システム整備の新たな一手「Krugle Biblio」が登場
システム開発や運用において、既存のシステムを正確に理解することは非常に重要です。特に、長年にわたって利用されてきた古いシステム、いわゆる「レガシーシステム」の場合、その全体像を把握し、最新の環境に適合させるための理解は一層困難になります。このような課題に直面している企業は少なくありません。
この度、クリューグル株式会社が提供するシステム整備AIプラットフォーム「Krugle(クリューグル)」に、この根深い課題を解決する強力な新機能「Krugle Biblio(クリューグル ビブリオ)」が追加されました。Krugle Biblioは、単にソースコードを分析するだけでなく、これまでAIでの解析が困難とされてきたエクセルやPDFなどの周辺ドキュメントもまとめて分析できる、画期的なAgentic RAGプラットフォームです。これにより、システムに関する情報が統合的に理解できるようになり、企業のシステム整備やレガシーマイグレーションが大きく前進することが期待されています。
レガシーシステムが抱える課題とKrugle Biblioの役割
日本の「エクセル仕様書文化」がもたらす複雑性
日本の多くの企業では、システム開発における設計書や仕様書がエクセルやPDF形式で作成される文化が根強く残っています。これらのドキュメントは、人間が読む分には情報が豊富である一方で、その構造の複雑さから、従来のAIが直接内容を理解し、ソースコードと関連付けて分析することは非常に困難でした。
例えば、エクセルファイルでは、データが画像として貼り付けられていたり、複数のシートに情報が分散していたり、表記ゆれがあったりするため、機械的なテキスト解析だけでは正確な情報を抽出することが困難でした。結果として、システム全体の情報が分断され、ドキュメントと実際のコードとの乖離が生じやすく、システムの改修や最新環境への移行(レガシーマイグレーション)の際に大きな障壁となっていたのです。
レガシーマイグレーションとは?
レガシーマイグレーションとは、古くなったシステム(レガシーシステム)を、最新の技術や環境へと移行・刷新することです。これは、システムの維持管理コストの削減、セキュリティの強化、新しい機能追加の容易化、クラウド化による柔軟性の向上など、多くのメリットを企業にもたらします。しかし、既存システムの全体像が把握しにくい、関連ドキュメントが十分に整備されていない、あるいはドキュメントが古くなっているといった理由から、多くの企業がこの移行に苦慮しています。
Krugle Biblioは、まさにこの「理解の壁」を打ち破ることを目指しています。散在するシステム関連情報をAIが統合的に分析することで、レガシーシステムの全体像を明確にし、安全かつ効率的なレガシーマイグレーションを強力に支援するツールとして大きな期待が寄せられています。
Krugle Biblioとは?Agentic RAGプラットフォームの全貌
Agentic RAGとは?(AI初心者向け解説)
まず、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)について簡単に説明します。RAGとは、AI(特に大規模言語モデル:LLM)が何かを生成する際に、外部のデータベースやドキュメントから関連情報を「検索」し、その情報を参考にしながら回答を生成する技術です。これにより、AIは学習データにはない最新の情報や、企業固有の専門的な情報に基づいた、より正確で信頼性の高い回答ができるようになります。
Agentic RAGは、このRAGをさらに進化させたものです。単に情報を検索するだけでなく、AI自身が「エージェント」として、複数の情報源を横断的に「思考」し、質問の意図を深く理解した上で、最適な情報源を「選択」し、必要に応じてさらに「深く掘り下げて検索」するといった、より高度な情報探索と活用を行うことができるプラットフォームを指します。これは、まるで優秀な研究者が、膨大な資料の中から必要な情報を探し出し、それらを総合的に判断して結論を導き出すプロセスに似ています。
ソースコードと周辺ドキュメントを一元的に分析
Krugle BiblioがKrugleプラットフォームに加わることで、ユーザーはシステムのソースコードだけでなく、そのシステムに関連するあらゆるドキュメント(Excel、PDF、Git Wiki、Jira、Confluence、Google Driveなど)をまとめて分析できるようになります。これにより、システムに関する情報が点ではなく線、さらに面として捉えられるようになり、全体像の把握が格段に容易になります。
例えば、ある機能のソースコードを調べるときに、その機能の設計書やテスト仕様書がエクセルで作成されていれば、Krugle Biblioはそれらのドキュメント情報も同時に参照し、より多角的な視点から情報を提供します。これにより、開発者や運用担当者は、必要な情報を迅速かつ正確に取得し、意思決定の質を高めることができます。
独自の「前処理」が鍵を握る
Krugle Biblioの最大の強みの一つは、ソースコードやエクセル、PDFといった非構造データを含む各種ファイルに対して、独自の高度な「前処理」を施す点にあります。この前処理によって、従来のAIでは扱いにくかったエクセルやPDFなどの複雑なデータも、AIが効率的に解析できる形に変換されます。
具体的には、エクセルのセル間の関係性やシート間の連携、PDFのレイアウト情報などをAIが理解しやすいように構造化し、意味のある情報として抽出します。これにより、情報の抜け漏れなく、より高精度な分析が可能となります。この独自の前処理技術こそが、Krugle Biblioが他のAIツールと一線を画す、非常に重要な要素なのです。

Krugle Biblioの3つの画期的な特徴
Krugle Biblioがもたらす革新は、主に以下の3つの特徴に集約されます。
特徴1:エクセルやPDFの「読解」を可能に
前述の通り、日本ではエクセルでシステム仕様書や設計書を作成する文化が根強く、これがレガシーマイグレーションを阻む大きな要因となっていました。これらのドキュメントは、構造が複雑で、従来のAIでは内容を正確に把握することが困難だったため、多くの情報がAIの分析対象から外れていました。
Krugle Biblioは、独自の高度な前処理技術を用いて、これらのエクセルやPDFファイルの内容を詳細に解析し、RAG(検索拡張生成)のデータとして利用できるようにします。これにより、LLM(大規模言語モデル)がこれらのドキュメント情報も考慮に入れて分析を行うため、システム全体の分析精度が飛躍的に向上します。これは、これまでAIにとって「読めなかった」ドキュメントをAIが「読める」ようにする、まさに画期的な進歩と言えるでしょう。この機能は、日本企業のドキュメント資産を最大限に活用し、システム整備を加速させる上で非常に重要な役割を果たします。
特徴2:まるで「自社専用AI」!固有データでLLMを強化
Krugle Biblioでは、ファイル単位の前処理に加え、ユーザーの目的に応じて情報源とするファイル群を「コレクション」としてまとめることができます。例えば、「人事システムのドキュメント群」「会計システムのソースコードと設計書」といった形で、必要な情報だけをグループ化することが可能です。そして、このコレクションごとに「ベクターインデックス」や「ナレッジインデックス」と呼ばれる、AIが情報を高速に検索・理解するための特別なデータベースを生成します。
この仕組みにより、Agentic RAGの検索精度が大幅に向上し、まるで自社固有のデータだけを学習した専用のLLMを使っているかのように、精度の高い情報取得や分析が可能になります。企業ごとの独自の専門知識やノウハウが詰まったドキュメントも、最大限に活用できるようになるため、外部の汎用的なAIでは得られない、深い洞察や正確な回答を導き出すことが期待できます。
特徴3:広がる可能性!多様なアプリケーションとのAPI連携
Krugle Biblioは、OpenAPIに準拠した標準API(Application Programming Interface)を備えています。APIとは、異なるソフトウェアやサービス同士が連携するための窓口のようなもので、これによりKrugle Biblioの強力な分析機能を、さまざまな既存のアプリケーションと連携させたり、新しいアプリケーションを開発したりすることが可能になります。
例えば、Krugle BiblioのAPIを活用すれば、社内のチャットツールにシステムに関する質問を投げかけると、Krugle Biblioがソースコードやドキュメントから回答を生成してくれるチャットボットを開発できます。また、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールと連携させれば、システムに関する複雑なデータを視覚的に分かりやすく表示することも可能です。すでに、チャットボットやBIツールなど、複数のプロダクトとの連携が検討されており、Krugle Biblioの活用範囲は今後ますます広がり、企業のデジタル変革を強力に後押しすることが期待されます。

Krugle Biblioの仕組みを深掘り
Krugle Biblioのシステムは、企業内に散在するあらゆるデータを取り込むことから始まります。データソースとして扱えるのは、GitリポジトリのコードやWiki、JiraやConfluenceのデータ、Google Driveのドキュメント、ファイルシステム上のファイル、Postgresデータベースなど、非常に多岐にわたります。これらの多様な情報源からデータが収集されます。
収集されたデータは、前述の独自の「前処理」を経て「コレクション」として整理されます。この過程で、AIが情報を効率的に検索・理解できるように「エンベディング(埋め込み)」が行われます。そして、「Vector Index(ベクトルインデックス)」や「Graph Index(グラフインデックス)」といった形でデータが構造化され、AIが高速に情報を参照できる状態になります。
準備されたデータは、LLM(大規模言語モデル)とAgentic RAG(検索拡張生成)によって活用され、ユーザーからの質問応答やシステム分析が行われます。この一連のプロセスにより、企業内の膨大な情報が横断的に整理され、それぞれの関係性が明確になります。最終的には、業界標準のAPIを通じて、様々なアプリケーションと連携し、ビジネスにおける具体的な課題解決に貢献します。この革新的な仕組みは、日本の社会問題であるレガシーマイグレーションを強力に支援する、まさに基盤となるものです。
ビジネスへの影響と今後の展望
Krugle Biblioは、既にトライアル期間中に複数の企業から高い評価を受けているとのことです。その結果、今年度中に20ライセンス以上、1億円以上の受注を見込んでいると発表されています。契約方法は年間サブスクリプション形式で提供されます。この高い評価と期待は、Krugle Biblioが提供する価値が、多くの企業にとって喫緊の課題解決に直結していることを示していると言えるでしょう。
Japan IT Week春への出展情報
クリューグル株式会社は、2026年4月8日(水)から10日(金)にかけて東京ビッグサイトで開催される「Japan IT Week春」内の「ソフトウェア受託開発・開発支援展(春)」に出展し、Krugle Biblioを展示する予定です。実際に製品を見て、その機能や可能性について直接話を聞ける貴重な機会となるため、システム整備やAI活用に関心のある方々にとっては、ぜひ訪れてみる価値があるでしょう。
クリューグル株式会社について
クリューグル株式会社(Krugle Inc.)は、2023年7月に設立された企業です。米国Archaea AI, Inc.と共同開発している「Agentic RAG型ナレッジプラットフォーム”Krugle”」の日本における独占販売を手がけています。設立からわずか2年半という短期間で、テレコム大手、SI大手、製造業大手など、多くの大手企業への導入実績を誇ります。
その導入先には、株式会社ISTソフトウェア、インターネットイニシアティブ、NTT西日本株式会社、NTT東日本株式会社、NTTアドバンステクノロジ株式会社、株式会社NTTドコモ、クオリティソフト株式会社、株式会社デイシス、トピックス株式会社、日本システム開発株式会社、株式会社日立製作所、富士通株式会社、富士ソフト株式会社、株式会社豆蔵など、日本の主要企業が名を連ねています。この実績は、同社の技術力とKrugleプラットフォームの信頼性の高さを裏付けていると言えるでしょう。
企業HP: https://www.krugle.co.jp/
まとめ:未来のシステム整備を支えるKrugle Biblio
システム整備AIプラットフォーム「Krugle」に加わった新機能「Krugle Biblio」は、日本の企業が長年抱えてきたレガシーシステム問題、特にエクセルやPDFといった非構造化ドキュメントの壁をAIの力で打ち破る、画期的なソリューションです。ソースコードと周辺ドキュメント情報を統合的に分析し、まるで自社専用のAIのように活用できるこのプラットフォームは、システム開発・運用の効率化、レガシーマイグレーションの加速、そして企業全体の知識活用能力の向上に大きく貢献するでしょう。
AI技術が日々進化する中で、Krugle Biblioは、未来のシステム整備のあり方を変える可能性を秘めていると言えます。これまでの常識を覆すこの新しい技術が、多くの企業にとっての課題を解決し、より効率的で持続可能なシステム運用を実現する一助となることに注目したいです。

