UpstageとNetAppは、日本市場におけるAIドキュメントワークフローとデータ基盤の強化を目指し、戦略的MOU(了解覚書)を締結しました。
この提携は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、特にデータ量の多い保険、製造、公共分野において、AIを活用した業務効率化と生産性向上を実現することを目的としています。

AIとデータ管理のトップ企業がタッグを組む理由
今回の戦略的MOU締結は、それぞれの分野で強みを持つUpstageとNetAppが、日本企業のAI導入を力強く後押しするために実現しました。
Upstageとは:ドキュメントAIと国産LLMのパイオニア
Upstageは、安全で高性能なLLM(大規模言語モデル)とドキュメントAIソリューションを提供するグローバル企業です。LLMとは、まるで人間のように文章を理解し、生成できるAI技術のこと。Upstageは、特に日本語に特化した国産LLM「SynPro(シン・プロ)」を開発しており、経済産業省の国産基盤モデルにも認定されています。また、ドキュメントAIは、請求書や契約書などの書類の内容をAIが正確に読み取り、理解し、必要な情報を自動で抜き出す技術です。
詳細については、Upstage公式サイトをご覧ください。
NetAppとは:クラウド連携のデータ管理をリード
NetAppは、クラウドとオンプレミス(自社施設内での運用)をシームレスに統合するデータ管理基盤を提供する企業です。企業が持つ膨大なデータを安全に、効率的に保管・整理し、いつでも使えるようにする仕組みを提供しています。クラウドとオンプレミスの両方でデータを柔軟に扱える「データファブリック」という考え方で、企業のデータ活用をシンプルかつ最適化することを目指しています。
詳細については、NetApp公式サイトをご覧ください。
なぜこの提携が重要なのか?
今日のビジネスにおいて、AIの導入は企業の競争力を高める上で不可欠となっています。しかし、AIを効果的に活用するには、膨大なデータを効率的かつ安全に管理する基盤が不可欠です。Upstageの高度なAI技術とNetAppの堅牢なデータ管理基盤が連携することで、日本企業はAI導入の障壁を下げ、より安全かつ高い生産性でデータ活用を進めることが期待されます。
特に、ドキュメント処理が多い業界では、AIによる自動化が業務効率を劇的に改善する可能性を秘めています。
協業で実現する具体的な取り組み
今回のMOUに基づき、両社は日本市場で共同事業開発とGo-To-Market活動を推進します。
1. 共同リファレンスアーキテクチャの開発:AI活用データ基盤の設計図
UpstageとNetAppは、企業がAIを導入する際の「お手本となる設計図」である共同リファレンスアーキテクチャを開発し、公開する予定です。これにより、企業はAIを活用するためのデータ基盤を迅速かつ信頼性高く構築できるようになります。
このアーキテクチャは、以下の主要技術を統合します。
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Amazon FSx for NetApp ONTAP: これは、NetAppの優れたデータ管理技術をAmazonのクラウド上で利用できるファイルストレージサービスです。スケーラブルで高性能なデータ保管場所を提供します。
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Upstage Document ParseおよびLLM技術: Upstageが提供するドキュメントAIとLLM技術により、ファイルストレージに保存された膨大な書類データから必要な情報を正確に抽出し、理解し、さらに活用するための処理が可能になります。
この統合により、企業は信頼性の高いドキュメント自動化を迅速に構築し、AI活用可能なデータ基盤を柔軟にスケールさせることが可能になります。
2. 産業別AIソリューションの提供:特定の業界課題をAIで解決
両社は、特にデータ処理の負荷が高い以下の産業に焦点を当て、実践的なAIソリューションを提供していきます。
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保険業界での活用例:
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保険請求処理の自動化:顧客から送られてくる多種多様な保険請求書類をAIが読み取り、内容を理解し、必要な情報を自動でシステムに入力したり、分類したりします。これにより、処理時間の短縮やヒューマンエラーの削減が期待されます。
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契約内容の分析:膨大な契約書データから特定の条件やリスク要因を抽出し、迅速な意思決定を支援します。
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製造業界での活用例:
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コンプライアンス対応の強化:製造プロセスに関わる規制文書、品質管理レポート、契約書などをAIが管理・分析し、コンプライアンス(法令遵守)違反のリスクを早期に検知します。これにより、監査対応の効率化やリスクマネジメントの強化につながります。
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技術文書の検索・分析:製品マニュアルや設計図などの技術文書から必要な情報を瞬時に検索し、開発や保守作業の効率を向上させます。
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公共分野での活用例:
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帳票処理の効率化:住民からの申請書や行政の報告書など、大量の紙媒体や電子帳票をAIが自動で処理します。データの入力、分類、照合を自動化することで、行政サービスの迅速化と職員の業務負担軽減に貢献します。
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FAQ対応の強化:問い合わせ内容をAIが解析し、関連する情報を自動で提示することで、住民サービスの質を向上させます。
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NetAppのスケーラブルなストレージ性能とUpstageの高精度ドキュメントAIを組み合わせることで、これらの業界における実運用可能なユースケース開発が加速し、企業はより迅速で信頼性の高い業務プロセスの自動化を実現できます。
両社代表が語る協業への期待
今回の戦略的MOU締結について、両社の代表から期待のコメントが寄せられています。
Upstage AI株式会社 代表取締役の松下紘之氏は、次のように述べています。
「今回のMOUは、日本企業のAI活用を加速する上で大きな一歩です。NetAppの堅牢なインフラとUpstageのドキュメントAI技術、また経済産業省の国産基盤モデルにも認定された日本語特化LLMのSynPro(シン・プロ)を組み合わせることで、日本国内のユーザーの方々がより安全かつ、高い生産性でデータ活用できる世界を実現します。」
NetApp合同会社 代表執行役員社長の斉藤千春氏は、次のようにコメントしています。
「今回のUpstageとの戦略的MOU締結は、日本企業のデータ活用とAI導入を次のステージへ引き上げる重要な取り組みです。NetAppは長年にわたり、クラウドとオンプレミスをシームレスに統合するデータ管理基盤を提供してきました。そこにUpstageの先進的なドキュメントAI技術が加わることで、保険・製造・公共といったデータ集約型産業において、より迅速で信頼性の高い業務プロセスの自動化を実現できます。私たちは、この協業を通じて、日本市場におけるAI活用の加速と、企業の競争力強化に貢献していきます。」
まとめ:日本企業のAI導入を力強く後押し
UpstageとNetAppの戦略的MOUは、日本企業が直面するAI導入の課題に対し、強力な解決策を提供するものです。両社の技術と専門知識が融合することで、特にドキュメント処理が中心となる保険、製造、公共分野において、これまで以上に高度で効率的なAIソリューションが実現されるでしょう。
この提携は、日本市場におけるAI活用の加速と、企業の競争力強化に大きく貢献すると期待されます。データ管理とAI技術の融合により、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを成功させ、新たな価値を創造する未来が、きっと、訪れるでしょう。
2025年12月3日に発表されたこの戦略的パートナーシップは、日本企業のAI活用における重要な節目となることでしょう。

