AI開発と教育を加速!スイッチサイエンスがBooster Robotics製ヒューマノイドロボット「Booster K1 Pro」の取り扱いを開始 – RoboCup世界優勝実績を持つNVIDIA Jetson搭載のオープンソースロボット

AI開発と教育を加速!スイッチサイエンスがBooster Robotics製ヒューマノイドロボット「Booster K1 Pro」の取り扱いを開始

AI(人工知能)技術の進化は目覚ましく、私たちの生活や産業に大きな変革をもたらしています。その中でも、人間の形をして動き、考えることができる「ヒューマノイドロボット」は、AI技術の最先端をいく存在として大きな注目を集めています。

この度、電子工作やロボット関連製品を数多く取り扱う株式会社スイッチサイエンスは、Booster Robotics Technology Co., Ltd.(以下、Booster Robotics)が開発した高性能ヒューマノイドロボット「Booster K1 Pro」の取り扱いを2026年4月16日より開始しました。このBooster K1 Proは、最先端のAI性能とオープンな開発環境を備え、AI開発者や研究者、そして未来のAIエンジニアを育む教育現場に、新たな可能性をもたらすことが期待されています。

Booster K1 Proとは?その驚きの性能と特徴

Booster K1 Proは、まさにAIとロボット工学の粋を集めた製品です。その特徴を詳しく見ていきましょう。

Booster K1 Proの全身像

小型軽量で持ち運び可能

Booster K1 Proは、身長95cm、重量19.5kgという小型軽量設計が特徴です。付属のスーツケースを使えば、簡単に持ち運ぶことができ、研究室から競技会場、教育現場まで、さまざまな場所で活躍できます。これは、ロボットの開発や実験をより手軽に行いたいと考えるユーザーにとって、非常に大きなメリットとなるでしょう。

圧倒的なAI性能を誇るNVIDIA® Jetson™ AGX Orin搭載

このロボットの心臓部には、NVIDIA® Jetson™ AGX Orin 32GBが搭載されており、200 TOPSという驚異的なAI性能を発揮します。AI初心者の方のために説明すると、「TOPS(Tera Operations Per Second)」とは、1秒間に何兆回の演算処理ができるかを示す単位です。200 TOPSという数値は、Booster K1 Proが非常に複雑なAI処理を高速で行えることを意味します。これにより、リアルタイムでの画像認識、音声認識、複雑な状況判断、そして高度な意思決定などが可能となり、まるで人間のように周囲の環境を認識し、適切に反応する能力をロボットに与えます。

22の自由度と優れた耐衝撃性

Booster K1 Proは、合計22の自由度(DoF:Degrees of Freedom)を備えています。自由度とは、ロボットの各関節が独立して動かせる方向の数を指し、この数が多いほど、ロボットはより複雑で滑らかな動きを実現できます。例えば、人間が腕を上げたり、膝を曲げたりするように、Booster K1 Proも多関節を持つことで、非常に柔軟な動作や姿勢制御が可能です。また、優れた耐衝撃性も備えており、開発中の予期せぬ衝突や、ロボット競技における激しい動きにも耐えうる堅牢な設計となっています。

RoboCup世界優勝実績が証明する信頼性

Booster K1 Proの性能は、単なるスペック上の数値だけではありません。このロボットは、ロボット競技会の最高峰の一つである「RoboCup 2025サッカー『KidSize』部門」において、ドイツの名門チーム「HTWK Robots」が採用モデルとして使用し、見事世界優勝を果たしています。これは、Booster K1 Proが理論だけでなく、実際の過酷な競技環境においても、その優れた性能と信頼性を証明したことになります。この実績は、開発者や研究者がBooster K1 Proを導入する上で、非常に大きな安心材料となるでしょう。

オープンソース開発環境がAI開発を加速

Booster K1 Proのもう一つの大きな魅力は、そのオープンな開発環境です。ハードウェアとソフトウェアの両面で、開発者が自由にカスタマイズし、探求できる環境が整っています。

ハードウェアのオープンソース化

Booster K1 Proは、ハードウェアがオープンソース化されているという強みを持っています。これは、ロボットの設計情報の一部が公開されており、開発者がロボットの内部構造を理解し、必要に応じて改造や機能拡張を行えることを意味します。これにより、特定の研究目的やプロジェクトに合わせて、ロボットを最適化することが可能になります。

ROS2ベースのSDKと豊富な開発情報

開発環境としては、ROS2(Robot Operating System 2)ベースのSDK(Software Development Kit)や、C++/Python用のSDKが提供されています。ROS2は、ロボット開発において世界的に広く利用されているオープンソースのフレームワークであり、これに対応していることで、多くの開発者が既存の知識やツールを活用してスムーズに開発を進めることができます。PythonやC++といったプログラミング言語は、AI開発やロボット制御において非常に一般的であり、これらのSDKが提供されることで、幅広い技術レベルのエンジニアがBooster K1 Proを使った開発に挑戦できます。

さらに、これらの開発情報はGitHub上で公開されており、世界中の開発者がアクセスして参照したり、自身の開発に役立てたりすることが可能です。GitHubは、ソフトウェア開発プロジェクトの管理によく使われるプラットフォームで、コードの共有や共同作業を容易にします。

活発な開発者コミュニティ

Discord上には、Booster K1 Proの開発者を含む200名を超えるコミュニティが存在します。Discordは、チャットや音声通話を通じて情報交換ができるプラットフォームで、このコミュニティに参加することで、開発者は疑問点を質問したり、他の開発者とアイデアを共有したり、最新の情報を入手したりすることができます。このような活発なコミュニティは、特にAIやロボット開発のような複雑な分野において、開発者の学習と成長を強力にサポートします。

これらの実績に裏打ちされた性能と、オープンな開発環境が、近年注目されている「具現化AI(Embodied AI)」教育の強力なパートナーとなります。具現化AIとは、ロボットの身体を通して現実世界とインタラクションしながら学習するAIのことで、Booster K1 Proは、理論だけでなく実践的なAI学習を可能にし、開発導入における確かな一歩を支えるでしょう。

Booster K1 Proの詳しい構造と自由度

Booster K1 Proは、その高い自由度によって、人間のような柔軟な動作を実現しています。その詳細な構造を見ていきましょう。

Booster K1 Proの全身像(別アングル)
Booster K1 Proが走る様子

Booster K1 Proは、大きく頭部、胴体、腕部、脚部で構成されており、それぞれが特定の役割を担い、合計22の自由度を備えています。

  • 頭部(2自由度): ヨー(Yaw)軸とピッチ(Pitch)軸の関節を備えており、首を左右に振ったり、上下に頷いたりする動きが可能です。また、周囲の環境を立体的に認識するための深度カメラと、音声指示を聞き取るためのマイクアレイが内蔵されており、ロボットが外界とインタラクションするための重要なセンサーが集約されています。

  • 腕部(各4自由度): 左右の腕それぞれに4つの自由度があり、肩のピッチ、ロール、ヨー、そして肘の各関節で構成されています。これにより、物を掴んだり、持ち上げたり、あるいはジェスチャーをしたりといった、多様な腕の動きを実現します。

  • 脚部(各6自由度): 左右の脚それぞれに6つの自由度があり、股関節のピッチ、ロール、ヨー、膝関節、および足首の上下関節を備えています。この多関節構造により、Booster K1 Proは安定した歩行、走行、バランス維持、さらにはしゃがむといった複雑な下半身の動作が可能です。RoboCupでのサッカー競技における俊敏な動きも、この脚部の高い自由度によって支えられています。

  • 胴体: ロボット全体の「脳」ともいえるコントローラーボード、音声を出力するためのスピーカー、そしてロボットを駆動させるためのバッテリーが搭載されています。これらのコンポーネントが効率的に配置され、ロボット全体の機能を実現しています。

Booster K1 Proの胴体内部

Booster K1 Proの主要スペック一覧

Booster K1 Proの主要なスペックを以下の表にまとめました。専門用語についてもAI初心者向けに解説します。

項目 詳細 解説
GPU 200 TOPSのAIパフォーマンス(NVIDIA® Jetson™ AGX Orin) 1秒間に200兆回の演算が可能な高性能AIチップを搭載。画像認識、音声処理、意思決定など高度なAIタスクを高速実行します。
カメラ ステレオ深度カメラ 左右2つのカメラで被写体までの距離を測定し、3D空間を認識できます。これにより、周囲の物体を正確に把握し、障害物を回避したり、物を掴んだりする際に役立ちます。
IMU 9軸IMU 3軸の加速度、3軸の角速度(ジャイロ)、3軸の地磁気を検出できるセンサー。ロボットの姿勢や動き、方向を正確に把握し、バランスを保つために不可欠です。
オーディオ 円形6マイクアレイ+スピーカー ロボットの周囲360度からの音を検知できる高性能マイクと、音声を出力するスピーカーを搭載。音声コマンドの認識や、音声によるコミュニケーションが可能です。
自由度 合計自由度: 22(脚:2 x 6、アーム:2 x 4、頭部:2) ロボットが持つ関節の総数。22の関節が独立して動くことで、非常に柔軟で人間らしい動きを実現します。
関節可動域 股関節:P-171°~126°、R-22°~89°、Y±59° 各関節が動かせる最大範囲を示します。この広い可動域により、多様な姿勢や動作が可能になります。
アクチュエータ 最大ピークトルク: 60N·m ジョイントエンコーダ:デュアルエンコーダ ロボットの関節を動かすモーターの力(トルク)と、関節の角度を正確に検出するセンサー(エンコーダ)のこと。高トルクと高精度なエンコーダにより、パワフルかつ精密な動きを実現します。
バッテリー 4800mAh(PSE検査済み) ロボットを動かす電源となるバッテリー。PSE検査済みで、日本の電気用品安全法に準拠した安全性が確保されています。
無線機能 Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2(工事設計認証済み) 最新の高速無線通信規格に対応。外部機器との連携や、ネットワーク経由でのデータ送受信、遠隔操作を安定して行えます。
ボタン パワー×1、インタラクション×3 電源ボタンの他に、ユーザーがロボットと直接対話するための3つのボタンが搭載されています。
拡張ポート ギガビットイーサネット 高速な有線ネットワーク接続が可能。大量のデータを扱う際や、安定した通信が必要な場合に利用できます。
ファームウェア あり ロボットの基本的な動作を制御するソフトウェアが内蔵されています。
LLM Doubao LLM(6 か月間無料あり) 大規模言語モデル(Large Language Model)を指します。Doubao LLMは、ロボットが自然言語を理解し、人間と自然な対話を行ったり、複雑な指示を解釈してタスクを実行したりする能力を大幅に向上させます。購入後6ヶ月間は無料で利用可能です。
二次開発 メーカーサポートあり ロボットの機能拡張やカスタマイズに関するメーカーからの技術サポートが提供されます。
メーカー保証期間 1年 ※ メーカーによるDiscordサポートあり 購入から1年間のメーカー保証が付帯します。また、Discordコミュニティを通じて、開発者からのサポートも受けられます。

Booster K1 Proの販売情報

Booster K1 Proは、スイッチサイエンスのウェブショップにて購入可能です。日本の電気用品安全法に準拠したACアダプターおよびバッテリーが同梱されます。

Booster K1 Proの全身像(販売情報)

  • 商品名: Booster K1 Pro – Jetson AGX Orin搭載 人型ロボット

  • 型番: BOOSTER-K1-PRO

  • 価格(消費税込み): 2,748,900 円

  • 購入ページ: https://ssci.to/10851

Booster Roboticsについて

Booster Roboticsのロゴ

2023年に設立されたBooster Roboticsは、ヒューマノイドロボット製品の創出と、世界中の開発者との連携を通じて、生産性の変革を目指している企業です。初期の戦略として、科学研究および教育分野に焦点を当てて事業を展開しています。

同社は、ロボット本体、ソフトウェア、チップ開発、そして事業化におけるチームの総合的な経験を結集し、ハードウェアとソフトウェアの両面でプラットフォームを構築しています。これにより、ロボットが身体を持つことで現実世界で知能を発揮する「身体性インテリジェンス(Embodied Intelligence)」の実装を加速させています。

スイッチサイエンスについて

スイッチサイエンスのロゴ

株式会社スイッチサイエンスは、「テクノロジーをより多くの人が道具として当たり前に使える世界」を目指して活動している企業です。電子工作用品の輸入調達、自社開発、販売を行う電子回路モジュール事業を核に、小中学生を中心とした子供たちとその教育者向けのSTEM教材事業、さらにハードウェア製品をキーとする事業者向けのIoT開発協力事業も手掛けています。

同社は、シングルボードコンピュータとして世界的に有名なRaspberry Piの国内認定リセラーや、プログラマブルモジュールM5Stackの総代理店を務めるなど、最先端の技術を広める役割を担っています。

まとめ

Booster K1 Proのスイッチサイエンスでの取り扱い開始は、日本のAI開発と教育分野にとって、非常に大きな意味を持つでしょう。高性能なNVIDIA® Jetson™ AGX Orinを搭載し、RoboCup世界優勝という実績を持つこのヒューマノイドロボットは、単なる研究ツールにとどまらず、具現化AIの最前線を体験し、未来のロボット技術を創造するための強力なプラットフォームとなります。

オープンソースのハードウェアとソフトウェア、そして活発な開発者コミュニティの存在は、研究者、教育者、そして意欲ある学生たちが、気軽に高度なロボット開発に挑戦できる環境を提供します。Booster K1 Proは、AIが身体を持つことで何ができるのか、そしてそれが私たちの社会にどのような変革をもたらすのかを探求するための、まさに「未来への扉」と言えるでしょう。このロボットが、これからのAIとロボット工学の発展に大きく貢献していくことは間違いありません。

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