった多くのメリットが期待されます。
Stream Baselines(ストリームベースライン)
複雑な製品開発では、複数のプロジェクトが並行して進行することがよくあります。このような状況で、特定の時点でのプロジェクトの状態を正確に把握することは、変更管理を効率的に行う上で不可欠です。Stream Baselinesは、ストリーム内のすべてのプロジェクトをスナップショットとして保存し、一貫したベースラインを提供します。
これにより、関連するプロジェクト状態の特定が簡素化され、複雑なポートフォリオにおける変更管理が効率化されます。開発の基準点を明確にすることで、プロジェクトの安定性と品質維持に貢献します。
Review Hub の UI 改良
製品開発におけるレビュープロセスは、品質を確保するために重要ですが、時間がかかり、複雑になりがちです。今回のアップデートでは、Review Hubのユーザーインターフェース(UI)が改良されました。具体的には、一括承認/却下機能、通知機能の改善、そして差分の視覚的ハイライト機能が追加されています。
これらの改良により、レビューの速度と精度が向上し、開発チームはより迅速かつ正確にレビューを完了できるようになります。
Feature-Based PLE(フィーチャーベースPLE)
Product Line Engineering(PLE)とは、共通のプラットフォームから多様な製品バリアント(派生製品)を効率的に開発するための手法です。Feature-Based PLEは、ストリームおよびストリームベースラインの自動生成を可能にし、製品バリアント管理をさらに効率化します。
また、「Delta Merge(ベータ版)」機能により、プラットフォームとバリアント間での並行開発が支援され、再利用効率が最適化されます。これにより、複数の製品バリアントを同時に開発する際の複雑さを軽減し、開発期間の短縮と品質の均一化に寄与します。
PTCの「インテリジェント・プロダクトライフサイクル(IPL)」ビジョンを推進
CodebeamerとPure VariantsをはじめとするPTCのALMポートフォリオ全体は、PTCが掲げる「インテリジェント・プロダクトライフサイクル(IPL)」のビジョンを支えています。このビジョンは、製造業およびプロダクト企業がエンジニアリング分野での製品データ基盤を構築し、そのデータの価値を企業全体へ拡張し、AIによる変革を推進することを目指しています。
Codebeamer AIは、PTCのWindchill AIやServiceMax® AIなど、他のAIソリューションとも連携することで、企業がAI主導の変革を自信を持って大規模に展開することを可能にします。これにより、製品ライフサイクル全体にわたるAIの活用が促進され、よりスマートで効率的な製品開発が実現すると期待されます。
PTC ALM事業担当ゼネラルマネージャーのエンリケ・クラジマルニク氏は、「お客様の製品はますます複雑化し、ソフトウェア化が進んでいます。そのため、あらゆる変更・要件・意思決定がライフサイクル全体でつながっていることを確信できる環境が必要です。Codebeamer 3.2、Codebeamer AI 1.0、Pure Variants 7.2 は、お客様がソフトウェア開発と要件管理を近代化し、複雑性に対応するための強固なプロダクトデータ基盤を構築し、AI を効果的かつ責任ある形で活用することを支援します。」と、今回のアップデートの重要性を強調しています。
まとめ
PTCが発表したCodebeamer 3.2、Codebeamer AI 1.0、Pure Variants 7.2のリリースは、ソフトウェア主導の製品開発が直面する課題に対する包括的なソリューションを提供します。特に、AI機能の導入は、要求管理やテストケース作成といった時間のかかる作業を効率化し、品質とコンプライアンスの向上に大きく貢献するでしょう。また、デジタルスレッド統合やバリアント管理の強化により、開発プロセス全体の可視性と制御が向上し、市場投入までの時間を短縮することが期待されます。
これらのアップデートは、自動車、医療機器、航空宇宙・防衛産業といった規制の厳しい分野において、企業がより自信を持って製品開発を進めるための強力な基盤となることでしょう。PTCは、今後もインテリジェント・プロダクトライフサイクル(IPL)のビジョンのもと、製造業のデジタル変革を支援していく姿勢を示しています。
関連情報
Codebeamer AIの詳細については、以下のリンクをご覧ください。
Codebeamer と Pure Variants の詳細については、以下のブログ記事もご参照ください。
PTCについて
PTCは、世界で利用されている製品の設計、製造、サービスのデジタル変革で製造業を支援するソフトウェアのグローバルカンパニーです。米国マサチューセッツ州ボストンに本拠を置き、7,000名以上の従業員が世界30,000社以上の顧客企業をサポートしています。詳細はwww.ptc.comをご覧ください。
PTCジャパン株式会社は、米PTCの日本法人です。主力製品として、拡張性と相互運用性に優れた三次元CADのCreo、製品ライフサイクル管理(PLM)のWindchill、ソフトウェアの開発と管理を支援するアプリケーションライフサイクル管理(ALM)のCodebeamer、保守やメンテナンス、利用者の利便性を向上させるサービスライフサイクル管理(SLM)のServiceMaxなどを提供しています。詳細はhttps://www.ptc.com/jaをご覧ください。
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