セイコーエプソン、サステナビリティページの翻訳基盤に『WOVN.io』を採用
プリンティング事業を主軸に、精密技術を基盤とした幅広い事業を展開するセイコーエプソン株式会社(以下、セイコーエプソン)が、Webサイト多言語化AIソリューション『WOVN.io(ウォーブン・ドットアイオー)』をサステナビリティページに導入しました。この導入により、同社は企業活動において重要なサステナビリティ情報の英語発信を、より効率的かつ高品質に行えるようになります。

サステナビリティ情報発信の重要性と従来の課題
セイコーエプソンは、創業地である信州の豊かな自然環境とともに歩んできた歴史を重視し、環境や社会への配慮を経営理念の根幹に据えています。そのため、企業全体でサステナビリティへの取り組みを推進し、その情報を積極的に発信しています。
サステナビリティ情報は、企業の信頼性やブランドイメージを左右する非常に重要な要素です。特に、英語版のサステナビリティページに掲載される情報は、海外のESG(環境・社会・ガバナンス)外部評価機関による評価に用いられることが多く、その評価結果が企業の評価や投資判断に大きな影響を与える可能性があります。このため、翻訳には極めて高い信頼性と正確性が求められます。
これまでセイコーエプソンでは、こうした重要性を鑑み、社内の翻訳専門部署に依頼して高品質な翻訳を行ってきました。しかし、この運用方法にはいくつかの課題がありました。
- 多大なコストと工数:原稿の作成や修正が発生するたびに、翻訳部署との細かなやり取りが必要となり、翻訳作業に多大な時間と人的リソースが費やされていました。
- 表現のばらつき:翻訳者や各サステナビリティ項目の主管部門によって、表現に微妙な差異が生じるケースがあり、情報の一貫性を保つことが難しい場面もありました。
- 頻繁な更新作業の負担:年1回の全面的な改訂に加えて、適時開示の観点から月に複数回の更新が必要となるため、翻訳後のWebページへの流し込みやレイアウト調整といった作業が運用担当者の大きな負担となっていました。
これらの課題は、グローバルに情報発信を行う企業にとって、サステナビリティ情報の鮮度と品質を維持する上で大きな障壁となっていました。
『WOVN.io』とは?AIでWebサイトの多言語化を加速するソリューション
Wovn Technologies株式会社が提供する『WOVN.io』は、「企業のグローバリゼーションを、AIで加速する」というミッションを掲げるWebサイト多言語化AIソリューションです。Webサイトを最大45言語、79のロケール(言語と地域の組み合わせ)に多言語化することが可能で、海外戦略や訪日外国人・在留外国人への対応を成功に導くツールとして、大手企業を含む18,000サイト以上に導入されています。
WOVN.ioの大きな特徴は、既存のWebサイトに「後付け」で導入できる点にあります。これにより、多言語化のために大規模なシステム開発を行う必要がなく、翻訳に必要なコストや人的リソースを大幅に削減し、導入期間を短縮できるというメリットがあります。AI翻訳を核としつつ、必要に応じて人力翻訳を組み合わせることで、効率性と品質の両立を目指します。
セイコーエプソン専用のカスタム生成AIモデルで翻訳精度と効率を両立
セイコーエプソンがWOVN.ioを導入した背景には、従来の翻訳運用における課題を解決し、より効率的かつ高品質なサステナビリティ情報発信を実現したいという強い思いがありました。
WOVN.ioの導入により、セイコーエプソンは同社の過去の翻訳データを学習させた、セイコーエプソン専用の独自のカスタム生成AIモデルを活用しています。AI初心者の方のために説明すると、「カスタム生成AIモデル」とは、一般的なAI翻訳モデルとは異なり、特定の企業の専門用語や過去の翻訳スタイル、表現のニュアンスなどを集中的に学習させた、その企業のためだけに最適化されたAIのことです。これにより、AI翻訳でありながら、まるで人間が翻訳したかのような高品質で一貫性のある翻訳が可能になります。
このカスタム生成AIモデルを翻訳運用の土台とすることで、人力による確認・修正作業の手間と時間を大幅に削減しつつ、信頼性が求められるサステナビリティ情報の翻訳品質を維持することに成功しています。翻訳専門部署への業務集中を防ぎ、原稿管理の手間や翻訳のばらつきを抑えながら、Webページの作成・更新までを一貫して効率化できる仕組みが構築されました。
WOVN.io採用の4つの決め手
セイコーエプソンがWOVN.ioの採用を決めた主な理由は、以下の4点に集約されます。
1. 企業固有の翻訳ニーズに応える高精度の翻訳品質
WOVN.ioは、AI翻訳基盤「Maestro」を提供しており、顧客専用のカスタム生成AIモデルを構築できます。セイコーエプソンでは、過去の翻訳データを学習させることで、同社特有の専門用語や表現を理解したAIを育成しました。さらに、専門用語や固有名詞をあらかじめ登録できる「用語集機能」も活用することで、翻訳の揺れを防ぎ、企業に合わせた表現を統一的に反映することが可能です。これにより、信頼性が不可欠なサステナビリティ情報の英語発信において、高い翻訳精度と表現の一貫性を両立できる点が大きな評価ポイントとなりました。
2. ESG外部評価にも対応できる英語サイトを簡単に構築可能
海外のESG評価機関は、企業のサステナビリティページの内容を評価し、その結果は企業価値に直結します。WOVN.ioは、元となる日本語のWebサイトが一つあれば、追加の開発をほとんど必要とせずに英語サイトを構築できるため、海外機関の評価に対応できる高品質な英語ページを容易に作成・発信できる点が採用の決め手となりました。これにより、迅速な情報開示とグローバルな企業評価向上に貢献します。
3. 運用担当者でも使いやすいUIと翻訳修正の容易さ
WOVN.ioの管理画面は、プログラミングなどの専門知識がない方でも直感的に操作できるように設計されています。特に「ライブエディター」機能は、翻訳済みのWebページをブラウザ上で直接確認しながら、まるでWebページを編集するかのように簡単に翻訳の修正ができるため、非常に便利です。サステナビリティページのように多くの関係部署が関わる情報では、複数の編集者が迷うことなく操作でき、原稿を一元管理できる点が、作業効率の向上に大きく寄与すると評価されました。
4. コーポレートコミュニケーション戦略に合わせた柔軟な言語拡張が可能
セイコーエプソンは、今後世界中のより多くのステークホルダーに向けて情報発信を行うことを目指しています。そのため、英語以外の言語への対応も将来的に重要となります。WOVN.ioは、対応言語を簡単に増やすことができる設計となっており、将来的な多言語展開を見据えた柔軟な基盤として活用できる点も、採用の大きな理由となりました。
導入サイトと今後の展望
WOVN.ioが導入されたのは、セイコーエプソンのサステナビリティページです。日本語版から英語への多言語化が実現しました。

セイコーエプソンは今後も、人力で修正した翻訳データを活用し、独自のカスタム生成AIモデルの精度をさらに高めていく方針です。同社は海外売上比率が8割を超えるグローバル企業であるため、将来的には英語にとどまらず、他の言語での情報発信も視野に入れながら、世界に向けてサステナビリティの取り組みを発信していくことを考えています。
Wovn Technologies株式会社も、グローバルな情報発信を通じて企業価値の向上を目指す企業を、継続的にサポートしていくとしています。
『WOVN.io』の概要
WOVN.ioは、Webサイトを最大45言語・79のロケールに多言語化し、海外戦略・訪日外国人・在留外国人対応を成功に導く多言語化AIソリューションです。大手企業をはじめ18,000サイト以上へ導入されており、既存のWebサイトに後付けすることが可能です。これにより、多言語化に必要なシステム開発・多言語サイト運用にかかる、不要なコストの圧縮・人的リソースの削減・導入期間の短縮を実現します。
まとめ:AI翻訳が拓くグローバルコミュニケーションの未来
セイコーエプソンによるWOVN.ioの導入事例は、AI技術が企業のグローバルコミュニケーション戦略においていかに強力なツールとなり得るかを示す好例です。特に、高い信頼性と正確性が求められるサステナビリティ情報において、カスタム生成AIモデルを活用することで、翻訳の品質を維持しつつ、運用コストと工数を大幅に削減できることが実証されました。
AI翻訳は、単に言葉を置き換えるだけでなく、企業のブランドイメージや専門性を反映した一貫性のある情報発信を可能にします。これにより、企業はより多くの海外ステークホルダーに対し、迅速かつ効果的にメッセージを届けることができるようになります。今後、グローバル市場での競争が激化する中で、AIを活用した多言語化ソリューションは、企業の競争力を高める上で不可欠な存在となるでしょう。セイコーエプソンの取り組みは、多くの企業にとって、AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のヒントとなるに違いありません。

