SUBARU、全国150店舗でAI活用接客データ解析を大規模実証!顧客体験と営業力向上への挑戦
自動車業界のリーディングカンパニーである株式会社SUBARUが、革新的なAI技術を活用した大規模な実証実験を開始しました。株式会社ブリングアウトが提供する対話データを起点とした経営変革プラットフォーム「BRING OUT」を、全国150以上の店舗、そして1,000名を超える販売員が利用し、接客データのAI解析を行います。この取り組みは、商談の一次情報を組織全体で共有し、接客品質のさらなる向上と顧客体験の最適化を目指すものです。
「BRING OUT」とは?対話データを経営に活かすAIプラットフォーム
「BRING OUT」は、企業と顧客との「対話」をデータとして捉え、AIの力で解析することで、経営における意思決定や現場の業務改善を支援するプラットフォームです。これまで個人のスキルや経験に依存しがちだった接客や商談の内容を、AIが客観的に分析し、具体的な改善点や次に取るべきアクションを提示します。
このプラットフォームの最大の特徴は、単にデータを集めるだけでなく、そのデータを「現場で活用しやすい形」に“見える化”する点にあります。例えば、顧客が商談中にどのような言葉を発し、何に興味を示し、どんな不安を抱いていたのかといった、数値だけでは捉えにくい「顧客の温度感」までをAIが解析。これにより、販売員はより深く顧客を理解し、パーソナライズされた提案が可能になります。また、マネジメント層は、個々の販売員の商談スキルや課題をデータに基づいて把握し、効果的な育成や指導に繋げることができます。
「BRING OUT」は、AI Transformation(AX)ファームであるブリングアウト社が開発・提供しており、経営論点の設計からAIの実装、そして現場への展開までを一貫して支援する専門知識と技術が詰まっています。これにより、企業はAIを単なるツールとしてではなく、経営戦略の核として活用し、持続的な成長を実現できるのです。
SUBARUが直面していた「商談のブラックボックス化」という課題
自動車販売の現場では、長年にわたり特定の課題が指摘されてきました。それは、「商談のブラックボックス化」と呼ばれる現象です。お客様と販売員の間で行われる商談は、非常に個別性が高く、その内容が詳細に記録・共有されることは稀でした。この状況は、以下のような具体的な問題を引き起こしていました。
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店長による指導の遅れや困難さ: 店長がすべての商談に同席することは物理的に不可能であり、商談後の報告だけでは、お客様の細かな反応や本音、販売員の対応の質を正確に把握することが困難でした。結果として、指導が後手に回ったり、具体的なアドバイスがしにくくなったりすることがありました。
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お客様の要望や「温度感」の共有不足: 販売員からマネジメント層への報告は、往々にして要約された情報になりがちです。お客様が「何を伝えたいのか」「何に迷っているのか」「どの程度購入意欲があるのか」といった「温度感」やニュアンスが抜け落ちてしまい、組織全体で顧客理解を深めることが難しい状況でした。
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優れた接客の「属人化」: 経験豊富なベテラン販売員の中には、お客様の心を掴む卓越した接客スキルを持つ人もいます。しかし、その「なぜうまくいったのか」という具体的なプロセスやノウハウが言語化されず、個人のスキルとして留まってしまうことがありました。これにより、他の販売員への横展開や組織全体のスキルアップに繋がりにくいという課題がありました。
このような「商談のブラックボックス化」は、お客様にとっては「自分の要望がきちんと伝わっていない」と感じる原因となり、満足度低下に繋がりかねません。一方、販売現場にとっても、効果的な改善策を講じたり、若手販売員を育成したりする機会を逃す要因となっていたのです。
この状況を打破するため、SUBARUは「商談の一次情報」をデータとして捉え、組織全体で共有・活用するアプローチを模索。その解決策として、ブリングアウト社の「BRING OUT」に注目しました。
PoC(概念実証)で得られた確かな手応え
SUBARUはまず、一部の店舗で「BRING OUT」のPoC(概念実証)を実施しました。このPoCは、単にツールを導入するだけでなく、店舗の実際の業務フローに合わせたユースケース(利用シナリオ)の設計から着手された点が特徴です。2025年9月から10月にかけて首都圏の一部店舗で実施され、ブリングアウト社のコンサルタントが現場に足を運び、販売員や店長から直接課題や要望をヒアリングしました。
商談の「見える化」で得られた具体的な示唆
PoCでは、商談の対話データをAIで解析し、以下の観点で「見える化」を行い、日々の改善に役立つ具体的な示唆を提示できるかどうかが検証されました。
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商談の可視化とネクストアクションのアドバイス: 商談内容が整理され、次に取るべき打ち手を検討するための具体的なヒントが提供されました。
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商談スキルの可視化とスキルアップのアドバイス: 自身の接客を客観的に振り返るための視点や、指導のポイントが明確になり、育成・改善に繋げられるようになりました。
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お客様のカーライフに関する要望の可視化・蓄積: 顧客の属性情報だけでなく、どのような利用シーンを想定しているのか、どのような希望を持っているのかといった具体的な「声」が整理・蓄積され、より質の高い提案に活用できるようになりました。
PoCで確認された多角的な成果
このPoCを通じて、商談という「対話」の一次情報を、現場の負荷を大きく増やすことなく整理・活用し、店舗での振り返り、指導・育成、そして提案の質の向上に繋がる実運用が可能であることが確認されました。現場からは、以下のような多角的な変化が報告されています。
顧客体験・マネジメント視点

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顧客理解の深化: 「お客様一人ひとりに合わせたフォローや提案がしやすくなった」という声が店長から寄せられました。AIによる解析で、顧客の購入意欲や検討状況が可視化され、よりパーソナルな対応が可能になったのです。
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不在時でも情報共有: 店長が不在の場合でも、商談の流れや背景を把握できるようになったことで、組織としての顧客対応力が向上しました。
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顧客の「温度感」を共有: 本社からは「お客様がどこで納得し、どこで迷っているのか、お客様の温度感が見えるようになった」と評価され、報告だけでは伝わりにくかった顧客の本音が共有できるようになりました。
育成視点
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若手の自律的成長: 「何が分からないか分からなかった若手が、自身の課題を理解しながら、お客様との対話を自らのアクションで改善できるようになった」という声は、AIが若手販売員の自己成長を強力に後押しすることを示しています。
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ベテランのさらなるレベルアップ: ベテラン販売員も、自身の接客を客観的なデータで振り返ることで、「よりお客様視点に立った説明」を意識するようになり、さらなるスキルアップが図れたと報告されています。
成果視点

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商談品質の着実な向上: 店長からは「商談を自ら振り返り改善するサイクルを継続したことで、1つ1つの商談の品質が着実に向上した」という報告があり、具体的な成果に繋がっていることが伺えます。
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目標達成への貢献: 数ヶ月目標未達が続いていたメンバーが、自主的な改善によって目標を達成し、大きな自信に繋がった事例も生まれました。
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成約率の向上: 「BRING OUTをもとに質問することで、根拠を持って明確なアドバイスがしやすくなった。効果的なアドバイスによって、スムーズに成約に至ったケースもあった」という声もあり、AIが直接的に販売成果にも貢献する可能性が示されました。
これらの成果は、単に業務効率が上がっただけでなく、お客様への理解が深まり、結果として対話の質そのものが高まったことによってもたらされたと評価されています。AIが「顧客との向き合い方」を根本からアップデートする可能性を秘めていることが示されたと言えるでしょう。
大規模トライアルへの移行と今後の展望
PoCでの確かな成果と、現場からの高い評価を受け、SUBARUはこの取り組みを全国規模へと拡大することを決定しました。全国150以上の店舗、1,000名以上の販売員が「BRING OUT」を活用した接客データ解析実証に参加します。これは、自動車販売業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を、単なる効率化に留めず、顧客との関係性を根本から見直す試みとして注目されています。
2026年度の展開
2026年度には、全国のSUBARU店舗で「BRING OUT」の展開が進められます。これにより、より多くの商談データが蓄積され、その活用を通じて現場の改善が加速します。商談の可視化と振り返りのサイクルを回すことで、個々の販売員のスキルアップはもちろん、蓄積されたデータをもとにした教育・販促施策の継続的な改善が図られ、組織全体の商談品質向上が目指されます。
2027年度以降の展望
2027年度以降は、全特約店での「BRING OUT」活用を見据えています。対話データを軸にした営業PDCA(計画-実行-評価-改善)サイクルの定着を推進し、顧客、現場、本社が一体となって「お客様商談」を共通理解できる意思決定基盤の高度化が進められるでしょう。将来的には、CRM(顧客関係管理)などの既存システムとの連携も視野に入れ、商談で得られる一次情報を含む顧客情報の一元管理に向けた検討も進められる予定です。
ブリングアウト株式会社 代表取締役 中野 慧氏のコメント
ブリングアウト株式会社の代表取締役である中野 慧氏は、この取り組みについて「私たちブリングアウトは、『AIで何ができるか』ではなく、『お客様との対話を、どうすればもっと大切に扱えるか』を起点に事業を行っています。自動車の購入は、多くのお客様にとって大きな意思決定です。その過程で生まれる迷いや不安、期待といった声が、現場や経営にきちんと届いているかどうかで、顧客体験は大きく変わります。SUBARU様との今回の取り組みは、商談という“対話”をデータとして活かすことで、お客様一人ひとりに向き合う接客を、属人化させず、組織として実現する挑戦です。私たちは今後も、対話を起点に、企業とお客様の関係性をより良いものへ進化させる支援を続けてまいります」と述べています。
このコメントからは、AI技術の活用が、単なる効率化や自動化に終わるのではなく、人間らしい「対話」の本質を深め、より質の高い顧客体験を創造することを目指しているという、ブリングアウト社の強い哲学が伺えます。
ブリングアウト株式会社について:対話データで経営を変革するAXファーム

ブリングアウト株式会社は、「対話をデータ化して経営を変革する」ことをミッションに掲げるAX(AI Transformation)ファームです。AIを活用して企業の経営そのものを変革するという、先進的なアプローチを取っています。
同社の強みは、以下の3つの要素を統合している点にあります。
- 経営論点特定結果に基づく、対話設計とコンテクストエンジニアリング: 企業が抱える経営課題や組織の目標、顧客との対話の目的に応じて、会話データをどのように構造化し、AIが理解できる文脈(コンテクスト)を設計するかという、高度な専門知識を持っています。
- AIエージェント基盤: 自然言語解析、知識抽出、推論を行う独自のAI基盤を開発しています。このAIエージェントが、対話や文書といった多様な情報を横断的に理解し、企業の意思決定を強力に支援します。
- カスタマイズエージェントが動くソフトウェア: 分析結果をもとに、要約、洞察、提言などを自動で生成するソフトウェアを提供しています。これにより、組織は無理なくAIエージェントを使い続けることができ、「経営変革を常在化」させることが可能になります。
ブリングアウト社は、その革新的な技術とビジネスモデルが高く評価されており、『東洋経済 すごいベンチャー100』、『日経 未来の市場を創る100社』、『日経テクノロジー展望 未来をつくる100の技術』などに選出される実績を持っています。国内大手企業を中心に導入が進んでおり、その技術力とコンサルティング能力は多くの企業から信頼を得ています。
ブリングアウト株式会社のホームページはこちらです。
まとめ:AIが拓く、新しい顧客体験と営業の未来
SUBARUとブリングアウト社の取り組みは、AI技術が単なる効率化ツールではなく、企業と顧客のより深い関係性を築き、新たな価値を創造するための強力なパートナーとなり得ることを示しています。商談という「対話の質」をデータとして可視化し、組織全体で共有・改善していくことで、顧客一人ひとりに寄り添ったパーソナルな接客が実現し、結果として顧客満足度やエンゲージメントの向上に繋がることが期待されます。
この大規模な実証実験は、自動車販売業界だけでなく、顧客との接点が多いあらゆる業界において、AIを活用した「顧客体験の変革」と「営業力の強化」のモデルケースとなるでしょう。AI初心者の私たちにとっても、AIが実際にどのようにビジネスの現場で活用され、どのような成果を生み出しているのかを具体的に理解できる、非常に興味深い事例と言えます。今後の展開に注目し、AIがもたらす新しいビジネスの未来に期待が高まります。

